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「Red」2020 [映画・邦画]

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〔2020年/日本/オフィス・シロウズ〕




大雪の夜、車を走らせる男と女。

先が見えない一夜の道行きは、
ふたりの関係そのものだった。

誰もがうらやむ夫、かわいい娘、
“何も問題のない生活”を過ごしていた、
はずだった塔子。

10年ぶりに、かつて愛した男・鞍田に再会する。
鞍田は、ずっと行き場のなかった塔子の気持ちを、
少しずつ、少しずつほどいていく…。

しかし、鞍田には“秘密”があった。




女流作家、島本理生先生の小説を、
女流監督の三島有紀子さんが映像化。

「原作とは真逆の衝撃の結末、決意」と
あったので期待に震えて見てみたが、
またしてもトンデモ映画に出くわしてしまった。

なぜ、原作のまま映画化しなかったのか?
女流監督のエゴイズム全速前進な作風が炸裂!

とにかくモテるワタシ!
子持ちでもモテるワタシ!
社会に復帰してみたら、主婦なのにモテるワタシ!

そんな自己中心的な「メス」を鋭く描く。
これは監督の描く理想であるのか?

ラスト、主人と娘がメス女を迎えに
はるばるやってくる。

「ママ帰ろう」と泣き叫ぶ娘に対して顔を横に振り、
男のもとへ歩き去っていくメス・・・。

児童虐待もいいとこだよ!ひどすぎる。
どうせ余命いくばくもない男がおっ死んだら、
何事もないツラで「ゴメンネ~!」とか言って、
戻って来る未来が易々と見える鬼畜母。

それにしても妻夫木聡の出演している映画は
なぜこんなに性交シーン(相手が男女問わず)が多いのか。
出演条件のひとつに組み込んでいるのか?

それでいて、相手の露出はほぼゼロ。
乳首や尻を観客に見せるのは妻夫木の役目。
見たくない、見たくない!お前はがんばって、
年末ジャンボ3億円当てておけ!

作品上に「なくても成立するラブシーン」が
存在するためにR15+が指定されてるんだよ。
なんのための指定なのか。

そして現在の邦画界のムチャなゴリ推し。
昭和時代なら、どう見ても脇役、変質者役の
俳優を「雰囲気二枚目」でいい男的に描くのは
やめてほしい。

特に演技が素晴らしい訳でもなく、見た目は…、
なのに、監督と懇意だからとか横のつながりで、
〇〇組とか調子こいて、気が付けば、そんな作品
ばかりになってしまっている。

それを「個性派」とか「演技派」などという、
漢字三文字でごまかすのはやめてほしい。

20年、30年後、粗製乱造されたそんな作品には
誰も振り向かないだろう。





■本編出演 夏帆、柄本佑、間宮祥太朗、片岡礼子、酒向芳、
 山本郁子、浅野和之、余貴美子、妻夫木聡さんほか。




評価 ☆☆☆☆☆
nise!(18) 

「ディア・ドクター」2009 [映画・邦画]

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〔2009年/日本/エンジンフイルム/アスミック・エース〕




山あいの小さな村で、村人たちから“先生”と
親しみをこめて慕われていた医師・伊野が
突如失踪する事件が発生。

2人の刑事を相手に、村人たちは思い思いに
伊野の話を語るが、驚くべきことに誰ひとり、
彼のはっきりした素性を知らず、実は彼は
正式な免状を持たないニセ医者だった。

失踪直前、伊野はひとり暮らしの未亡人、
鳥飼かづ子の診断をめぐって、その末娘である
医師、りつ子から追及を受けていた・・・。





こんばんは。笑福亭鶴瓶でございます。
いやぁ~、見てくれたんかいな、ありがとう。
「デアドクター」な。

あれもエライ時間かかって山奥で撮影した映画やったわ。
まぁ、せやけど正直言わしてもろて、しょうもないな。
あんなしょうもない映画、よぉお金出して皆、見に行ったな。
感心するわ。

大体ボクなんか、パッと見て医者に見えますか?
見えへんでしょう?この目ぇやで、この目!
これは医者じゃない、「殺人鬼」の目ぇや。
いうたらまぁ、サイコパスみたいな。
笑ても笑てへん、何考えてるかわからん。
そんな目ぇですわ。

そんな人間をですよ、医者て…監督、あんた
何考えてるのん?

話もまぁ、とりとめがないわ。
時間がな、あっち行ったりこっち行ったり、
落ち着かん。
ほんで最後は全部お手上げで逃げてまえや。

こんなとこで終わってどうすんのん?
これでお金取れますのん?そう思た作品です。

今日はちょっともう、ハッキリ言わしてもらうよ、
「デアドクター」はボクの黒歴史です。ありがとう。





■本編出演 笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、松重豊、岩松了、
 笹野高史、井川遥、キムラ緑子、滝沢涼子、森康子、
 五頭岳夫、市川千恵子、奥野匡、高橋昌也、石川真希、
 中村勘三郎、香川照之、八千草薫、飯沼慧、水島涼太、
 冷泉公裕、安藤玉恵、新屋英子、田中隆三、河原さぶ、
 森富士夫、川辺久造、市原清彦、志生野温夫、掛田誠、
 いか八朗、成瀬労、石田愛希、比佐廉さんほか。





評価 ☆☆☆☆☆


nise!(20) 

「ひとくず」2019 [映画・邦画]

ひとくず.jpeg
〔2019年/日本/テンアンツ〕




生まれてからずっと虐待の日々が続く少女・鞠。

食べる物もなく、電気もガスも止められている
家に置き去りにされた鞠のもとへ、犯罪を重ねる
破綻者の男・金田が空巣に入る。

幼い頃に虐待を受けていた金田は、鞠の姿に
自分を重ね、社会からは外れた方法で彼女を
救おうと動き出す。そして、鞠の母である凜の
恋人から鞠が虐待を受けていることを知る。

虐待されつつも母親を愛する鞠。
鞠が虐待されていると確信した担任教師は、
児童相談所職員を連れてやって来るが、
鞠は母の元を離れようとせず、保護することが
できずにいた。金田は鞠を救うため虐待をする
凜の恋人を殺してしまう。

凜に力ずくで、母親にさせようとする金田。
しかし、凜もまた、虐待の過去を持ち、
子供の愛し方が分からないでいた・・・。




日本映画は衰退の一途だとあきらめていたが、
良品に出会ってしまった。

男と女とその娘。
その全員が親による虐待を受けて育った被害者。
人との接し方、距離感、愛し方がわからない。
誰もそれを教えてはくれなかったし、
知る事の出来る環境になかった。

そんな3人が出逢い、疑似家族の形を作り上げていく。

正直、この作品に出てる俳優さん、不勉強ながら
存じ上げない方ばかり。主演、監督、脚本と大活躍の
上西雄大さんも初見。

この粗暴な男が泥棒に入った先で出くわした
少女、マリにだけは心を開き、マリのピンチには
必ず駆けつけて来る。

母親のオトコにアイロンを当てられそうになる直前に、
ガラス戸を蹴破って入って来る金田はマジ、ヒーロー。

しかし・・・弱い。本当に弱い。
目も当てられないほどに弱い。

無敵ではないところに金田の人間味を感じるのだろう。

ひとつだけ引っかかったのは、金田がコソ泥を行ったと
確信しながら旧知のベテラン刑事が金田に職を紹介する。
刑事が犯罪者を目の前にしながら、目をつぶる。
そんな事があってよいのか?

結局、その刑事が見逃しても、疑似家族の終焉は
やってくるのだが・・・。

大きな予算がなくても、有名な俳優がおらずとも、
「良い作品」は作れるのだ。
邦画の可能性を感じさせる佳作。





■本編出演 上西雄大、小南希良梨、古川藍、徳竹未夏、
 中山むつき、木下ほうか、田中要次、堀田眞三、城明男、
 税所篤彦、川合敏之、椿鮒子、空田浩志、吉田祐健、
 中里ひろみ、谷しげる、星川桂、美咲、西川莉子、
 中谷昌代、上村ゆきえ、工藤俊作、飯島大介さんほか。




評価 ★★★★★
nise!(18) 

「ゆれる」2006 [映画・邦画]

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〔2006年/日本/エンジンフィルム〕




東京で写真家として成功した猛は、
母の一周忌で久しぶりに帰郷した。

実家で父親と暮らしている兄の稔、
幼なじみの智恵子との3人で近くの渓谷に
足をのばすことにする。

懐かしい場所にはしゃぐ稔。

稔のいない所で、猛と一緒に東京へ行くと
言い出す智恵子。だが渓谷にかかった吊り橋から
流れの激しい渓流へ、智恵子が落下してしまう。

その時、そばにいたのは、稔ひとりだった。

事故だったのか、事件なのか。
裁判が始められるが、次第にこれまでとは違う
一面を見せるようになる兄を前にして
猛の心はゆれていく・・・。




トンデモ映画。

橋から転落して亡くなった被害者とその遺族に
ついてはな~んも考えていない。
ただ、兄弟間の確執だけで兄貴を7年も刑務所に
ぶち込んだ弟が偶然出てきた子ども時代のフィルムを
見つけ、それを鑑賞しているうちに改心するまでを描く。

事故が起きた当初、画面に大写しになった兄の腕の
ひっかき傷は伏線ではなかったのか?
それに誰も触れるおとなく裁判は進み、
せっかく事故で片付く所を弟のこれは故意だ!という
証言一発で、大した確証もないのに有罪決定。

出演者はいいのに、ツメが甘々な脚本、演出のせいで
鑑賞した2時間かやせムービーの爆誕となった。





■本編出演 オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀、
 新井浩文、真木よう子、木村祐一、ピエール瀧、
 田口トモロヲ、蟹江敬三、キタキマユさんほか。




評価 ☆☆☆☆☆
nise!(20) 

「夢売るふたり」2012 [映画・邦画]

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〔2012年/日本/アスミック・エース〕



東京の片隅で小料理店を営んでいた夫婦は、
火事ですべてを失ってしまう。

夢を諦めきれないふたりは金が必要。
再出発のため、彼らが始めたのは妻が計画し、
夫が女を騙す結婚詐欺!しかし嘘の繰り返しは
やがて、女たちとの間に、夫婦の間に、
さざ波を立て始める…。




まぁちょっと「ありえない」夢物語。
こんな短期間に、阿部サダヲさんがこんなにモテる
ハズがない。確かに阿部サダヲさんはいい俳優だが、
本編中は一緒にいても、常につまんなさそうにしてる。

そもそも「夢をかなえるために夫婦で結婚詐欺」
という発想からしてアタマおかしいのだけれど。

阿部サダヲさんがひとりで犯罪を重ねていくなら
まだしも・・・。

で、30過ぎの独り身に焦りを感じている女性ばかりに
狙いをつけ、妹(松たか子さん)が病気だと
金を引っ張る。デリヘル嬢からまでも金をむしり取る。

やってることがエグイ。

なのに、最後の最後は「ちょっといい人」的な雰囲気を
出させて罪を浄化させようとでも言うのか。

笑福亭鶴瓶さんがこの映画の真の主役であった。
おいしいところは鶴瓶が全部、持って行った。




■本編出演 松たか子、阿部サダヲ、田中麗奈、鈴木砂羽、
 安藤玉恵、江原由夏、木村多江、やべきょうすけ、
 大堀こういち、中村靖日、山中崇、村岡希美、猫背椿、
 原千果子、倉科カナ、佐藤和太、伊勢谷友介、
 ヤン・イクチュン、古舘寛治、小林勝也、香川照之、
 笑福亭鶴瓶さんほか。




評価 ★★☆☆☆
nise!(20) 

「はるヲうるひと」2019 [映画・邦画]

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〔2019年/日本/ラインバック〕




とある島。そこは至るところに「置屋」が点在する。
置屋とは「ちょんの間」=売春宿である。
「かげろう」と呼ばれる置屋にその「三兄妹」
はいた。長男の哲雄は店を仕切り、
その凶暴凶悪な性格で恐れられている。

次男の得太は哲雄にこびへつらい、子分のように
したがっている。長女のいぶきは、長年の持病を
患い床に伏してる。ここで働く四人の個性的な
遊女たちは、哲雄に支配され、得太をバカにして、
いぶきに嫉妬していた。

女を売る家で唯一女を売らず、それどころか
優遇された箱入り娘。しかも、いぶきはだれよりも
美しかった。得太はその美しいいぶきを、
ただただ見守り寄り添うだけであった。

出口のない閉塞感に苛まれつつ、目の前の現実を
日々受け入れ、無為に生きる面々。
だが、先代で、三兄妹の父・義雄をめぐる
「ある秘密」が明らかになり、
それぞれの運命を変えていく。




どこに出ても、それがどんな作品であろうが、
誰も望んではいないのに、なにか余計なことを
やらないと気の済まない佐藤二朗さんが主宰する
劇団の舞台劇を映画化したもの。

原作、脚本、監督と大車輪で活躍の佐藤二朗さん。

気の置けない仲間うちを集めて、1本撮ってみました~、
という印象。なにを伝えたいのか意図が理解できない。
登場人物全員のアタマの中がちょっとおかしいのは
よくわかる。

力で支配する長男が人を見る基準は
「まっとうか」「まっとうでないか」

「まっとう」でない者は「はなくそ」である。

すべては「はなくそ」らしい。
この世は「はなくそ」か「はなくそ」以外しか
ないようだ。

弟のほうも「ちんかす」か「ちんかす」でないかが
判断基準のようで、結局この生活に満足は
していないのに、明日も続けていくしかできない。

ちょんの間で勤めてる人間は全員、
アタマがおかしい・・・そんな偏見に満ちた一作。
結局、誰ひとりとして「まっとうな」登場人物は
見受けられずであった。

唯一さわやかさ満点で1分間登場した、向井理さんも
ちょんの間の女を腹の底では見下した差別感満腹の
爽快さで胸糞悪いさわやかさ!




■本編出演 山田孝之、仲里依紗、今藤洋子、笹野鈴々音、
 駒林怜、太田善也、向井理、坂井真紀、佐藤二朗、
 大高洋夫、兎本有紀、市川しんぺー、大水洋介さんほか。




評価 ★★☆☆☆
nise!(20) 

「すばらしき世界」2021 [映画・邦画]

すばらしき世界.jpg
〔2021年/日本/AOI Pro.〕




下町の片隅で暮らす短気ですぐカッとなる三上正夫は、
強面の見た目に反して、優しくて真っ直ぐすぎる
性格の男。

しかし彼は、人生の大半を刑務所で暮らした
元殺人犯だった。一度社会のレールを外れるも
何とか再生したいと悪戦苦闘する三上に、
若手テレビマンがすり寄り、ネタにしようと
目論むが...。

三上の過去と今を追ううちに、
逆に思いもよらないものを目撃していく。





佐木隆三先生の小説「身分帳」を原作に
西川美和監督が劇場映画化。実在の人物を
モデルとした作品。

確かに「すばらしき世界」ではあった。

こんな「すばらしき世界」があったらいいなと思えた。

例え人を殺しても受け入れてくれる社会。
すぐにカッとなり、加減のわからないほどの暴力を
振るう男に対して「根はやさしくて、いいひと」と
理解してくれる、そんないい人ばかりが周りに
溢れてくれている。

やはり人はそう簡単には変わることが出来ない。

本作の主人公は変わろうと努力はしている。
しかし、湧き上がる怒りを抑えることが出来ない。

知り合う人々が皆、協力してくれる、
応援してくれる。近隣のスーパーの店長までも。

現実はどうだろうか。
ここまであまりよく知らない他人の懐にズカズカと
入り込んで、無利子無利息で金まで差し出してくれる。
そんなおせっかいなヤツらが大量発生している、
こんな「すばらしき世界」が存在するならば
私もぜひ住んでみたい。


ところで役所広司さんの演技は素晴らしいものである。
近年はほとんどが元やくざ、元極道、元その筋の者・・・
という役どころが多く、本作でも上半身に見事な
入れ墨を披露されている。

どうだろう、いっそのこと本当に入れ墨をどこかの
映画会社の提供で入れてみては?
いちいち描いたり、落としたりもメンドクサイだろう?
これからも日陰者を演じていかれるおつもりなら、
ぜひ、前向きに検討していただきたいところだ。





■本編出演 役所広司、仲野太賀、橋爪功、梶芽衣子、
 六角精児、北村有起哉、白竜、キムラ緑子、長澤まさみ、
 安田成美、白鳥玉季、康すおん、井上肇、山田真歩、
 マキタスポーツ、桜木梨奈、松澤匠、田村健太郎、
 三浦透子、松浦慎一郎、沖原一生、まりゑ、松角洋平、
 松岡依都美、奥野瑛太、田中一平、髙橋周平、松浦祐也、
 小池澄子、安楽将士、今藤洋子さんほか。





評価 ★★★☆☆
nise!(17) 

「何者」2016 [映画・邦画]

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〔2016年/日本/東宝〕




ひとつの部屋に集まった5人の男女。

大学の演劇サークルに全力投球していた拓人。
拓人がずっと前から片想いをしている瑞月。

瑞月の元カレで、拓人とルームシェアを
している光太郎。拓人たちの部屋の上に
住んでいる、瑞月の友達の理香。

就活はしないと宣言する、理香と同棲中の隆良。
理香の部屋を「就活対策本部」として定期的に
集まる5人。それぞれが抱く思いが複雑に交錯し、
徐々に人間関係が変化していく。

「私、内定もらった…。」

やがて「裏切り者」が現れたとき、
これまで抑えられていた妬み、本音が
露になっていく。人として誰が一番価値が
あるのか? そして自分はいったい「何者」なのか?





「邦画」の限界を感じた一作。

日本の映画は死んでしまったのだと
実感させられた。なぜにこの映画の評価が高いのか、
理解に苦しむところだが、起用している役者がすべて
「旬」の方々ばかりなので、それぞれのファンが、

この人が出てるから観る!
この人が出てるならなんでも傑作!

そういう熱烈な声援が押し上げた結果では
なかろうか。

映画とは見たことがない景色、物語を
90分間、疑似体験させてくれる夢の空間だった
のではなかろうか。

こんな自分の身内でもない大学生の就職活動、
仲間内でスマホを眺めながら、飲み会続きの
盛り上がらない日々なんか
誰が興味があるのか?

刺さらない、刺さらない、まったく刺さらない。
なにひとつ得る所がない。

じゃあなぜ観たのか?アマプラでタダだったから。
主演がダブル仮面ライダーだったから。それだけ。

こんな映画を当時有料で劇場公開するなんて
あんた・・・「何様者」?





■本編出演 佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、
 岡田将生、山田孝之さんほか。




評価 ☆☆☆☆☆
nise!(19) 

「こはく」2019 [映画・邦画]

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〔2019年/日本/FOOLENLARGE〕





長崎県に住む広永亮太35歳。
幼い頃に別れた父のことはほとんど覚えていないが、
父が借金とともに残していったガラス細工会社を
受け継ぎ、どうにか経営を立て直しつつある。

その一方で、かつての父と同じように離婚し、
ふたりの息子とずっと会っていない亮太。

現在の妻の友里恵とは幸せに暮らしているが、
友里恵から妊娠を告げられ、父親になることへの
一抹の不安を覚える。

そんな折、母の元子と暮らす兄の章一が、
街で父を見かけたと言い出す。

いい加減なことばかり言って仕事もせずに
ぶらぶらしている兄が、いつになく真剣な面持ちで
父への恨みも口にしたため、亮太は衝撃を受ける。

亮太は兄と共に父を捜しながら、自分たちと
別れた後の父の人生に思いを巡らせる。
二人は、唯一の手がかりとなりそうな元従業員の
住所を手に入れるが、その女性はすでに
引っ越していた。そもそも兄が父を見たと
いうのは本当なのか、と亮太は疑い始める…。




そもそも、いいトシこいて定職にも就かず、
フラフラしてる兄役を演じる「大橋彰」とは
誰なのか?


アキラ100%.jpg

 これか!!

おっそろしい!演技派だよ!この野郎!
「アキラ」と名のつく人間に悪いヤツはいない。
なにをやらせても超一流とは薄々気づいていたが、
アキラ100%の演技力がここまでのものとは。

2019年のバカデミー賞はすべてこのアキラ100%に
捧げるべきだった。100どころではない。
アキラ200%以上だよ!

本作の評価はこれだけ。

ストーリー自体は訳がわからない。
父は息子2人を捨てた訳ではない。
子どもたちは夫婦が別れる際に母親を選んだ。
捨てられたのは父親のほうかも知れない。

その兄弟のうちの弟もまた2人の息子の父で
あったのに、離婚してそれ以来息子とは
会っていない・・・。

なのにとっとと次の女を見つけてご懐妊?
どういうこっちゃ。自信がないとかほざきながら、
赤ちゃん誕生してんじゃん?

感動ストーリーに仕立て上げようとしてはいるが、
登場人物の掲げる主義主張と行動が一致しない。

本作の評価はアキラの100%演技と、
木内みどりさんのほぼ「遺作」となる点にある。
それ以外は観るべきところなし。





■本編出演 井浦新、大橋彰、遠藤久美子、嶋田久作、
 塩田みう、寿大聡、鶴田真由、石倉三郎、鶴見辰吾、
 木内みどり、城下弘貴、城下弘哉、石長由紀子、
 野上唯子さんほか。




評価 ★★★☆☆
nise!(20) 

「悪人」2010 [映画・邦画]

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〔2010年/日本/東宝〕




長崎の漁村に住む土木作業員の青年、祐一。
出会い系サイトで知り合った福岡の
保険外交員、佳乃と再会するが、彼女と
言い争いになった結果、彼女を殺してしまう。

そんな時、やはり出会い系サイトを通じて
祐一とメールのやり取りをした佐賀の独身女性、
光代からメールが。

孤独な毎日を送る光代は、優しそうだった
祐一と初めて面会するが、彼が起こした事件を
知って動揺し……。




クッソみたいな作品。
「感動の人間ドラマ」と絶賛されていたため、
期待に震えて見てみたが、見終えた瞬間、
怒りで手の震えがとまらない。

まず被害者の女。
こりゃあ殺されても仕方ないわ。ニンニク臭いし。
男と出会う前、周りの友達から止められても
構わずギョーザに舌鼓。あげく臭いとののしられ
後ろから蹴り上げられて、ガードレールに頭を
ぶつけ失神。

で、紛らわしいのが当初、犯人じゃね?と目星を
つけられた人間のクズな大学生。
「殺していない」と主張しながら逃亡する!
カプセルホテルに潜んでいるところを警察に見つかり
あっさり逮捕。しかし、その際も「おかあさん!」と
騒ぐ騒ぐ。なぜ逃げていたのか意味不明。

殺してないのですぐに釈放。

なんだかんだ言っても、殺したやつが一番悪い。
ここでは金髪の妻夫木聡。
この人も出る作品を選ばないな。

出会い系狂いの金髪は相手がごはん食べる?と
聞いても、まず「ホテル」を目指す。

で、それにノコノコついて来るのが、寂しいOL
深津絵里。出会って3分で初対面の男とホテルへ。

また、ここでのラブシーンの描写が細かい。
細かいのはいいのだが、見せないクセに・・・。

妻夫木聡の作品のラブシーンはいつも濃厚だ。
これは妻夫木が要求するのかね?

深津絵里は妻夫木が殺人犯だと知るのだが、
せっかく自首する気分になった妻夫木を引き留めて
ふたりで恋の逃避行がはじまる!

結末は見えているのに!
出会い系で出会った男となにやってんだよ?!と、
妹にも電話でバカにされる始末。

あげくすぐに逃避行終了。

解せないのは、すべてが終わった深津絵里。
元の職場にあっさり復帰して今日も普通に勤務中。

…いや~、あんな狭い田舎で殺人犯と逃亡劇を
繰り広げて、元の職場に戻れるハズがなかろうに。


しかし、見どころがない訳ではない。
満島ひかりさんと岡田将生さんの
見ている者に不快感しか与えない演技は絶品。
あれは絶対「地」だね。

事件の犯人はなにもツライことはないだろう。
自分が起こした事件だ。なにがあろうが自業自得。

残された家族たちのツラサ。

ウチの娘は殺されるほどの悪い事をしたのか?

ウチの孫はそんな事をするような人間じゃない。

信じたい家族、しかし現実には・・・。

被害者、加害者、どちらにも家族がいる。
彼らはなにひとつ悪くないのに、ある日を境に
人生が一変してしまう。積みあげてきたものが
すべて壊されてしまう・・・。

娘の葬式に弔問に来た刑事に父親の柄本明さんが
くってかかる。お前ら大学生ひとり、
まだ捕まえられないのか!!
そう言い放ち、怒鳴った直後、2つ折れになり
「すいませんっ・・・」と謝る。

やり切れない怒りが刑事の顔を見た途端に溢れる。
しかし、家族が今頼れるのは警察だけなのだ。
なんとしても娘を殺した犯人を捕まえてほしい。

今、ここで刑事たちの機嫌を損ねてはいけない!、
言い過ぎた!即、謝罪。その思いが詰まった名場面。

そのシーンと全編に渡る深津絵里さんの美しさだけが
本作の救い。





■本編出演 妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、
 樹木希林、柄本明、宮崎美子、光石研、塩見三省、
 松尾スズキ、余貴美子、井川比佐志、永山絢斗、
 山田キヌヲ、池内万作、モロ師岡、河原さぶ、でんでん、
 山中崇、韓英恵、中村絢香、広岡由里子、二階堂智、
 猫田直、樋田慶子さんほか。




評価 ★☆☆☆☆
nise!(21)