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「イヴの時間」 2010 [映画・アニメ]

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〔2010年/日本/スタジオ六花〕





未来、たぶん日本。

ロボットが実用化されて久しく、
人間型ロボットが実用化されて間もない時代。

ロボット倫理委員会の影響で、人々はそれを“家電”として
扱うことが社会常識となっていた。
頭上にあるリング以外は人間とまったく変わらない
外見に影響され、必要以上にアンドロイドに入れ込む
人々は“ドリ系”と呼ばれ社会問題とされるほどである。

高校生のリクオも幼少の頃からの教育によって
アンドロイドを人間視することはなく、
便利な道具として利用していた。

ある時リクオは、自家用アンドロイドのサミィの
行動記憶の中に奇妙な言葉が含まれている事に気づく。

親友のマサキとともにサミィの足跡をたどると、
そこには「人間とロボットを区別しない」という
ルールを掲げた奇妙な店が広がっていた…。

その店の名は「イヴの時間」。





AI、AIともてはやされているけれど、
AI=人工知能に「感情」を持たせるのは
実に「危険」な事なのだな。

「家電」としてお気軽に量販店で買って使える
アンドロイドなのに、裏の顔を持ち、二面性を発揮する。
で、持ち主の前では無感情を装い、堂々と「ウソをつく」。

こんなに未来的な物語であるのに、
新たな法整備もなにもないのかいまだにアシモフの
「ロボット三原則」が普通に使われている。

「ロボット三原則」とは、
第一条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。
また、その危険を看過することによって、
人間に危害を及ぼしてはならない。

第二条
ロボットは人間にあたえられた命令に
服従しなければならない。
ただし、あたえられた命令が、
第一条に反する場合は、この限りでない。

第三条
ロボットは、前掲第一条および第二条に反する
おそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

つまり、自己防衛のためなら、
「ウソをついてもよい」という訳だ。

で、持ち主に内緒で仕事をサボリ、
謎の喫茶店に入り浸ってる。
この店内では、人間もアンドロイドも平等に扱われるという
ルールが存在する。見た目で判断できる唯一の目印、
頭上のリングも自分の意思で消すことが出来る。

つまり一見しただけでは人間だか、アンドロイドだか
判別できない。

店内では各自、本を読んだり語ったり、
あるいは恋愛を楽しんでイチャライチャラしている者も…。

このイチャついているバカップルも、その行動は
持ち主には、ナ・イ・シ・ョ…なのである。

ちょっと待てよ…。この店の支払いは誰が…。
え、持ち主の財布からちょろまかして…。

いや、それすらも自己防衛のためならば許されるのだ。
なんせAIだから。

この本編を見ただけでは理解しきれない謎が多すぎて、
いきなり突き放されたように終わってしまうのだが、
感動するよりも、近未来への「恐怖」を感じる一作だった。

まだ我々の世界では機械に「心」を与えてはいけないのだ。




評価 ★★☆☆☆
nise!(11)