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「帰ってきたドラえもん」1998 [映画・アニメ]

帰ってきたドラえもん.jpg
〔1998年/日本/シンエイ動画〕





ジャイアンにいじめられ、ドラえもんに泣きつくのび太。
しかし、ドラえもんは憂鬱そうな顔を見せる。

ドラえもんは未来の世界へ帰ることになったのだ。
のび太は必死に止めるがパパの言葉と、
今は亡きおばあちゃんとの思い出のダルマを経て、
「ダルマと同じように転んでも起き上がる」事を
思い出し、ドラえもんとの別れを受け入れることにする。

その夜、寝付けず2人は夜の町を散歩する。
ドラえもんが離れている間、のび太は同じように
徘徊していたジャイアンと遭遇。

のび太はドラえもんに心配をかけず、未来の国に
送り帰すため無謀にもジャイアンに挑む。

のび太を探すドラえもんの目に映ったのは、
何度倒れてもジャイアンに立ち向かっていく
のび太の姿だった。

ドラえもんはのび太を連れ帰り、眠ったのを
見届けた後、ひとり未来の世界に帰還する・・・。




幾度も映像化されている「さようなら、ドラえもん」と
「帰ってきたドラえもん」を
『ドラえもん のび太の南海大冒険』の併映作として
上映した短編作品。
帰ってきたドラえもん1.png
「・・・桜が見られてよかった・・・」

もう最初っから泣かせにかかる作劇。

今まで散々世話になった野比家の人々に対して、
未来の世界に帰る理由を明確に説明しないドラ。
(裏では言ってるのかも知れんが)

パパとママも深く詮索することなく、
ただ、のび太がお世話になったと感謝し、
別れの宴を設ける。

藤子作品に登場するパパとママは皆、理解がある。
平和な家庭にある日突然珍入してくる怪しい生き物、
ハットリくんなどはまだ人間だからマシ。

オバQなんかお化けだし、怪物くんは怪物だし、
パラソルへんべえに至ってはなにコレ?!
どんな生き物なの?

ウルトラBは赤ちゃんだから普通、警察に届けるよな!

それでも差別することなく、自分たちと同じ目線で
受け入れてしまう。心広き大人たちである。

さて、作品に話を戻そう。
上映時間27分の間、ドラとのび太はほとんどの
シーンで涙している。子どもにとっても充分すぎる
感動作であろうが、トシをくった大人たちが今見ると
別の意味で感慨深いものがこみあげてくる。

はじめてその作品に出会った年代により、
どれが最高!最低!ということはない。
今の子どもたちにとっては、水田わさびさんの声こそが
ドラえもんの声なのだ。

でも昭和世代はやはり大山のぶ代さんのドラ声が、
脳裏から消え去る事はないだろう。

今聞いても、昭和ドラの声優さんたちは、
声だけでその場面が浮かんでくる。
失礼ながら令和の深夜アニメの声優さんたちの声は
聞き分けが不可能だ。

そして、本作に出ておられたほとんどの声優さんが
今はもう他界されたり、表舞台からは遠ざかったり
している。見ている側が年齢を重ねたからこそ、
感じられるノスタル爺がここにはある。

軽々しく「昔はよかった」などと口にはしたくない。
パソコンもスマホもなかった時代、不便な事この上なし。
しかし、もう取り戻せないあの頃が詰まっている。

やっぱりドラえもんは、声優一斉交代の時期に
終わらせておくべきだったよなぁ・・・。




■本編出演 大山のぶ代、小原乃梨子、野村道子、たてかべ和也、
 肝付兼太、千々松幸子、中庸助、よこざわけい子、青木和代、
 巴菁子、佐藤ゆうこさんほか。




評価 ★★★★☆
nise!(19)