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「ウメ星デンカ 宇宙の果てからパンパロパン!」1994 [映画・アニメ]

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〔1994年/日本/シンエイ動画〕




宇宙の彼方から飛んできたふしぎなツボから、
ウメ星デンカが飛び出した。故郷のウメ星が
爆発して、地球にやってきたのだ。

太郎の家に住みついた、デンカ一家だったが・・・。




1994年(平成6年)劇場映画、
「ドラえもん のび太と夢幻三剣士」の併映作として
製作された30分の短編「ウメ星デンカ」

1968年(昭和43年)、小学館の週刊少年サンデー誌上に
おいて藤子不二雄先生により漫画連載が開始され、
翌1969年、東京ムービー(スタジオゼロ)が
テレビアニメ化。

時代はすでにカラー化が進んでいながら、白黒で製作
されてしまい、オバQの大ヒットを目指しながらも
わずか半年で終了。そんなデンカが平成の世に帰還。

なぜ?今?と誰もが首をかしげたのだが、
この当時、「クレヨンしんちゃん」の後番組に
この「ウメ星デンカ」を・・・という企画が進んでおり、
その観測衛星的なパイロット版として上映されたという。

ところが終わらせる予定の「クレヨンしんちゃん」の
人気が大爆発してしまい終了予定は立ち消え。
その割をくらってデンカ再アニメ化の話も流れてしまった。

どこまでも不運なウメ星デンカとそのファミリー。

物語の発端からして、デンカたちは不幸。
平和に暮らしていた故郷のウメ星がある日壊滅!
星の住人たちはそれぞれ、命からがらツボ(ロケット)
に乗り込み、あちこちの星に散らばった。

この時点ですでに多くの死傷者が出たものと
推測される。

ようやく地球にたどりついたと思えば、
昨日まで星の王様、王妃、王子だった人物が
おかしなことを口走る、常識のないキチガイ扱いを
受け、下働きを強制される・・・。なんてお気の毒。

それでも根が明るい(深く考えないタイプ)なので、
なんとか地球の人々とうまくやっていこうと決意。

たまに物干しに登って夜空を見上げながら、
あのころはよかった・・・と涙するシーンも
あったりして、泣かせるのであった・・・。

「エスパー魔美」「チンプイ」を経て、
シンエイ動画の脂もノリにのった時期であったので、
テレビシリーズの「ウメ星デンカ」、
ぜひ見てみたかったものだ。

しかし、平成の時代にウメ星はちょっと地味だったか…。
(画像は1960年代、最初のアニメ化時の着ぐるみ。怖い)





■本編出演 山田栄子、松井摩味、中村正、一城みゆ希、
 江原正士、島本須美、緒方賢一、松尾銀三、菅原淳一、
 山口勝平、西原久美子、まるたまり、中村秀利、
 関智一さんほか。




評価 ★★★☆☆
nise!(20) 

「帰ってきたドラえもん」1998 [映画・アニメ]

帰ってきたドラえもん.jpg
〔1998年/日本/シンエイ動画〕





ジャイアンにいじめられ、ドラえもんに泣きつくのび太。
しかし、ドラえもんは憂鬱そうな顔を見せる。

ドラえもんは未来の世界へ帰ることになったのだ。
のび太は必死に止めるがパパの言葉と、
今は亡きおばあちゃんとの思い出のダルマを経て、
「ダルマと同じように転んでも起き上がる」事を
思い出し、ドラえもんとの別れを受け入れることにする。

その夜、寝付けず2人は夜の町を散歩する。
ドラえもんが離れている間、のび太は同じように
徘徊していたジャイアンと遭遇。

のび太はドラえもんに心配をかけず、未来の国に
送り帰すため無謀にもジャイアンに挑む。

のび太を探すドラえもんの目に映ったのは、
何度倒れてもジャイアンに立ち向かっていく
のび太の姿だった。

ドラえもんはのび太を連れ帰り、眠ったのを
見届けた後、ひとり未来の世界に帰還する・・・。




幾度も映像化されている「さようなら、ドラえもん」と
「帰ってきたドラえもん」を
『ドラえもん のび太の南海大冒険』の併映作として
上映した短編作品。
帰ってきたドラえもん1.png
「・・・桜が見られてよかった・・・」

もう最初っから泣かせにかかる作劇。

今まで散々世話になった野比家の人々に対して、
未来の世界に帰る理由を明確に説明しないドラ。
(裏では言ってるのかも知れんが)

パパとママも深く詮索することなく、
ただ、のび太がお世話になったと感謝し、
別れの宴を設ける。

藤子作品に登場するパパとママは皆、理解がある。
平和な家庭にある日突然珍入してくる怪しい生き物、
ハットリくんなどはまだ人間だからマシ。

オバQなんかお化けだし、怪物くんは怪物だし、
パラソルへんべえに至ってはなにコレ?!
どんな生き物なの?

ウルトラBは赤ちゃんだから普通、警察に届けるよな!

それでも差別することなく、自分たちと同じ目線で
受け入れてしまう。心広き大人たちである。

さて、作品に話を戻そう。
上映時間27分の間、ドラとのび太はほとんどの
シーンで涙している。子どもにとっても充分すぎる
感動作であろうが、トシをくった大人たちが今見ると
別の意味で感慨深いものがこみあげてくる。

はじめてその作品に出会った年代により、
どれが最高!最低!ということはない。
今の子どもたちにとっては、水田わさびさんの声こそが
ドラえもんの声なのだ。

でも昭和世代はやはり大山のぶ代さんのドラ声が、
脳裏から消え去る事はないだろう。

今聞いても、昭和ドラの声優さんたちは、
声だけでその場面が浮かんでくる。
失礼ながら令和の深夜アニメの声優さんたちの声は
聞き分けが不可能だ。

そして、本作に出ておられたほとんどの声優さんが
今はもう他界されたり、表舞台からは遠ざかったり
している。見ている側が年齢を重ねたからこそ、
感じられるノスタル爺がここにはある。

軽々しく「昔はよかった」などと口にはしたくない。
パソコンもスマホもなかった時代、不便な事この上なし。
しかし、もう取り戻せないあの頃が詰まっている。

やっぱりドラえもんは、声優一斉交代の時期に
終わらせておくべきだったよなぁ・・・。




■本編出演 大山のぶ代、小原乃梨子、野村道子、たてかべ和也、
 肝付兼太、千々松幸子、中庸助、よこざわけい子、青木和代、
 巴菁子、佐藤ゆうこさんほか。




評価 ★★★★☆
nise!(19) 

「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」2022 [映画・アニメ]

ドラゴンボール超 スーパーヒーロー.jpg
〔2022年/日本/東映〕




かつて悟空により壊滅した悪の組織「レッドリボン軍」

だが、その遺志は生きていた!!復活した彼らは、
新たな人造人間「ガンマ1号&ガンマ2号」を誕生させ、
復讐へと動き始める。不穏な動きをいち早く察知した
ピッコロはレッドリボン軍基地へと潜入するが、
そこでまさかの“最凶兵器”の存在を知るのだった。

パンをさらわれ基地へとおびき出された悟飯も参戦し、
かつてない超絶バトルが始まる!!!!果たして死闘の行方は。
そして、地球の運命は!?




鳥山明先生自ら脚本を手掛けるホンモノの
「ドラゴンボール」には間違いない。
絵も綺麗、動きもすごい。

でも、あの頃のドラゴンボールではないよなぁ。

最初にストーリーを知った時の正直な感想、
また「地球に最大の危機が訪れる」のかよ?

一体、何回地球は危機に晒され続けるのか。
アラレちゃんになら毎週割られても、笑って許すが。

絵がデジタルになり、綺麗には見えるけれど、
やはり「人間が描いた熱」というものが、
デジタルアニメ全般に感じられなくて仕方がない。

いつの時代にか、手描きのセル画アニメが復活する
日も来るんじゃないかな。アナログ記録のカセットテープや
レコードが脚光を浴びているように。

本作も普通におもしろい。
アニメ映画としては及第点の出来。

でも、熱がなぁ。

本作のトピックとしては製作中の東映アニメーション、
本社内のネットワークへ第三者による不正アクセスが
あり、製作、公開が延期されたこと。実際の被害が
どのようなものであったのかは非公開なので不明。

昭和時代のセル画が盗まれたから、製作遅延…、
みたいなもんか。




■本編出演 野沢雅子、古川登志夫、皆口裕子、久川綾、
 堀川りょう、草尾毅、田中真弓、伊藤美紀、入野自由、
 ボルケーノ太田、竹内良太、神谷浩史、宮野真守、 
 若本規夫さんほか。




評価 ★★★☆☆
nise!(8) 

「君たちはどう生きるか」2023 [映画・アニメ]

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〔2023年/日本/スタジオジブリ〕




太平洋戦争中の1942年。
牧眞人は空襲で母の久子を失った。

3年後、軍需工場の経営者である父親は
実母の妹である夏子と再婚し、眞人は
母方の実家へ工場とともに疎開する。

疎開先の屋敷には夏子の大叔父が建て、
現在は屋敷にやってくるアオサギが住む
塔がある洋館が建っていた。

不思議に思った眞人は埋め立てられた入り口から
入ろうとするが、屋敷の使用人に止められる。

転校初日、眞人は学校でうまく馴染めず、
帰り道で地元の少年と喧嘩をしてしまう。
その後、道端の石で自分の頭を殴り、大けがを負い
自室で寝込んでいると、アオサギが眞人の部屋に
入り込んできたのをきっかけにアオサギに
「母があなたを待っている。死んでなんかいませんぜ」
と話しかけてきた・・・。




事前に公開されたのは、この鳥だけ、鳥の被り物だか
よくわからないポスター画像一点だけ。
それ以外は一切、非公開。

情報がない中での公開初日を迎えた本作。
あまりにも情報がなさ過ぎて、周りでは
宮崎駿監督の新作映画が公開されるという話題にすら
ならないほどであった。

それは徹底しており、一応製作された予告編は劇場、
テレビでは一度も流されず、パンフレットですら
後日販売予定との事である。

この目論見は果たして成功であるのか、
それとも・・・?


ネタバレになるので多くは書けないが、
これが宮崎駿監督の人生の総決算なのだろう。
母親から生まれた者は最期まで母親を追い求めるのだろう。

宮崎駿監督も人生の終点付近に立ち、思い起こすのは
母のことであるのだろう。偉大なるものは母なりき。





■本編出演 山時聡真、菅田将暉、柴咲コウ、あいみょん、
 木村佳乃、木村拓哉、竹下景子、風吹ジュン、阿川佐和子、
 滝沢カレン、大竹しのぶ、國村隼、小林薫、火野正平さんほか。





評価 ★★★★☆
nise!(10) 

「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」2022 [映画・アニメ]

機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島jpg.jpg
〔2022年/日本/サンライズ〕




ジャブローでの防衛戦を耐えきった地球連邦軍は
その勢いのまま、ジオン地球進攻軍本拠地の
オデッサを攻略すべく大反攻作戦に打って出た。

アムロ達の乗るホワイトベースは作戦前の最後の
補給を受ける為にベルファストへ向け航行。

そんな中ホワイトベースにある任務が言い渡される。
無人島、通称「帰らずの島」の残敵掃討任務。

残置諜者の捜索に乗り出すアムロ達であったが、
そこで見たのは、いるはずのない子供たちと
一機のザクであった。戦闘の中でガンダムを失った
アムロは、ククルス・ドアンと名乗る男と出会う。
島の秘密を暴き、アムロは再びガンダムを見つけて
無事脱出できるのか…?



ファンの間では「ファースト」と呼ばれる、
機動戦士ガンダムシリーズのテレビ第一作、
その中でも放送当時から、今で言う「作画崩壊」していた
第15話「ククルス・ドアンの島」

本筋とは関わりがあまりなく、当時からサイドストーリー的
な物語で、劇場三部作では丸ごとカットされたほど重要じゃ
ないお話。安彦良和監督は今、ガンダムで新作を作るなら、
ククルス・ドアンしかないと仰り、ボクが関わる最後の
ガンダムと啖呵を切った。

「もう、期待しかない」

ところが出来上がった作品は・・・。

確かに作画は綺麗である。
最新の技術であのワースト作画回の烙印を押された
第15話が再現されていく…でもなんか違う。

仏作って魂いれず…といった印象。

CG全盛世の今、あの頃(1970年代後半)では
表現できなかった画面が次々に展開される。とてもすごい。
でも、それだけなのだ。人間味を感じない。

「機動戦士ガンダム」は人間たちによる群像劇だ。

それが人間を感じさせないのは致命的である。

なぜ「ククルス・ドアン」だったのだろう。
いきなりこんなものを見せられても、一見さんお断りである。
元々25分のものを引き延ばすためか、いらぬ改変が加えられ、
その余計な付け足しがすべていらない子だった。

当時の脚本、音声を使って作画のみを「めぐりあい宇宙」
時期の安彦良和監督作画で再現…こっちのほうが、よほど
「ボクたちの見たかったガンダム」ではなかろうか。

ただひとつ、仰天したのはマ・クベを演じた、
山崎たくみさん。…塩沢兼人さんの音声ライブラリーを
使用したのかと思わせるほど、塩沢さんに寄せた演技に驚愕。

最近のタラちゃん交代劇に並ぶ「プロのお仕事」であった。
素晴らしすぎた。





■本編出演 古谷徹、武内駿輔、成田剣、新井里美、潘めぐみ、
 古川登志夫、中西英樹、福圓美里、池添朋文、朝井彩加、 
 近藤隆、富岡泰崇、江口拓也、河本啓佑、新井里美、中博史、
 白熊寛嗣、楠見尚己、坂口候一、山崎たくみ、保村真、
 池田秀一、幸田夏穂さんほか。




評価 ★★★☆☆
nise!(8) 

「新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X」2019 [映画・アニメ]

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〔2019年/日本/OLM/東宝〕





突然の敵の攻撃により父・ホクトが行方不明になってしまい、
不安を隠せないハヤト。そこに現れたのは、
なんと時空を超えてやってきた9歳のホクトだった!。

光の粒子に包まれてタイムスリップしてきた、
少年ホクトは、地球を守るため、そして元の世界に戻るため、
最新技術を結集し完成した
「シンカリオン ALFA-X」の運転士になることを決心する。

二人の想いとともに、北海道支部・山形支部・大宮支部、
名古屋支部・京都支部・門司支部から集結した
チームシンカリオンは宇宙最強の敵に立ち向かう!。

チームシンカリオンは日本の平和と安全を守ることができるのか、
ハヤトは元の父、ホクトと再会することができるのか!?。




これは子供はよろこぶわ!。

子供の大好きなモノ、新幹線、合体変形ロボすべてが
詰め込まれている。

ただこの作品が子供だけにとどまらず、大人さまにも
人気があるのは、往年のスーパーロボットアニメのDNAを
色濃く受け継いだ進化系の燃える!「令和版テレビまんが」
だからだろう。アニメーションとか、ジャパニメーション
とかいう高等なものではない。

日本のアニメが見失ったストレートな「テレビまんが」だ。

1980年代の少年ジャンプ黄金期を支えた、
「正義・友情・愛」がすべて詰まっている。

本作もテレビシリーズを見続けてきた者を裏切らない、
手堅い仕上がりでまったく無駄がなく中だるみのない
シッポまでアンコとウンコが詰まった状態がうれしい。

劇場に同伴でやってきた初見の大人さまをも巻き込み、
飽きさせないよう、懐かし小ネタも随所にブチ込んで来る。
この辺は令和のお子様おいてけぼりだ。

それにしても軽い衝撃を受けたのが、
懐かし小ネタがもう80年代ではなく、90年代のそれに
移ってしまっている…。時代は流れているんだなぁ…。

ホクトが少年化してしまう理由が少し弱く感じたが、
本作はあくまでも「子供むけ作品」である。
細かいことはいいんだよ!楽しけりゃいいんだよ!。
理由はあとで考えるから!。これで正解なのだろう。


俺の好きな四文字熟語、
酒池肉林ッ!!。





評価 ★★★☆☆
nise!(11) 

「こんぷれっくす×コンプレックス」2017 [映画・アニメ]

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〔2017年/日本/PANPOKOPINA〕





大人に対して憧れを抱く中学2年生の小谷ゆいは、
男子のワキ毛への興味を抑えることができない。

特にクラスで一番ワキ毛の濃い武尾マサトから
目をそらせずにいたが、一方の武尾は
自分のワキ毛の濃さが悩みの種だった。

ふとしたきっかけで彼らは言葉を交わすようになり、
少しずつ距離が近くなっていくが……。




なんじゃこりゃ!?。

日本初のワキ毛アニメ誕生!(多分)。

思春期特有のどーでもいい悩みをアニメ化しました!。
ワキ毛フェチの女子中学生が同級生男子に接近。
目的はワキ毛。

女子はまんまと間近でワキ毛を見ることに成功!興奮!。

ところがある日、ワキ毛がコンプレックスだった
男子がなんの断りもなく剃ってしまった!。
今にも泣きそうな女子…!。

男子にとってのコンプレックスなどどうでもよいのだ。
自分はただ、あのワキ毛が見たいのだ。

男子中学生は勘違いして「告白」しちゃう。
だが女子は「ごめん…」と拒否。

そりゃそうだ。女子は男子が好きなのではない。
男子の「ワキ毛が好き」なのだ。

とまどう男子だったが、終わりは突然訪れる。

女子にもワキ毛が生えたのだった…。

はじまりそうでなにもはじまらない。
ただ、中学生のある日常を切り取っただけのワキ毛アニメ。


…なにが伝えたかったのだろうか…。




評価 ★★☆☆☆

nise!(11) 

「イヴの時間」 2010 [映画・アニメ]

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〔2010年/日本/スタジオ六花〕





未来、たぶん日本。

ロボットが実用化されて久しく、
人間型ロボットが実用化されて間もない時代。

ロボット倫理委員会の影響で、人々はそれを“家電”として
扱うことが社会常識となっていた。
頭上にあるリング以外は人間とまったく変わらない
外見に影響され、必要以上にアンドロイドに入れ込む
人々は“ドリ系”と呼ばれ社会問題とされるほどである。

高校生のリクオも幼少の頃からの教育によって
アンドロイドを人間視することはなく、
便利な道具として利用していた。

ある時リクオは、自家用アンドロイドのサミィの
行動記憶の中に奇妙な言葉が含まれている事に気づく。

親友のマサキとともにサミィの足跡をたどると、
そこには「人間とロボットを区別しない」という
ルールを掲げた奇妙な店が広がっていた…。

その店の名は「イヴの時間」。





AI、AIともてはやされているけれど、
AI=人工知能に「感情」を持たせるのは
実に「危険」な事なのだな。

「家電」としてお気軽に量販店で買って使える
アンドロイドなのに、裏の顔を持ち、二面性を発揮する。
で、持ち主の前では無感情を装い、堂々と「ウソをつく」。

こんなに未来的な物語であるのに、
新たな法整備もなにもないのかいまだにアシモフの
「ロボット三原則」が普通に使われている。

「ロボット三原則」とは、
第一条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。
また、その危険を看過することによって、
人間に危害を及ぼしてはならない。

第二条
ロボットは人間にあたえられた命令に
服従しなければならない。
ただし、あたえられた命令が、
第一条に反する場合は、この限りでない。

第三条
ロボットは、前掲第一条および第二条に反する
おそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

つまり、自己防衛のためなら、
「ウソをついてもよい」という訳だ。

で、持ち主に内緒で仕事をサボリ、
謎の喫茶店に入り浸ってる。
この店内では、人間もアンドロイドも平等に扱われるという
ルールが存在する。見た目で判断できる唯一の目印、
頭上のリングも自分の意思で消すことが出来る。

つまり一見しただけでは人間だか、アンドロイドだか
判別できない。

店内では各自、本を読んだり語ったり、
あるいは恋愛を楽しんでイチャライチャラしている者も…。

このイチャついているバカップルも、その行動は
持ち主には、ナ・イ・シ・ョ…なのである。

ちょっと待てよ…。この店の支払いは誰が…。
え、持ち主の財布からちょろまかして…。

いや、それすらも自己防衛のためならば許されるのだ。
なんせAIだから。

この本編を見ただけでは理解しきれない謎が多すぎて、
いきなり突き放されたように終わってしまうのだが、
感動するよりも、近未来への「恐怖」を感じる一作だった。

まだ我々の世界では機械に「心」を与えてはいけないのだ。




評価 ★★☆☆☆
nise!(11) 

「秒速5センチメートル」 2007 [映画・アニメ]

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〔2007年/日本/コミックス・ウェーブ〕




小学校の卒業と同時に離ればなれになった
遠野貴樹と篠原明里。

二人だけの間に存在していた特別な想いをよそに、
時だけが過ぎていった。

そんなある日、大雪の降るなか、
ついに貴樹は明里に会いに行く…。





「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の
3章からなる新海誠監督の中編アニメーション映画。

「言の葉の庭」のキーポイントとなるアイテムが、
「雨」と「ビール」だったように、本作は「雪」。

まだ13歳だった2人。メールも携帯もなかった時代の
出会いから、現在の新宿に住む2人の行く末までを描く。
2人の頭上には常に雪が舞い降りてくる。

監督のお好みで、本作の主題歌として
山崎まさよしさんの名曲「One more time, One more chance」が
使用されているのだが、これの力が大きい。
と言うか、大きすぎる。

この曲がなければ、監督のひとりよがりな「駄作」扱いに
されていたかも知れない。

男側視点で描かれた物語は、男の未練がましさと
女の非情さ、割り切りを見せつけてくれて、
実に後味が悪く爽快感は微塵もない。

漫画版ではこの続きが描かれているそうなので、
「こんな終わりはイヤだ!」と感じた方は
一読されるとよいだろう。

しかし、新海誠監督作品でカラッとハッピーエンドで
終わってくれる、明日の活力になる的物語はないのか?。
まだ2作しか見てないのに何を言う、ではあるが。

タイトルの「秒速5センチメートル」とは、
桜の花びらが舞い落ちる速度…だそうだ。





評価 ★★☆☆☆

nise!(13) 

「言の葉の庭」 2013 [映画・アニメ]

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〔2013年/日本/新海クリエイティブ〕




靴職人を目指す高校生・タカオは、
雨の朝は決まって学校をさぼり、
公園の日本庭園で靴のスケッチを描いていた。

ある日、タカオは、ひとりチョコレートをアテに
缶ビールを飲む謎めいた年上の女性・ユキノと出会う。

ふたりは約束もないまま雨の日だけの逢瀬を
重ねるようになり、次第に心を通わせていく。

居場所を見失ってしまったというユキノに、
彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと
願うタカオ。

六月の空のように物憂げに揺れ動く、
互いの思いをよそに梅雨の季節は明けようとしていた…。




「君の名は。」の新海誠監督作品。
日本というのはおかしな国で、1本作品が当たると、
それ以前は見向きもされなかった作品までが再注目され、
なぜか「埋もれた名作」扱いされてしまう。

宮崎駿監督ですら今でこそ「巨匠」として知られるが、
「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」以前は、
失敗作ばかりを送り出すアニメ屋さんだったのだ。

今では押しも押されもしない「名作」と化した、
「パンダコパンダ」や「ルパン三世カリオストロの城」ですら、
一部のアニメファン以外には、商業的失敗作の
烙印を押されていた。それが今や…である。


本作も「あの!」新海誠監督作品である。
監督の人間性とかそんなもんは関係ない。
とにかく「君の名は。」を当てた監督なのである。

「これは名作だよ!キミィ!」と評しておけば、
世間は丸く収まるのである。

が、短編だから仕方ないがストーリーの作り込みが弱い。
女教師は相手を学生と知ったうえで「恋愛対象」とみている(?)。
27歳の女教師と15歳の男子高校生。
エロビデオではよくあるパターンで、
そこにしびれる、あこがれるが、これはちょっと…。

ただ、映像表現はすばらしい。特にこの物語を成立させるための
「雨の描写」!。これはもう実写との垣根を越えた。

2人が逢瀬を重ねる舞台となった新宿の公園であるが、
最後にこんなテロップが表示される。

「新宿御苑へのアルコールの持ち込みは禁止です」。

2人の出会いのきっかけが「アルコール」なのに…。

え、そうなの?。そもそもの物語がブチ壊しじゃん!。
そんじゃあ、新宿御苑に設定すんなよ!。




評価 ★★☆☆☆
nise!(18) 
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