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「ワンダフルライフ」1999 [映画・邦画]

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〔1999年/日本/テレビマンユニオン〕



「貴方の一番大切な思い出を1つだけ選んでください」。

霧に包まれた古い建物に人々が吸い込まれていく。
全部で22人。

彼らは面接室に案内され、そこで待ち受けていた
職員にこう言われる。
「あなたは昨日、お亡くなりになりました。
ここにいる間にあなたの人生を振り返って
大切な思い出をひとつだけ選んで下さい」。

彼らはこの施設で天国へ行くまでの7日間を
過ごすことになっているのだ。選ばれた思い出は
職員たちの手で撮影され、最終日には上映会が開かれるという。





かつて「モリのアサガオ」で死刑囚を演じ、
世間に衝撃を与えた井浦新さんがARATA時代に出演された一作。
なぜ彼は芸名を変えたのだろうか。
MALTAと間違えられるからだろうか…?。

マルタと間違えられるということは、「丸太」。
つまり先日、集英社が抗議を受け、謝罪した一件も
記憶に新しい。つまりは731部隊を連想…そんな訳はない。

本作の舞台は、この世とあの世の中間点。
三途の川あたりだろうか。そこで一週間滞在する施設がある。
つまり登場人物はすべて「死人」である。

製作から20年近くが経った今、見返してみると
実際に鬼籍に入られた出演者も多い…。もう笑い事ではない。

中盤まで、この市役所の職員みたいな人々は、何者?。
我々が「神」と呼ぶモノなのだろうか…と漠然と考えていた。

「神」が死者の一番の思い出を映画撮影をするように、
舞台装置を組んで撮影している…。
「神」はなにをやっているのか。
これは「神」のヒマつぶしなのだろうか…そう考えていた。

ところがこの職員たちの意外な正体が明かされる。

ここにいる人々は、「一週間の期限内」に、
「思い出をひとつ決められなかった人々」であった。

成仏することなく、この施設で見ず知らずの人々の
思い出を再現することに骨をおっている。
しかも、このような施設はほかにも点在し、
職員間の移動・転勤もあるようだ…。

ここで働く人々は成仏も転生も出来ず、無間地獄のように
ただ、働かされ続けるのだろうか…そう考えるとそら怖ろしい。

しかし、一週間の期限内で、自分の人生のうち、
「たったひとつだけの思い出」を選ぶ…というのは
ムズかしくないか。たったひとつ、ひとつだけだ。

そのひとつを抱いて、天国に行ける。
これ以上、これ以下はない。たったひとつだけである。

ボクならば…今の記憶を持ったまま、
職員となる道を選ぶだろうな。

映画撮影が出来るぐらいだ、ブログ更新は出来るだろう。




評価 ★★★☆☆
nise!(13)