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「愛に乱暴」2024 [映画・邦画]

愛に乱暴.jpg
〔2024年/日本/東京テアトル〕




夫の実家の敷地内に建つ“はなれ”で暮らす桃子は、
義母から受ける微量のストレスや夫の無関心を
振り払うように、センスのある装い、手の込んだ
献立などいわゆる「丁寧な暮らし」に勤しみ
毎日を充実させていた。

そんな桃子の周囲で不穏な出来事が起こり始める。

近隣のゴミ捨て場で相次ぐ不審火、失踪した愛猫、
不気味な不倫アカウント…。

桃子の平穏な日常は、少しずつ乱れ始める。




愛「に」乱暴?
乱暴な愛ではなくて「に」?
ますます日本語がおかしくなってるよなぁ・・・、
でも、きっと何か意味があるんだろうなぁ・・・と
思いつつ見てみる。・・・意味はなかった。

別に「愛は乱暴」でも「愛よ乱暴」でも、
「ランボー3/怒りのアフガン」でもよかったようだ。

見終えた後、あまり後味のよい作品ではなかった。
前半はどこにでもある普通の家庭の日常が淡々と
退屈に描かれる。

その後、旦那が絶賛浮気中なのが見ている者に
知らされる。だからあんなに気のない顔してんのか…。

浮気相手と話をしてほしいと告げる旦那。
嫁の江口のりこはてっきり、平謝りに謝られて、
もう二度と会いません!と泣きながら逃げ出すぜ…、
と待ち合わせ場所に行くと、旦那から切り出されたのが、
彼女は妊娠中なんでオレと別れてくれ。

おいおい、のりこはこの後、旦那とメシ食って帰る気
マンマンでこの場に来てるんだぜ?なのに。

縋るのりこの手をふりほどく旦那の冷たい描写がキツイ。

のりこものりこで非情になりきれない部分があり、
なんか、やられっぱなしで終わったなぁ・・・という
感じ。

あの床下から出てきたベビー服は一体なんだったのだろう。
そして、唐突に出て来る江口のりこの裸体。
そんな必然性は微塵もない作品なのに、監督が絶対に必要
なんだよ!と口説いたのだろうか・・・。

それよりも必要なのは、もっとヒートアップした
のりこの狂気だと思う。なぜもっと狂わない?!




■本編出演 江口のりこ、小泉孝太郎、馬場ふみか、水間ロン、
 青木柚、斉藤陽一郎、梅沢昌代、西本竜樹、堀井新太、
 岩瀬亮、風吹ジュンさんほか。




評価 ★☆☆☆☆
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「茶飲友達」2023 [映画・邦画]

茶飲友達.jpg
〔2023年/日本/ENBUゼミナール〕




妻に先立たれ孤独に暮らす男、時岡茂雄が
ある日ふと目にしたのは、新聞の三行広告に
小さく書かれた「茶飲友達、募集」の文字。

その正体は、高齢者専門の売春クラブ
「茶飲友達(ティー・フレンド)」だった。

運営するのは、代表の佐々木マナとごく普通の
若者たち。彼らは65歳以上の「ティー・ガールズ」と
名付けられたコールガールたちに仕事を斡旋し、
ホテルへの送迎と集金を繰り返すビジネスを
行なっていた。マナはともに働くティー・ガールズや
若者たちを “ファミリー”と呼び、それぞれ孤独や
寂しさを抱えて生きる彼らにとって大事な存在と
なっていた。

ある日、一本の電話が鳴る。それは高齢者施設に
住む老人から「茶飲友達が欲しい」という
救いを求める連絡であった。




キッツイわぁ・・・。
高齢者専門の売春クラブ「ティー・フレンド」

若者が仲間内で起業。これって「人助けじゃね?」
淋しい人の孤独を埋めてやんだよ!
ただし、お金と引き換えに。

淋しい高齢者の人助け・・・を言い訳、隠れ蓑にし
商売は順調、ついに会員は1,000人を突破!
よし!次は新しいビジネスモデルだ!
介護施設に入居している孤独な高齢者の心のスキマを
埋めてやろう!…そんな中、事件が起こる。

ラブホテルで事を終えた後のお客男性が、ブッ倒れてる。
ティーガールはベックリして、救護せずにその場を逃走。
不審死という事で事件化。ついにはこの売春クラブにも
摘発のメスが入り、そこから一気に崩壊!!

捕まった代表の女が取調室で、くってかかる。
「正しいことだけが幸せじゃないでしょ?」と。

「寂しかったのはあなたのほうでしょ?
 あなたは人の気持ちをもて遊んでる」取調官が瞬殺。

「バカじゃないの」と一蹴されてしまうのである。

「自分の淋しさを他人の孤独で埋めるんじゃないよ」

本作で刺さったのはこの場面、セリフだけ。

2時間以上の尺がありながら、主人公以外の
キャラクターの扱いが雑。
シングルマザーの女なんか散々世話になっておいて、
警察沙汰になった途端、事務所の金ありったけ
掴んで大脱走!コイツのひとり勝ち。これはちょっと。

「高齢者の性」という一種のタブーに切り込んでは
いるけれど、これって五体満足であって、まだ性欲があり、
さらには金銭的な余裕。どれかひとつでも欠けてしまうと
同じ土俵にさえ、上がらせてもらえないんだわな。

ここで描かれる「淋しい性」は男たちばかり。
集まっている女のほうはギャンブル狂いだったり、
生活に困窮していたりと、自業自得な金欲の亡者
たちばかり。・・・やはり女は強い。




■本編出演 岡本玲、磯西真喜、瀧マキ、岬ミレホ、
 池波玄八、長島悠子、百元夏繪、クイン加藤、
 海江田眞弓、海沼未羽、中山求一郎、アサヌマ理紗、
 鈴木武、佐野弘樹、光永聖、中村莉久、牧亮佑、
 渡辺哲、楠部知子、名越志保、重岡サトル、池浪玄八、
 五頭岳夫、山下ケイジ、吉田茂樹、荻野祐輔、
 大河内健太郎、横山美智代、山形美智子、吉澤憲、
 福田温子、伊藤慶徳、大森勇一、谷川美枝、石川佳代、
 大根田良樹、伊藤祐輝、高橋清、峰秀一さんほか。




評価 ★★☆☆☆
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「アナログ」2023 [映画・邦画]

アナログ.jpeg
〔2023年/日本/アスミック・エース、AOI Pro.〕



手作り模型や手描きのイラストにこだわるデザイナーの悟。
携帯を持たない謎めいた女性、みゆき。

喫茶店「ピアノ」で偶然出会い、連絡先を交換せずに
「毎週木曜日に、同じ場所で会う」と約束する。

二人は、かけがえのない時間を積み重ね、
想いが募った悟はみゆきの素性を何も知らぬまま、
プロポーズすることを決意。

しかし約束の日に、彼女は現れなかった。

その翌週も、翌月も……。

なぜ、みゆきは突然姿を消したのか。
彼女が隠していた過去、そして秘められた想いとは。




原作、ビートたけしとのこと。
「北野武」ではなく「ビートたけし」である。

という訳で本作にはヤクザが出てきて、
いきなり銃をブッ放したり、殺し合いをはじめたり
はしない。基本出て来るのは「いいひと」

物語全体としては昭和の男が女性に追い求める
理想形が描かれている。

ミステリアスな美しい女に魅かれる男。
男による損得抜きの献身。
そして、それが開花する・・・。

主演2人の演技がよくて最後まで見てしまったが、
現実問題として、家族になる直前だったとはいえ、
家族ではない者にここまで立ち入らせることが出来るか、
また立ち入る事が出来るのだろうか。

いつ終わりがあるとも知れぬ介護、
途中でやーめた!と投げ出せない覚悟が
どれだけの人間にあるのだろうか。
実の家族であっても介護疲れの果てに悲劇が
待ち受けているというのに。

もし、あの時悲劇が起こらなければ・・・とは
思うが、平穏に続いていても、この女性には
ヒト癖、フタ癖ありすぎ。

今の時代に携帯=スマホを持たない。
それだけならまだしも、連絡先を教えない。

会うのは毎週木曜日のこの時間帯あたり、
喫茶ピアノのあのテーブルで・・・。これだけ。

コンサートに誘えば、感情がたかぶって、
途中で泣きながら退場しちゃう・・・。

こりゃあ長い付き合いは出来んぜ、正直。
いくら理由があるとは言え。
その理由も後付けのこじつけっぽいし。

桐谷健太、浜野謙太さんによる主人公の友人役が
よかった。友達のために泣いてやれるヤツって、
なんていいヤツなんだ。





■本編出演 二宮和也、波瑠、桐谷健太、浜野謙太、藤原丈一郎、
 坂井真紀、筒井真理子、宮川大輔、佐津川愛美、鈴木浩介、
 板谷由夏、高橋惠子、リリー・フランキーさんほか。




評価 ★★★☆☆

★本日nice!欄、一家団欒お休みいたします★
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「Cloud クラウド」2024 [映画・邦画]

cloud クラウド.jpg
〔2024年/日本/日活/ジャンゴフィルム〕




世間から忌み嫌われる“転売ヤー”として
真面目に働く主人公・吉井。
彼が知らず知らずのうちにバラまいた憎悪の粒は
ネット社会の闇を吸って成長し、どす黒い
“集団狂気”へとエスカレートしてゆく。

誹謗中傷、フェイクニュース・・・。
悪意のスパイラルによって拡がった憎悪は、
実体をもった不特定多数の集団へと姿を変え、
暴走をはじめる。やがて彼らがはじめた
“狩りゲーム”の標的となった吉井の「日常」は…。





これだけ錚々たる面々が出演しているというのに、
皆さん、脚本を読んでから出演OKしたのだろうか。
まさか、誰かに弱みを握られてて・・・。

とにかく「転売屋」を「悪」と描くあまり、
誇張された描写がおかしい。

アイツ、ニセブランド品売ってますよ、なんて、
宅配業者が警察にタレこんだりするか?
顧客情報の守秘義務とかないんか?

また警察からそれを聞かされて、
「早く処分しなくちゃ・・・!」と、
ひとつ1万円で仕入れて、10万円で売ってた
バッグを1,980円に次々値下げしていく菅田将暉。

「転売屋」の風上にも置けない自殺行為。

そもそも「転売」ってそんなにいけないコトかい?

安く買って、高く売るって、商売の基本だろ?
株だってそう。安い時に買って、値上がれば手離す。
その差額が自分の利益となる。

スーパーだってそう。
メーカーから安く買って、利益を上乗せし、
消費者に販売する。転売行為ではないか。

スーパーのレジでいちいち、これいくらで仕入れた?
なに?100円!?、100円で仕入れた物をお前の店は、
198円で売りつけるのか!けしからん!原価で売れ!、
なんて言うかい?

メーカーから店舗に運ぶ配送会社に対して、
お前たちは品物を右から左に運ぶだけで儲ける
つもりか!けしからからん!
無料で運ぶべきだ!なんて言うかい?

じゃあ転売屋だけがなぜ叩かれる?

限定品を買い占めて高値で売りつけるから!
う~ん・・・なるほど、それは一理ある。
でも、その価格が気に入らないなら買わなければ
いいじゃないか?チケットもそう。

需要があるから供給がある。

結局のところ人が儲けるのが許せないだけだろう?

そもそも、転売で儲からない環境をメーカーが
作るべきなのだ。それをせずに煽るだけ煽って、
諸悪の根源は「転売屋」です!なんて、おかしいだろう?

個人的には転売屋は必要悪だと思っている。

アニメグッズなんかで多いのが、地域限定。
それも特に大都会、東京の〇〇ショップのみ販売!

それいっこ買うために、地方民は新幹線に乗って、
朝一番で並びに行かないといけないのかい?
そう考えると、多少の上乗せをしても、買いに行って
くれて、確実に手に入れて、自宅まで届けてくれる。

転売屋って、ボランティアな方々じゃないのかい?

手間代ぐらいくれてやれよ。

で、問題はそんな転売屋を生業とした男の災難、
なのだが・・・転売屋に設定する必要、あった?
田舎町に引っ越した若いカップルがなにやら、
事件に巻き込まれて・・・で成立しない?

近年の作品で流行ってるのかもしれないが、
登場人物を深く描かない、説明しない。

菅田将暉の会社の社長がいきなりライフル構えて、
殺しに来るんだもの。あぁ、オレがいきなり会社を
辞めたから怒ってんのか!と菅田将暉が思ったら、
違うんだって。

「キミは居留守を使ったろう?」

あったあった!いきなり名乗りもせずに、
チャイムを押す人影があったから使ったわ、居留守。
でも、他人の家に夜、電話もラインもせずに、
いきなりやって来て無言って、誰でもビビるわ!

でも、社長はそれが許せなかった。

なんでも妻と子どもも殺して追いかけてきた。
ニュースにもなってるらしい。

な、この辺でもうバトルロワイヤル化してるんだよ。
転売行為、全っ然関係ねぇ。

菅田将暉最大のピンチを救ったのは、
以前クビにしたアルバイトの青年。

彼はGPSや、銃器を駆使して菅田を見つけ出し、
それからはじまる銃撃戦!一体彼は何者なのか!?

駅で銃を持ってきた孤独のグルメとは、
どういう関係なのか?!
これらも一切説明はない。

そして、銃撃戦は菅田と若者が勝利。
彼らは夕陽に向かって車を飛ばし続ける・・・END。

なんじゃこりゃ!
そりゃあ今年9月に公開されたのが、もう無料で
見られるハズだよ!




■本編出演 菅田将暉、古川琴音、奥平大兼、岡山天音、
 赤堀雅秋、吉岡睦雄、三河悠冴、山田真歩、矢柴俊博、
 森下能幸、千葉哲也、松重豊、荒川良々、窪田正孝さんほか。




評価 ★☆☆☆☆
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「PERFECT DAYS」2023 [映画・邦画]

PERFECT-DAYS.png
〔2023年/日本/ドイツ/ビターズ・エンド〕



東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山は、
静かに淡々とした日々を生きていた。

同じ時間に目覚め、同じように支度をし、
日々同じように働いた。その毎日は同じことの
繰り返しに見えるかもしれないが、
同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日
として生きていた。

その生き方は美しくすらあった。

男は木々を愛していた。

木々が作る木漏れ日に目を細めた。

そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。
それが男の過去を小さく揺らした。




役所広司ありき。

ドイツとの合作、ヴィム・ヴェンダース監督で、
役所広司さんプロデュース、さらに彼は
カンヌ国際映画祭で日本人2人目となる男優賞を受賞。

これらを聞くとすっげぇ映画なんだなぁ…と感じる。

確かに…「品」を感じる。

本編開始後、約30分は男が朝起きて、出勤。
各所の公衆トイレをひたすら黙々と清掃する姿が
映し出される。寡黙な男・・・という設定なので、
セリフもほとんどない。

トイレ掃除の手順を延々と観客は見続けなくては
ならない。でも「役所広司」だもん。
絶対なにか起こるわ・・・。

今まで数々の個性的な役柄を演じてきた役所広司だよ?
悪徳刑事でヤクザに殺され、ブタのエサにされたり、
黒田福美さんと生卵の口移しリレーを延々行ったり、
高橋英樹や春風亭小朝とまたまたまたまた斬りこんだり、
してきた男だ。なにかある。

しかし・・・ないなぁ。

見事になにも起こらない。

他人から見れば、同じ事を繰り返す姿を見せられる。

本人からすれば「同じ日は一度もない」のだが、
観客は「刺激」を求める。

でも、市井の人々の暮らしってこんなもんで、
暮らしの中の小さな楽しみを見つけて、それを糧に
生きてるもんだよな…と、延々続くトイレ清掃する
彼を見ながら勝手に自分で納得する。

が・・・映画だよ?これは。
このまま終わっていいのかしら。

中盤で登場するニコと呼ばれる少女が出現して、
観客が思い描いていた男の背景が一変する。

誰?この子?パパ活?別れた娘?

え、泊まっていくの?こりゃあヤバイよ!

色々と想像と妄想を膨らますのだが、
なんのことはない。姪っ子、妹の娘だった。

家出してきた娘をその妹が迎えに来るのだが、
それが外車にお抱え運転手つきの車でやってくる。

数少ない会話から、この清掃を生業とする男は、
とんでもない超絶金持ちの御曹司だとわからされる。

そうか・・・趣味の数々、楽しむ音楽が
一般大衆よりかなり格上だと思ったよ!

どうやら父親とは不仲で、今はもう惚けてしまった
父親であっても、会いたくないとうつむいてしまう程
過去に「なにか」があったようだ。


この場面を境にこの男と観客との間に距離が生まれて
しまった。「俺と同じだなぁ・・・」と親近感を
抱いていたのに、なぁ~んだ!金持ちの道楽で、
トイレ清掃やってんのかよ!

そりゃあ帰る場所がありゃあ、日々焦ることなく、
好き勝手に生きられるわな!とやっかんでしまう。

吉宗=上様が徳田新之助と偽名を騙り、下町に
紛れ込み、悪人とは言え、夜な夜な人間を斬り殺し、
ストレス解消してるようなもんだよ!


そこからの観客=ワシはもう、役所広司には冷たいね。

大体、トイレ清掃員が行く先々でこんなにモテる訳
ねぇじゃねぇか!キャバ嬢にはチュウされ、昼飯を
公園のベンチで食ってると、どっかの会社のOLが
熱い視線を送って来る。

行きつけのスナックではウイスキーのお好きなママが、
ほかのお客より一品多く出してくれる・・・。

あんたが役所広司だからだよ!

オレは役所広司ではないから、こんな生き方は
出来ないんだよ!帰るべき場所もないんだよ!

2時間かけて得たものは人をうらやむ感情。

でも、さすがドイツ人監督だけあり、絵面はとても綺麗。




■本編出演 役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、
 麻生祐未、石川さゆり、三浦友和、田中泯さんほか。




評価 ★★☆☆☆
nise!(18)  コメント(2) 

「怪物」2023 [映画・邦画]

怪物.jpg
〔2023年/日本/AOI Pro.〕



大きな湖のある郊外の町。
息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、
そして無邪気な子供たち。

それは、よくある子供同士のケンカに見えた。
しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会や
メディアを巻き込み、大事になっていく。

そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。




怖っ・・・!田中裕子、怖っ!
こりゃあ完全にホラーだな。

だって同じ人間であり、日本人なのに、
言葉が通じないのですもの。
母親が自分の息子が教師に虐待を受けたと
怒鳴り込んでいるのに、繰り返されるのは
ご意見を真摯に受け止め、適切な指導を~・・・。

いくら聞いても、質問を変えても、
女校長は無表情にそれを繰り返す。

親が主張する「体罰」についても、
教師の手と生徒の鼻の接触がございましたと、
置き換える・・・。
決して「体罰」とは認めない・・・。

こりゃあとんでもない「怪物」たちが巣くう、
学校という組織と子どもを守る親との戦いの記録
だな!おもしろそう!

・・・ここまでは私もそう思ってました。

しかし・・・!

何度も同じ展開を登場人物の視点を変えて、
描いていきます。確かにあぁ、あの時の事件には
このような裏があったのか、先生なにも悪くない
じゃん!、周りに追い込まれていくだけじゃん!
・・・というのはわかるんですが・・・。

くどい。もういい。

結局、同じ展開をなぞってなぞって、
あげくの果てに台風の中、姿を消した2人の子どもは、
生きているのか、死んでいるのか。

ラストに出てきた子どもたちの走っている場所は、
現実世界なのか、死後の世界なのか、彼らはネコの
死体のように生まれ変わったのか?

あとは見ているお前らの判断に任すよ・・・と、
ブツ切りで「完」・・・なんじゃこりゃ!

是枝裕和監督、脚本に坂元裕二先生、
さらには音楽に世界の坂本龍一先生だ!

これだけのメンツが揃って、おもしろくないハズが
なかろう?なに?つまんないだと?
そりゃあお前のアタマが悪いのさ、豚の脳みそでも
詰まってんじゃねぇのか?

製作陣がそう問いかけて来る、こちらの知能指数が
試される一作。

唯一の見どころ。
保利先生の趣味は新聞や雑誌の
「誤植を見つけて出版社に手紙を送る」こと。

そんな妙な男にも彼女がいる。
それが「今日、ケンタッキーにしない?」の
高畑充希さんだ。さすがに鶏は食っていないが、
保利先生がちゅうされる場面が・・・!

役得だなぁ。永山瑛太はもう引退していいよ。




■本編出演 安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、黒川晏慈、
 柊木陽太、黒田大輔、森岡龍、北浦愛、小林空叶、
 柳下晃河、金光泰市、飯田晴音、ぺえ、野呂佳代、
 中村シユン、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子、
 小畑葵、石橋実都、志村瑛多、片山萌美、松浦慎一郎、
 大田路、ゆってぃ、石橋類、黒宮けいた、石橋琴子、
 赤坂優弥、藤井峻、木村日向、庄田心春、大北怜花、
 溝口凛瞳、田中爽一郎、今西葵、西野未姫、木月あかり、
 宮司愛海、渡辺和洋、文山胤萌さんほか。




評価 ★☆☆☆☆
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「決戦は日曜日」2022 [映画・邦画]

決戦は日曜日.jpg
〔2022年/日本/パイプライン〕




とある地方都市。

谷村勉は、この地に強い地盤を持ち当選を続ける
衆議院議員・川島昌平の事務所で私設秘書として
働いている。秘書として中堅になり、川島の完璧な“
サポートをするだけ”のこの仕事に満足していた。

ところがある日、川島が病に倒れてしまう。

そんなタイミングで衆議院が解散。
次の選挙に川島の地盤を引き継ぎ、選挙に出る
人間として白羽の矢が立ったのは、川島の娘・有美。

自由奔放、世間知らず。
だけど謎の熱意だけはある有美に振り回される
秘書たち。でもまあ、父・川島の地盤は盤石。
よほどのことがない限り当選は確実・・・
だったのだが、政界に蔓延る古くからの慣習に
納得ができない有美はある行動を起こす。




一応、窪田正孝さんが「主演」なのか。

窪田正孝、内田慈さんと好みのキャスティングなので、
期待したのだが、コメディにしては振り切れておらず、
爽快感が感じられない。

議員の長女というだけで、病に倒れた父に代わり、
いきなり選挙に担ぎ出された宮沢りえさん。
そりゃあ、まぁ戸惑うし、本当はやりたくないのも
理解出来る。

そこで秘書と組んで、なんとか落選しようと企むが、
計画が裏目裏目になり、結局「当選」しちゃう。
周りは大喜び。

話はそれだけ。連続ドラマならば第1話。
これから先、最強バディ誕生でおもしろくなるぞ!、
というところで終わっちゃう。

映画には向いてない。テレビドラマ向けの企画だろうな。
キャストはいいのになぁ。惜しい。





■本編出演 窪田正孝、宮沢りえ、赤楚衛二、内田慈、
小市慢太郎、音尾琢真、小林勝也、たかお鷹、高瀬哲朗、
今村俊一、原康義、石川武、松井工、久松信美、
田村健太郎、駒木根隆介、前野朋哉、斎藤志郎さんほか。




評価 ★★☆☆☆
nise!(18) 

「一本刀土俵入」1960 [映画・邦画]

一本刀土俵入.png
〔1960年/日本/大映〕



利根川べりの茶屋・安孫子屋の表では、
土地の顔役、波一里儀十の身内船戸の弥八が
大暴れしている。

興行先でお払い箱になり仕方なく江戸へ向かう
駒形茂兵衛はこの弥八にからまれてしまった。

この様子を二階からみていた安孫子屋の酌婦お蔦は、
上から弥八をけん制、茂兵衛に声援をおくった。
それに力を得た茂兵衛は弥八の胸に頭突きを入れて
倒すが自分も座りこんでしまった。

お蔦は彼が腹を空かしていると聞くと巾着に
櫛カンザシまで投げ出し、心から彼を激励する。
茂兵衛はこの親切に涙を浮かべ、必ず横綱になり
今日の恩返しに土俵入りを見てもらいますと誓い
再会を約束して別れる。それから七年。

お蔦は一人娘のお君と二人で船印彫師の夫、
辰三郎の帰りを待ちながら飴売りをして
細々と暮していた。三年以上も家に
よりつかなかった辰三郎も無性に家に帰りたい
気持ちに。長い間苦労をかけた妻子にせめて
多少の貯えぐらいと思った辰三郎は、
波一里儀十の鉄火場でいかさま賭博をしかけ、
バレるやいなや金をつかんで逃げ出したのだが。




幾度も映像化される長谷川伸先生の股旅モノ。

当時50代の長谷川一夫氏が十代の相撲取りを演じる。
・・・と聞くとコントかよ?と思われるが、
当時はこれが普通だった。

令和の人々の心から消えかけている「義理と人情」の
世界。ただ一度、飯をごちそうになった間柄だが、
それを「恩」と感じて、この7年いつか返さねばと
生きてきた男。

いま、ようやくそのご恩返しの時がやってきた。

が、肝心の相手が憶えていない。
まったく憶えていない。

「どうにも思い出せない!」と繰り返す女(笑)
そこまで思い出せないなら、もういいよ!
無理に思い出さなくても。

結局、最後まで思い出さなかったようだ。
それでも長谷川一夫は満足。

そしてまた、見知らぬ誰かに恩を回して、旅を続ける。
日本人が忘れてはならない「心」がここにある。




■本編出演 長谷川一夫、月丘夢路、宮川和子、菅原謙二、
 藤原礼子、山本弘子、千葉敏郎、光岡龍三郎、水原浩一、
 市川謹也、伊達三郎、近江輝子、山路義人、
 澤村宗之助さんほか。




評価 ★★★☆☆
nise!(24) 

「切られ与三郎」1960 [映画・邦画]

切られ与三郎1.png
〔1960年/日本/大映〕



子宝に恵まれない江戸蝋燭問屋"の伊豆与は、
養子の与三郎を跡目に迎えるが、まもなく
実子が生まれると、与三郎は自ら放蕩三昧を
繰り返して家を飛びだし、すべてを実子に譲り
あてどない旅へと出る。

得意の新内を流して歩いた木更津の浜で、
与三郎はお富さんと出会い、恋に落ちた。

だが、お富を囲う網元・源左ヱ門は、与三郎を
激しく折檻し、傷だらけのまま海に投げ込んでしまう…。




往年のヒット曲、春日八郎さんの歌う「お富さん」の
原作・・・と言えば、軽快な歌声が脳裏に浮かび、
本作もライトコメディーかと思いきや…
なかなかの悲劇、悲恋の名作。

まず驚くのは、あの頃の中村玉緒さんを差し置いて、
ヒロインを演じるのが富士真奈美さん。
後年の厚かましいおばさんのイメージが強烈過ぎて、
想像もできないだろうが、この美少女っぷり!

見どころは時代劇全盛期だったからこそ出来た、
広大なスタジオに組まれた手抜きなしの時代劇セット、
脂の乗り切った美麗な雷蔵を上回るほど、
本作における富士真奈美さんの切なき美しさは絶品。

この10年後には岡崎友紀さんや石立鉄男さんを
追い回すのである。人が変わるには充分すぎる
歳月である・・・。ねぇ、テル。




■本編出演 市川雷蔵、淡路恵子、富士真奈美、中村玉緒、
 大和七海路、香川良介、村田知栄子、浦辺粂子、小沢栄太郎、
 潮万太郎、多々良純、小堀阿吉雄、嵐三右衛門、山路義人、
 寺島貢、尾上栄五郎、天野一郎、水原浩一、高倉一郎、
 五代千太郎、浅尾奥山、原聖四郎、横山文彦、大丸智太郎、
 三木譲、小松みどり、高野通子、種井信子、清水明、
 浅野寿々子、浜田雄史、旗孝思、滝川潔、丸凡太、尾崎和枝、
 山崎洋子、寺内真知子、奥村敦子さんほか。




評価 ★★★☆☆
nise!(22) 

「酔いどれ波止場」1966 [映画・邦画]

酔いどれ波止場.jpg
〔1966年/日本/大映〕




酔いどれ名医ギョロ松がふらりと姿を見せたのは、
とある港町。ここでは般若の鉄五郎一家と夜桜の
トラマツ一家が港湾労務者のピンハネをして争い、
円福寺の狸和尚は重要文化財の横流しをして、
警察署長や若い警官を手こずらせていた。

ギョロ松が美人のお吉の店で飲んでいた時、
フグ中毒にかかったイダテンとキンタロー、
ソロを助けたことから町医者オイボレ先生の
医院に住みこむことになる。

ギョロ松による手荒い診察は、治療効果絶大、
大評判となり、医院は大繁昌。お吉と医院の
一人娘の光子は、ギョロ松にすっかり惚れ込んでしまい、
何かと張りあうのだった。

一方のギョロ松は、二組のヤクザの親分の名声欲を
利用して、医院のスポンサーにしてしまった。

競争意識に燃えた鉄五郎とトラマツ。
その上、診察料を無料にしたものだから、
医院はさらに大繁昌!

だが人々の人気はギョロ松に集まるばかりで、
肝心の親分たちの方といえば、財布の中身が
減るばかり。ギョロ松のカラクリにようやく
気のついた親分たちは、ギョロ松を痛めつけようと
するのだが、逆に海に投げ込まれてしまうのだった。




さすが1966年の作品!
令和では見かけなくなった描写のつるべ打ち!

「酒を口に含んで、吹きかけて消毒!」
「劇中、フグを食べた者は必ず当たる!」
「また、フグに当たった者は土中に埋められる」

勝新は医者だとは名乗らないが、医療の知識は
あるようだ。非常に手荒い治療で人々を救う。

劇中何度か「すごいお医者さんね♡」的な事を
言われるが、「医者じゃねぇよ」と返す。
(この意味は終盤2分で明かされるのだが・・・)

ラストは「裸の大将」をほうふつとさせる。
勝新太郎ありきで作られたような、
勝新キャラにおんぶにだっこな作品。




■本編出演 勝新太郎、高田美和、横山道代、岩崎加根子、
 小沢栄太郎、藤岡琢也、丸井太郎、殿山泰司、遠藤辰雄、
 杉裕之、多々良純、平泉征、森乃福郎、勝村淳、
 南条新太郎、尾上栄五郎、沖時男、近江輝子、毛利郁子、
 橘公子、石原須磨男、小林加奈枝、堀川りょう、
 土井まゆみさんほか。




評価 ★★★☆☆
nise!(21) 
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