SSブログ

「悪人」2010 [映画・邦画]

悪人.jpg
〔2010年/日本/東宝〕




長崎の漁村に住む土木作業員の青年、祐一。
出会い系サイトで知り合った福岡の
保険外交員、佳乃と再会するが、彼女と
言い争いになった結果、彼女を殺してしまう。

そんな時、やはり出会い系サイトを通じて
祐一とメールのやり取りをした佐賀の独身女性、
光代からメールが。

孤独な毎日を送る光代は、優しそうだった
祐一と初めて面会するが、彼が起こした事件を
知って動揺し……。




クッソみたいな作品。
「感動の人間ドラマ」と絶賛されていたため、
期待に震えて見てみたが、見終えた瞬間、
怒りで手の震えがとまらない。

まず被害者の女。
こりゃあ殺されても仕方ないわ。ニンニク臭いし。
男と出会う前、周りの友達から止められても
構わずギョーザに舌鼓。あげく臭いとののしられ
後ろから蹴り上げられて、ガードレールに頭を
ぶつけ失神。

で、紛らわしいのが当初、犯人じゃね?と目星を
つけられた人間のクズな大学生。
「殺していない」と主張しながら逃亡する!
カプセルホテルに潜んでいるところを警察に見つかり
あっさり逮捕。しかし、その際も「おかあさん!」と
騒ぐ騒ぐ。なぜ逃げていたのか意味不明。

殺してないのですぐに釈放。

なんだかんだ言っても、殺したやつが一番悪い。
ここでは金髪の妻夫木聡。
この人も出る作品を選ばないな。

出会い系狂いの金髪は相手がごはん食べる?と
聞いても、まず「ホテル」を目指す。

で、それにノコノコついて来るのが、寂しいOL
深津絵里。出会って3分で初対面の男とホテルへ。

また、ここでのラブシーンの描写が細かい。
細かいのはいいのだが、見せないクセに・・・。

妻夫木聡の作品のラブシーンはいつも濃厚だ。
これは妻夫木が要求するのかね?

深津絵里は妻夫木が殺人犯だと知るのだが、
せっかく自首する気分になった妻夫木を引き留めて
ふたりで恋の逃避行がはじまる!

結末は見えているのに!
出会い系で出会った男となにやってんだよ?!と、
妹にも電話でバカにされる始末。

あげくすぐに逃避行終了。

解せないのは、すべてが終わった深津絵里。
元の職場にあっさり復帰して今日も普通に勤務中。

…いや~、あんな狭い田舎で殺人犯と逃亡劇を
繰り広げて、元の職場に戻れるハズがなかろうに。


しかし、見どころがない訳ではない。
満島ひかりさんと岡田将生さんの
見ている者に不快感しか与えない演技は絶品。
あれは絶対「地」だね。

事件の犯人はなにもツライことはないだろう。
自分が起こした事件だ。なにがあろうが自業自得。

残された家族たちのツラサ。

ウチの娘は殺されるほどの悪い事をしたのか?

ウチの孫はそんな事をするような人間じゃない。

信じたい家族、しかし現実には・・・。

被害者、加害者、どちらにも家族がいる。
彼らはなにひとつ悪くないのに、ある日を境に
人生が一変してしまう。積みあげてきたものが
すべて壊されてしまう・・・。

娘の葬式に弔問に来た刑事に父親の柄本明さんが
くってかかる。お前ら大学生ひとり、
まだ捕まえられないのか!!
そう言い放ち、怒鳴った直後、2つ折れになり
「すいませんっ・・・」と謝る。

やり切れない怒りが刑事の顔を見た途端に溢れる。
しかし、家族が今頼れるのは警察だけなのだ。
なんとしても娘を殺した犯人を捕まえてほしい。

今、ここで刑事たちの機嫌を損ねてはいけない!、
言い過ぎた!即、謝罪。その思いが詰まった名場面。

そのシーンと全編に渡る深津絵里さんの美しさだけが
本作の救い。





■本編出演 妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、
 樹木希林、柄本明、宮崎美子、光石研、塩見三省、
 松尾スズキ、余貴美子、井川比佐志、永山絢斗、
 山田キヌヲ、池内万作、モロ師岡、河原さぶ、でんでん、
 山中崇、韓英恵、中村絢香、広岡由里子、二階堂智、
 猫田直、樋田慶子さんほか。




評価 ★☆☆☆☆
nise!(21) 

「オーバーナイトウォーク」2019 [映画・邦画]

オーバーナイトウォーク.jpg
〔2019年/日本/アルミード〕




東京で売れない女優をしている27歳のさくらは、
ヌードの仕事のオファーを受けるかどうか、
思い悩んでいた。

そんな時、故郷から姉の百合子が突然、
妹のさくらのもとを訪ねてくる。
故郷を捨てた妹と故郷を離れなかった姉。
2人は過去の思いを振り返りながら、
下北沢から新宿まで、夜中の散歩に出る。




42分の短編映画。
タイトルにまったく偽りのない映画。

久々に顔を突き合わせた姉妹が、
夜の街を明け方まで並んで歩きながら、
ウダウダと語るだけ。それだけの映画。

別に何かが解決する訳でも、
余計にドツボにはまったりする訳でもない。
ただ、話しながら歩くだけで物語は終わる。

え・・・物語なんてあったか?

刺さる人には刺さる映画なのだろう。
例えば、売れない女優を長く続けており、
今まさに陽の目を浴びるような役柄が回ってきた!
しかし、その代償として求められるのは、
「脱ぎ」と「枕営業」

そんなピンポイントな方限定。

残念ながら私にはまだ「脱ぐ」オファーがないため、
刺さらずに42分が過ぎてしまった。

そして、脱ぐ?脱がない?が物語の柱なのに、
誰ひとりとして肌を見せないのはどういう訳だ?!

そして売れない女優に寄生しているヒモ男の
クズ度の高さは異常。





■本編出演 高田怜子、屋敷紘子、安楽涼、細川博司、
 佐々木仁、井上勝馬、後藤紗亜弥、土屋詩織、竹田哲郎、
 小橋秀行さんほか。





評価 ★☆☆☆☆

nise!(18) 

「ゴジラ -1.0」2023 [映画・邦画]

ゴジラ-1.0.jpg
〔2023年/日本/東宝〕




太平洋戦争末期、日本軍の戦闘機の整備場だった
大戸島に零戦が着陸。降りてきたのはパイロットの
青年・敷島浩一。機体の不調を訴えるのだが、
整備が点検したところ、特に不調は見られず。

それは特攻に向かう敷島が、怖気づきこの島に
寄り道してきたのだった。悩む敷島の前に、
海底から巨大な恐竜のような生物が出現!

敷島に戦闘機で攻撃してくれと整備士が頼むが、
敷島は恐怖で身がすくみ、攻撃が出来ないまま
島の整備班は壊滅してしまう…。

そして迎える終戦。
敷島浩一は日本へ帰還するが、東京は焼け野原と化し、
両親は亡くなっていた。人々が日々を懸命に
生き抜いていく中、浩一は単身東京で暮らす
シンママの大石典子に出会う。

これから国を立て直そうとする人々を脅かすように、
謎の巨大怪獣が現れたのだ・・・!





舞台は戦後間もない日本。
軍隊はない、自衛隊はまだない、
アメリカも手を貸してはくれない・・・、
そんな中に突如として現れる大怪獣。

なぜ、怪獣が日本を攻めてくるのか、
なにもわからない。
武器を持たない日本人はどうやって
この災厄と戦うのか?・・・がテーマ。

「シン・ゴジラ」公開からもう7年も経つのか…と、
時の流れの早さに驚いてしまう。

現在絶賛公開中なためにラストまで書けないのが
もどかしいが、神木隆之介、浜辺美波さんによる、
NHK連続テレビ小説「らんまん」コンビ主演が話題。
(撮影はゴジラのほうが先だったとのこと)

まぁ、こんなにカッコイイ佐々木蔵之介は、今まで
見たことがない!これから先もないだろう、
というほどカッコイイ。

まぁ、悲劇悲劇だけではあまりにも救われないので、
この結末はアリかな…とは思うけれど、それでも
なんとご都合主義な!と思わせる展開。

そして「次作」を匂わせる思わせぶりなラスト。

これは「怪獣映画」ではないね。
「敗戦その後」だね。
日本以外では通じないだろうけれども、
ゴジラは日本のもの。これで良いと思います。





■本編出演 神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、
 吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介、田中美央、
 遠藤雄弥、飯田基祐、永谷咲笑、阿南健治、水橋研二、
 須田邦裕、谷口翔太、中台あきお、佐々木一平、中村織央、
 鰐渕将市、西垣匠、佐々木風磨、長部努、小松勇司、
 三濃川陽介、日下部千太郎、川端康太、古堅元貴、吉川裕斗、
 大島祐也、赤妻洋貴、濱中遼、荒谷清水、塚本幸男、
 大宮将司、マイケル・アリアス、松原正隆、古山憲太郎、
 松井工、平原テツ、鳥谷宏之、千葉誠太郎、小熊樹、
 間瀬英正、大西遼、持永雄恵、市川大貴、太田靖則さんほか。





評価 ★★★☆☆
nise!(18) 

「そこにいた男」2020 [映画・邦画]

そこにいた男.jpg
〔2020年/日本/CRG〕




深夜、とあるマンション内のエレベーターホールで
血だらけで座り込み、煙草を吸いながら誰かと
電話をしている若い女、紗希。

その横には翔という名の男が血まみれの
意識朦朧とした状態で倒れていた。

2年前、映画制作のスタッフとして下働きを
していた紗希は、撮影現場で俳優の翔と出会い、
ほどなくして2人は肉体関係を持つようになる。

翔を愛する紗希は、彼のために借金を重ねるなど
して身も心もささげていった。しかし、翔には
別の女の影があり……。




2019年、実際に起こった新宿ホスト殺人未遂
事件にヒントを得て製作されたショートムービー。

男の職業をホストから売れない役者に変更して、
まぁ、事件的には同じようなクズ男のヒモが
自業自得で刺されました・・・という内容。

申し訳ないが、いくらショートムービーとは言え、
30分も使いながら、映画として成立していない。
「起承転結」というものがない。

ホストは助かったが、映画本編の刺された役者は
死亡している。変更点はそこだけ。
終わりもない、はじまりもない。
30分過ぎて残るのは、「だからどうした?」

まず、実際の事件を映像化した際、見栄えを
よくするために女優はべっぴんを使う。
当然である。誰だって、鑑賞中ずっと主役の女の
アップが続くのだ、鑑賞に耐えるものが見たい。

しかし本作は事件を起こしたリアル犯人のほうが
カワイイという逆転現象が起きてしまった。

こうなると主演の女優に残された道は、
どこまで魅せるか・・・である。
演技を、自分の肉体を。それだけが武器。

しかし、この女優の思いきりの悪さ、
乳ひとつ見せない。きわどいカットもない。
まだ男優のほうが尻も局所(ぼかし入り)も、
丸見え!しかし、そんなもの見たくない。

現実を越えるものを見せてくれるのが映画。

現実の圧倒的勝利であるならば、映像化の
必要性はゼロ。
そこにいた男1.png
こういうシーンは完全再現しているのだが・・・。

そこにいた男2.jpg
やはり「リアル」には勝てない。

当時、話題となった現場写真、
今は規制でもかかってんのかね?
検索しても見つけられない。





■本編出演 清瀬やえこ、安井秀和、中村映里子、
 水口早香、松浦祐也さんほか。




評価 ☆☆☆☆☆
nise!(15) 

「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」2023 [映画・邦画]

探偵マリコの生涯で一番悲惨な日.jpg
〔2023年/日本/Libertas〕




歌舞伎町の片隅で、大切な何かを探してる、
孤独を抱えた人々。こころの奥を覗いてみると、
誰かを想う大事な気持ちが秘められている。

そして、マリコにも誰にも言えない秘密があった。
新宿にある小さなバーのカウンターに立つ女、
マリコのもう一つの顔は探偵稼業。

ある日「歌舞伎町に紛れ込んだ宇宙人を探してくれ」
というFBIからの謎の依頼をうけ、恋人の自称忍者
MASAYAの協力のもと、歌舞伎町に潜む宇宙人に
迫ってゆく…。

別れた娘を捜す落ちぶれヤクザや、ホスト狂いの
キャバ嬢、その女を狙うシリアルキラー、
殺人マシンとして育てられた姉妹の物語が絡み合い、
それぞれの心の奥に秘めた想いが交錯するとき、
奇跡が起こる。





一通り見て、印象に残ったのは、
伊藤沙莉さんの少女時代を演じた子役の方が、
そっくりで驚いた。
オーディションで選んだのか、今だったら
CGでどうにだってできるのか?
ここまで伊藤沙莉さんに寄せるとは…。

スナックの壁に貼られた、
Vシネマ黎明期の名作「クライムハンター」の
DVDボックスのポスター・・・、
このぐらいかな。製作が東映だからね。

この映画の主演が、
適度なブス(誉め言葉である)、
伊藤沙莉さんである必要はないわな。
必然性は感じない。

延々とオムニバスストーリーを見せられて
オチが「ET」・・・。

これが令和5年の邦画の限界なのか・・・。




■本編出演 伊藤沙莉、北村有起哉、宇野祥平、久保史緒里、
 松浦祐也、高野洸、中原果南、島田桃依、伊島空、黒石高大、
 真宮葉月、阿部顕嵐、鈴木聖奈、石田佳央、竹野内豊さんほか。





評価 ★★☆☆☆
nise!(16) 

「次元大介」2023 [映画・邦画]

次元大介.jpg
〔2023年/日本/Amazon Studios〕





愛銃コンバットマグナムに違和感を覚えた
次元大介は世界一のガンスミスを求めて
日本にやって来た。辿り着いた先に待っていたのは
さびれた時計店を営む女性・千春だった。

そこへ銃を求めて訪ねて来る少女・オト。

徐々に明かされるオトの悲しい過去と彼女を
狙う組織の存在。 組織に連れ去れたオトを
助け出すべく、次元は孤独な戦いに身を投じる。





かつて劇場作品で次元を演じた玉山鉄二さんが、
9年ぶりに同役を演じる…と話題の一作を
Amazonプライム独占で!という触れ込みの作品。

「コレジャナイ」感が強すぎる。
次元って、こんなにベラベラ喋ったっけ?
次元って必要な時以外は、なりゆきを静観してて、
ルパンがしくじった時に、帽子を押さえて
「アチャ~・・・やっちまったな」

こんなイメージだったのだが。

確かにamazon独占だけあって「金はかかってる」
キャストも無駄に豪華。

でも「コレジャナイ」

まず、玉山鉄二さんが9年前に比べて、肥えた。
裕福になり、エエもんを毎日たらふく食べて
過ごしているのだろう。
その丸々としたお顔からは「ハードボイルド」の
雰囲気は皆無。ボイルした焼き豚・・・という感じ。

そもそもこのストーリーで、2時間もの大作を
作ること自体が間違っている。
大金を突っ込んだフジテレビ・スター新春
かくし芸大会・・・そんな印象。

ラスト、わざとらしく次元を迎えに、
黄色い車が走り寄ってきてクラクションを鳴らす。
多分、ルパンが乗っている…と視聴者に思わせる
演出だろう。

しかし、このシーンを挿入するならば、
ワンカットだけ小栗旬さんを登場させるとか、
もしくは声だけでも、栗田貫一さんに
「いよぉ~、待たせたなぁ~じげん~」などと
入れる事は出来なかったのか。

それだけでルパン風味が倍増したのに。

これは次元大介のコスプレをした、
度を越えたおっちゃんによる自主製作映画。

日本の商店街にやって来て、そこの商店主たちと
ワチャワチャしてる次元大介…、
あなたは見たいですか?




■本編出演 玉山鉄二、真木よう子、真木ことか、さとうほなみ、 
 笹野高史、本宮泰風、波岡一喜、野村祐人、馬場徹、田中要次、
 永瀬正敏、草笛光子さんほか。





評価 ★★☆☆☆
nise!(15) 

「怒り」2016 [映画・邦画]

怒り.jpg
〔2016年/日本/東宝〕





ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が起こった。

現場の壁には「怒」の血文字が残されていた。
犯人は逃亡、そして事件から一年後。

千葉と東京と沖縄に、素性の知れない
3人の男が現れた。

千葉。3か月前に突然家出をした愛子を
連れて帰った父・洋平は、千葉の漁港で働く。
8年前に妻を亡くしてから、男手一つで
娘を育ててきた。

愛子は、2か月前から漁港で働きはじめた
田代に出会った。

東京。大手通信会社に勤める優馬は、
日中は仕事に忙殺され、夜はクラブで出会う男と
一夜限りの関係を続けていた。

彼には末期がんを患う余命わずかな母がいた。
ある日、優馬は新宿で直人に出会った。

沖縄。男と問題を起こした母と、夜逃げ同然で
離島に移り住んできた高校生の泉。

ある日、無人島でバックパッカーの田中に遭遇。
殺人犯を追う警察は、新たな手配写真を公開した。
その顔は、出会った男に似ていた・・・。




現時点で考えられる邦画界の豪華キャストを
これでもか!と詰め込んだ一作。
なのに、なんだ・・・この出来は。

素材はよかったのに、調理方法を間違えたために
出来上がってみればトンデモ作品に!

千葉、東京、沖縄と舞台を3つに分けて、
それぞれで犯人と思わしき、怪しい男が登場。
誰が犯人なのか?そのサスペンス風味はわかる。

しかし。

妻夫木聡がモーホーである必要性。
沖縄で少女が米兵に暴行される必要性、
宮崎あおいが家出をして、風俗で働いており、
それを父親の渡辺謙が連れ戻しに行く必要性。

すべてにおいて「必要性」が感じられない。

そしてアメリカ米軍基地の描き方。
米兵=黒人は常に日本女性を狙っている。
犯罪を犯しても、すぐ基地に逃げ込んでしまいセーフ!

いまだにこのような描写がまかり通る。

これが本作の重要な伏線であるならば許容範囲だが、
なくても成立するではないか。

妻夫木聡のホモホモシーンもあれほど濃厚に描く
必要があるのだろうか。ただ、「こんな衝撃的な
シーンがありますよ!」という「売り」にしたかった
だけに思えてくる。

最大の問題点はタイトルにもある
「怒り」これが描けていない。
真犯人はなぜ、犯行現場に「怒り」と書き残したのか?

表向き、社交的な真犯人の裏の顔がようやく
描かれはじめた瞬間、キレやすい若者の衝動的な
「怒り」により、あっさりぶっ殺されちゃう。

真犯人の「怒り」は若者の「怒り」、
たったひと刺しの「怒り」で潰えるほど
軽かったのかよ・・・。

出演陣の重厚な演技で、この作品は「深い」と
勘違いさせるだけの目くらましな残念作。





■本編出演 渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、
 広瀬すず、佐久本宝、ピエール瀧、三浦貴大、高畑充希、
 原日出子、池脇千鶴、宮崎あおい、妻夫木聡さんほか。




評価 ★★☆☆☆
nise!(14) 

「続 修羅城秘聞」1952 [映画・邦画]

続修羅城秘聞.jpg
〔1952年/日本/大映〕




讃岐丸亀藩の国家老・鷲塚主膳の陰謀により、
城主・若木讃岐守は幽閉され、江戸表の若殿、
新之助は毒殺されかかる。

これは妾腹の万之助君を擁立して権謀を
ほしいままにしようという主膳の策謀であった。

新之助と双子の生まれで、長屋で浪人暮らしを
していた醜いこの世の鬼を退じてくれよう桃太郎が
ふとしたことから渦中に巻きこまれてしまい、
新之助の身代わりとなり、鬼の待つ丸亀城に
乗り込むことになったのだ。

と、ここまでが前編のお話。
これを弁士の徳川夢聲(徳川夢声)師匠がご担当。

さて、ここからが後編のはじまり、はじまりぃ~。

途中、陰謀派の伊賀半九郎の指揮する浪人群に襲われ、
崖より転落した桃太郎は、危ないところを修験者の
草薙法印に救われ、金比羅詣に変装して讃岐へ潜入。

彼の跡を追って来た、忠臣神島伊織の娘・百合と
長屋の貸本屋の伊之助は船番所で捕えられるが、
桃太郎は二人を救出し、城内へ突入!

ついに讃岐守と父と子の対面を果たした。




7月に前編をご紹介してから早幾年月。
皆様ご待望(んな事ぁない)の後編が
いよいよ、ここに登場つかまつる!

「昔はよかった」という声が多々聞かれるが、
昔々の映画作品は前編、後編に分かれた場合、
前編公開の次の週に後編が公開されたり、
シリーズものであれば、鉄は熱いうち打て!と、
当たれば同じ年に2本、3本と公開したもんだ。

それが今や、3年ぶりの続編!などが、
当たり前になってしまった。
これは現代人の気が長くなったの?
記憶力がよくなったの?
アンタら待ち合わせで相手が来なくても、
3日ぐらい待つの?それほど忍耐強くなった。

いや、映画業界に飼いならされたのか。

エバンゲリオンなんて、テレビではじまってから
映画で完結するまで26年だよ?!26年!

結末を知る事なく、この世を去ったファンだって
数多いよ。まぁ、あんなラストなら知らない方が
シアワセだったかも、だけどね。

本作はちゃんと前編公開後、
すかさず後編が送り出され、長谷川一夫先生と
大河内伝次郎師匠の一騎打ちによる
一大クライマックスが拝めた幸福な時代の作品であった。




■本編出演 長谷川一夫、轟夕起子、沢村晶子、
 大河内傳次郎、坂東好太郎、羅門光三郎、菅井一郎、
 澤村國太郎、山口勇、荒木忍、加東大介、葛木香一、
 大美輝子、本松一成、杉山昌三九、鳥羽陽之助さんほか。




評価 ★★★★☆
nise!(14) 

「阿修羅判官」1951 [映画・邦画]

阿修羅判官.jpg
〔1951年/日本/大映〕





名奉行、大岡越前守も、かつて市太郎と
呼ばれた青年時代には、阿能十や中岡亀次郎など、
市井の無頼の徒と交わり、旗本崩れの銀歯組の、
刑部や赤螺三平などと争い、許婚のお縫がいるにも
関わらず、水茶屋の女・お袖の許で放縦な生活に
ひたっていた。

養父である忠右衛門の心中を察し、お縫の悲しみに
同情した実兄の主殿は、市十郎を無理に連れもどす。
その間に、お袖が市十郎の子供を生んだと聞いて、
その子の顔見たさに、刑部たちにそそのかされ、
叔父の家へ押し込み強盗の手引きをしたが、
居合わせた兄主殿は赤螺のため斬り殺された。

市十郎はこの事件でようやく自分の非を悟り、
兄の墓前で自害しようとしたのを養父にとがめられ、
生まれ変わって新生活をはじめる。

そして十数年、今や南町奉行として、将軍吉宗の
信任厚く、名奉行として知られはじめていた。
その頃、江戸を乱す五人組の兇盗があり、これを
捕らえることが、北町と南町の両奉行所の競争と
なっていた。





おいおい、長年ナショナル劇場で「水戸黄門」と
交替に放送されていた名時大劇「大岡越前」

嫁とは押しも押されもせぬ、おしどりのつがいだと
思っていたら、ヨソにしっかりオンナ作って
入りびたりで、それを嫁にも知られるほど
堂々としたトンデモ野郎だったんだな。

そんな分際の男がなにが「三方一両損」の
名お裁きだよ?!

あの「三方一両損」、よっぽど気に入ってんのか、
各シリーズで1回は微妙にアレンジして放送されてた
よな!見てるこっちは「またか!」と思いながら、
それでも見てる。国民的時代劇という看板に
慣らされて、我々は毎度おなじみのル-ティーン
作劇を押し付けられていたのだ。

本作には「三方一両損」は出て来ない。
安心して見ていてほしい。





■本編出演 大河内傳次郎、入江たか子、長谷川裕見子、
 長谷川一夫、羅門光三郎、坂東好太郎、澤村國太郎、 
 香川良介、清川荘司、阿部條、南部章三、寺島雄作、
 天野一郎、原聖四郎、光岡龍三郎、北見禮子、
 常盤操子さんほか。




評価 ★★★☆☆
nise!(13) 

「母三人」1949 [映画・邦画]

母三人.jpg
〔1949年/日本/大映〕




かつて全盛を極めたレビューも、戦争のおかげで
次第にさびれていった昭和15年頃。

浅草のレビュー小屋の侘しいコーラスガールの
時子は、一座の貧しい作曲家である笠井から、
愛人の葛原三郎が結婚するという意外な知らせを
聞き愕然とした。

東和商事に勤めていた三郎は、立花専務より
将来を見込まれ、令嬢の真砂子との結婚を
申し込まれた。気の弱い彼は喜ぶ両親を目の前に
見て、断りきれずについに承諾してしまった。

時子は結婚式場にかけつけた。

群衆に混って新婚の旅に出ようとする新郎、
新婦の晴れ姿を見ているうちに、失神して
その場に倒れてしま時子。

時子は既に三郎の子を妊娠していたのだ。
やがて良太郎が生まれた―。

そして戦争は終わった。




大映映画の二大柱と言えば、豪華歴史時代劇と、
三益愛子の母もの作品と世間の相場は決まってる。
そんな母ものの一作。総数は21作に及ぶ。

大抵の場合、母二人の間で物語は揺れ動くのだが、
本作はリッチに三人の母親がひとりの子どもを巡る
争奪戦を繰り広げる。

産みの親と育ての親、そして本当の父親の妻=義母。

さて、子どもは三人のうち、誰を選ぶのか?!が、
本作のクライマックスである。

そうか、やはりそうだわな。
子どもにとっては、この人こそが母親だよなぁ…と。

公開当時のキャッチコピー「三倍泣かせます」
「ハンケチをケチらずに3枚ご用意ください」は
伊達じゃない。




■本編出演 水戸光子、夏川大二郎、入江たか子、
 中野曉子、三益愛子、根上淳、宮原恭子、
 志村喬さんほか。




評価 ★★★★☆
nise!(15)