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「春、バーニーズで」2006 [テレビドラマ平成]

春、バーニーズで.jpg
〔2006年/日本/Wowow〕




会社員・筒井は、仕事先で出会った瞳と結婚する。
瞳には離婚経験があり息子の文樹もいたが、
瞳の母・正子、瞳の妹で売れない画家の紗江との
関係も良好で、結婚生活に不満はなかった。

しかしある時、まるで何かをあきらめて
この生活を選んでしまったような気に
させられてしまう自分に気づく。

大きな不満や理由もないのに、別の人生を
想像してしまう日々…。

そんな春の昼下がり、家族で訪れた新宿の
バーニーズ・ニューヨークで、筒井はかつて
同棲していたオカマの閻魔と偶然、再会する。

そして、ふとしたはずみで、その過去を瞳に話してしまい…。




映画かと思ったらWOWOWのテレビドラマだった。
しかし腐ってもワウワウ。西島秀俊、寺島しのぶという、
現在の邦画界を背負って立つ2大巨頭を揃えてある。
これは期待してもいいんじゃないか?


その期待は開始後1分で脆くも崩れた。

見るべきところは寺島しのぶさんの芝居力。のみ。

西島秀俊さんはダメだ。
どこに出ても、なにを演じても西島秀俊でしかない。
ダイワマンも同じく。
西島秀俊でなければ!という作品にまだ出会えない。

ひとつわかったことは、世間と言うのは
LGBTがどうの、差別をなくせどうのと口先では言うが、
自分の旦那、彼氏、恋人が男と同棲していたと告白
されると「・・・え・・・」と返す言葉も失ってしまう。

ふ~ん、では済まされない。

まだまだ日本で野郎が堂々と女子トイレを利用できる日は
遠いと感じた一作であった。たとえ法律が許してくれようと。




■本編出演 西島秀俊、寺島しのぶ、栗山千明、光石研、
 山中聡、利重剛、澁谷武尊、田口トモロヲ、
 倍賞美津子さんほか。




評価 ★☆☆☆☆
nise!(11) 

「深夜食堂2」第12話「唐揚げとハイボール」2011 [テレビドラマ平成]

深夜食堂2.jpg
〔2014年/日本/アットムービー・クリエイティヴ〕




一日が終わり、 人々が家路へと急ぐ頃、
俺の一日は、始まる。
営業時間は、夜12時から朝7時頃まで、
ひとは、深夜食堂って呼んでるよ。

メニューは、これだけ

あとは、勝手に注文してくれりゃあ
できるもんなら作るよってのが、
俺の営業方針さ。

客が来るかって?
それが結構来るんだよ。





カウンターの片隅で、目を閉じ、微笑むような
口元で眠るパチンコ店で勤めるサヤ。

サヤがこの店で注文するのは決まって「唐揚げ」
常連の男たちに見守られ、店の中で眠り込む。

その寝顔は一見幸せそうだが、起きている間は、
よほど疲れることがあるらしい。

マスターは、ビールがダメというサヤに、
普段店では出さない「ハイボール」をすすめる。

サヤは、お笑い芸人の章介とつきあっていた。
売れない芸人の章介に、お金を渡して尽くす
サヤだったが、章介の態度は冷淡だった。

ある日、店の中でサヤを責めたてる章介に、
竜の子分でヤクザのゲンが激怒。店の前で喧嘩を始める。
そこにやってきたのが刑事の野口と部下の足立だった。
サヤを見て足立は驚くのだった。
深夜食堂2第12話1.png



毎度おなじみ「深夜食堂」のベタベタな展開。
だが、このドラマに関してはそのベタな展開が良い。
サプライズや突飛な設定、どんでん返しも
森光子のでんぐり返しもいらない。

森光子を捨てて、木村佳乃に走ったなんちゃって女好き、
東山紀之は記者会見を開き、当時迷惑をかけたジュニアに
謝罪すべきである。もちろんニュースキャスターは辞任。
報道する立場ではない。される側なのだから。

で、話を「深夜食堂」に戻すが、登場する売れない芸人、
どこからどの角度で見てもクズである。

特に食べ物、唐揚げを女に投げつけて、それがヤクザに
当たると、女に向けて「お前が唐揚げをよけるのが悪い」と
言い放つ。

ゆえに演芸場で観客がすべてヤクザの構図はベタでは
あるが溜飲が下がる思いである。

なぜ、こんな男に女はついていくのだろう、
そして・・・泣くのだろう。

その結末が死体で発見されたりする。
本当に死ななきゃわからないのだろうか。
宗教にハマってるのと同じ精神状態なのだろうか…。
自分だけならまだしも周りをも不幸に巻き込んでいるのに。

劇中のサヤはこのあと、ささやかな幸せを手に入れるようで
なにより。来週はオニギリジョー、リターンズ。





■番組出演 小林薫、光石研、平田薫、永岡佑、松尾諭、
 辻本耕志、福原希己江、足立智充さんほか。
深夜食堂2第12話2.png




評価 ★★★☆☆
nise!(8) 

「兄帰る」2009 [テレビドラマ平成]

兄帰る.jpg
〔2009年/日本/WOWOW〕




ある日、3年前に突然失踪してしまった野田家の長男、
功一が、交通事故に遭い、物言わぬ姿で帰ってきた。

残された家族、そして誰より婚約者・真樹子の心に
静かな波紋が広がる。幼い頃、父親が失踪したことで
家族を養う立場になり、いつも「良き兄」で
いなければならなかった功一。

けれども、彼はそれに不満を感じることも無く、
彼なりの熱い夢を抱きながら暮らしていたはずだった。

この3年間、何処で、何をしていたのか。
そして、どうして、失踪の理由を自分に
言ってくれなかったのか。複雑な想いを抱きつつ、
愛する者の足跡をたどる真樹子の旅が始まった…。





近藤ようこ先生による、小学館・ビッグコミック誌に
連載された漫画作品の映像化。

原作は未見なのでドラマなりの演出、改変がされて
いると思われるが、まずタイトルからしておかしい。

確かに失踪した功一には弟、妹がいるが、
本作の主人公は元婚約者であるマキコだ。
「兄帰る」ではない。「元婚約者帰る」である。

当初、功一の遺体は顔が判別できないほど損傷が
激しく、肩にあるホクロから母親が功一だと確認した、
その程度だったので、これは・・・ラストに
どんでんがえし・・・来るで・・・!と、思わせておいて
なにも来ない。

木村佳乃さん演じるまきこが・・・、
ちょっとイヤなオンナだ。

功一の遺族を前に叫ぶ。

「こんな美人でしっかり者の私がっ!
なんで功一さんに捨てられちゃったのかっ!
理由がわからないんじゃ…先に進めないんです!」

こう宣言して、功一の消えた3年間を追う旅に出る。

が、結局最後まで功一が失踪した理由はわからず!

で、このマキコというイヤなオンナは、
功一が消えた空白を埋めようと近づいた
子持ち男に散々迫っておいたあげく、
河原に呼び出して別れを告げる。

功一に私は一方的に捨てられたわけじゃなかった!
スッキリ!もう、お前はいらないんで。ごめんね。

そんなところだろう。

あ、功一の失踪した理由がいま、わかった。
このオンナから逃げだしたかったんだわ。きっとそう。


実生活の木村佳乃さんは早くダンナと別れたほうがいいね。
ダンナのケツに火がつきはじめたゾ。光子の呪いかな?





■本編出演 木村佳乃、高橋和也、津田寛治、黒谷友香、
 野波麻帆、笹野高史、加藤治子、池内淳子、山本學、
 倍賞美津子、吉村実子さんほか。





評価 ★☆☆☆☆
nise!(7) 

「深夜食堂2」第11話「再び赤いウインナー」2011 [テレビドラマ平成]

深夜食堂2.jpg
〔2014年/日本/アットムービー・クリエイティヴ〕




一日が終わり、 人々が家路へと急ぐ頃、
俺の一日は、始まる。
営業時間は、夜12時から朝7時頃まで、
ひとは、深夜食堂って呼んでるよ。

メニューは、これだけ

あとは、勝手に注文してくれりゃあ
できるもんなら作るよってのが、
俺の営業方針さ。

客が来るかって?
それが結構来るんだよ。



常連客の一人、地回りヤクザ者・竜。
マスターの作る「赤いタコウィンナー」が
大のお気に入りだ。

その竜のもとへ、刑事の野口が現れた。
二人は九州の名門高校野球部の同級生だったが、
竜が地元で起こした喧嘩のために、
かつて甲子園出場を棒に振っている。

野口は、病気で入院している元マネージャーの
クミの見舞いへと竜を誘う。
彼女は今、重い病に臥せっていた。




人気が出すぎるのも問題でこの「深夜食堂」も、
延々と無限ループ再放送されており、
もうどれが第1部なのか第2部なのかよくわからない。
全部似たようなものなのだが、どのエピソードも
噛めば噛むほど味の出て来るスルメのような出来。

この話も第1部第1話の続編の作りとなっている。
ヤクザの好物が「赤いタコさんウインナー」
この一見、似つかわしくない取り合わせの意味は、
第1話では語られることはなかった。

それが本作で明かされる。

出て来る人々が皆、切ない。

今は刑事とヤクザ、まったく別の道を歩んでしまった
同級生。そして、同じ野球部のマネージャー。

クミはずっと悔やんで生きてきた。
「あの時、竜くんをデートに誘わなかったら…」

そのデートの際のトラブルが元で、野球部は
甲子園出場が叶わなくなった。
だが、野口はそんな事は恨んではいない。

それよりも竜とクミがデートした事のほうが、
悔しかったと言う。

3人は車椅子で「めしや」に訪れる。

そして、場面が変わると喪服で「めしや」に
並ぶ刑事とヤクザ者。黙ってビールをつぐマスター。

ハッキリ言って、話の先は読めてしまう。
しかし、役者たちが画面から目を逸らす事を許さない。

登場人物は皆、多くを語らない。
必要最小限の言葉ですべてを視聴者に理解させる。
これはもう役者側の勝利。




■番組出演 小林薫、光石研、安田成美、室井響、
 吉見幸洋、辰巳智秋さんほか。




評価 ★★★★☆
nise!(9) 

■「ラビリンス」DVDサーカイブコレクション 渡部篤郎/桜井幸子さん■ [テレビドラマ平成]

ラビリンス - コピー.jpg
〔1999年/日本/日本テレビ/5年D組〕




海外の留学から日本へ帰国した優秀な外科医、
野崎悠一郎。同じ病院で看護師として働く姉の
奈津子が悠一郎の目の前で飛び降り自殺を図る。

奈津子は一命を取り留めるが、植物状態に。
病院側は、自らの医療ミスを苦に自殺を図ったと
発表した。悠一郎は真実を知ろうと奔走するが、
何者かの圧力により地方の病院に飛ばされてしまう。

その後、姉は「パピヨン」という
言葉を残して死亡する。

葬儀の席で、悠一郎は元同僚だった橘川達也から、
姉の婚約者だった医師、園部克彦が学長の娘である
倉沢さつきと結婚することになったと聞かされる。

悠一郎は大学病院に復帰するが、姉の死に
強い疑問を抱き、園部との対立を深めてゆく・・・。





本作が再放送されない原因として、
よく挙げられる2つの理由。

主題歌を担当した槇原敬之さんが
覚醒剤取締法違反で逮捕されたから。
そうだろうか。

槇原さんの逮捕が1999年8月26日。
すでに本作の放送は終了していた。

槇原さんが楽曲を提供した番組は
ほかにも多数存在し、本作だけが特別ではない。

番組の音楽に海外の作曲家、
アストル・ピアソラ先生の楽曲を
使用しているため、
権利使用料が高額となるため。
そうだろうか。

映像ソフト化の際に音楽を差し替えて
発売する例「スケバン刑事」などを筆頭に
いくらでもある。

そこまでの手間をかけてまで
製品化しても、割に合わない。
そう判断されただけという印象を受ける。
この前後の番組も未だソフト化されていないようだ。

ただ、何らかの2時利用の予定はあったようで、
現在提供される放送素材において、
槇原敬之さんの箇所に修正を試みた痕跡が
認められる。ただ、それは初期話数のみで、
後半はオリジナルのまんまである。

ソフト化予定が(当時なのでビデオテープか)
ありながらも中止になった…という具合か、
あくまでも想像の範囲でしかないのだが。

このように作品を取り巻く状況により、
作品自体の出来不出来に関わらず、
再見が困難となり埋れてしまうのは
本当にもったいない事。

今回の初ソフト化を機に再評価の声が
高まる事を願いたい。

■全11話



■番組出演 渡部篤郎、桜井幸子、高橋由美子、保坂尚輝、
 内藤剛志、森口瑤子、斎藤陽子、初音映莉子、中丸忠雄、
 北見敏之、森山周一郎、正名僕蔵、浅野花英、大土井裕二、
 宋英徳、藤田久美、山崎健二、東山悠里、立原瞳、
 山本絹代、山田百貴、上田由恵、村石絵里奈、安田洋子、
 児玉謙次、須永慶、山崎満、田中啓三、北村隆幸、留美、
 野一色里奈、芦原由幸、山本正道、中垣章人、春田純一、
 庄司永建、伊藤正博、浅沼晋平、桜井章、史城未貴さんほか。

nise!(9) 

「ボイスラッガー」その3 1999 [テレビドラマ平成]

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〔1999年/日本/ソルト〕




物語は長老であるボイスラッガーゴールド(水木一郎さん)と、
悪の親玉・帝王ゲンバーが親子であり、宇宙を股に掛けた
壮大なる父子ゲンカということが判明。息子の命がけの
反抗により、再び命を与えられたボイスラッガーは、
勝利へ導かれる…。…完。


という訳で正直、ボイスラッガーいらねぇんじゃね?。
という終わり方。

4人は戦う必要もなくなり、また仲良く声優稼業に
戻ってゆく…が、この先絶対に揉めそうだし、前途多難…。




とにかく「エヴァンゲリオン」以降、日本のアニメ・特撮は
変貌を遂げた。ちょっとぐらい難解でもいいんじゃね?、
そのほうが作品レベルが高く見えね?とでも言わんばかりに、
子供向けであろうが、物語が進むにつれ、闇落ちしていき、
非常に「うっとうしい」展開が多くなる。

製作者が途中で投げ出して、あとはまぁ自分で考えて、
お好きなストーリーを作り上げるのもアリね!というのまで。

これをまた見てるファンも許すのね。
「あぁ、これはこういう解釈が出来る…」、
「こんなに深い物語だったとは…」。

いやいやいや、製作者はそこまで考えてない。
ただ放棄しただけです。

本作もアニメーションとして製作されたなら、
まぁまぁよくある展開。当時としては。

それを声優が顔出しの実写として作ったことに意義がある。
ただまぁ、冒険しすぎたのか後継作は生まれなかったが…。

しかし、石ノ森章太郎、菊池俊輔、水木一郎、平山亨という
錚々たる名前が並ぶ本作は、昭和特撮の「遺作」として、
人々の記憶に留められるべき作品なのだ。

誰も覚えてはいないだろうが…。
いや、それ以前に知らないか…。




評価 ★★★★☆


nise!(9) 

「ボイスラッガー」その2 1999 [テレビドラマ平成]

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〔1999年/日本/ソルト〕




深夜枠ながら第7話までは「お子様にも安心して」
オススメできるヒーロードラマだった。第7話までは…。

元々、男2人女2人プラス長老…ということで、
この組み合わせならば、なんらかの色恋沙汰が起きても
不思議ではない。見事に2組のカップルが誕生。

それで和気あいあいと共に戦いをこなしていけば
いいものを、やはりそこは人間。複雑な感情が絡んで来る。

全員の職業は「声優」なのだが、ひとりの男だけ、
人気が出て来る。もうひとりの男は…おもしろくない。

そこから破綻がはじまる。

第8話「変心」。

そのスキを突いて敵の女幹部がささやきに近づく…。
闇落ちしてすねてしまうのが、現・スネ夫の声優さん。

もう、ボイスラッガーなんかやってられっか!と、
仲間である女戦士=自分の女と対決。無抵抗の女の首を
締め上げる!完全に殺しにかかってます!。

女、血反吐を吐いて、意識不明の重体に追い込まれる。

辛くも意識を回復するものの、こんな事になったのは、
あの特撮オタクの女メンバーのせいだ!!。

第9話「四散」

もう、4人ともバランバランの状況に…。

まったく笑える場面もなくなり、暗黒面だけが続く…。

姿を消したスネ夫(の声優)が、別次元の空間にいる事を
掴んだ、女戦士(みんなから責められてる人)が命がけで
救出に向かうも、救い出せたのは…、
スネ夫の腕だけ。

元の世界に戻った女戦士が気づいた時、
その手に握っていたのは、スネ夫の手首だけ、だった。


「…イヤァァァァァァ~~~!!!!」。

女戦士の絶叫でこの話、おしまい。

まるで桑田次郎が描きおこしたエイトマンの最終回のよう…。

もう、とてもよい子にはお見せできない状況で、
最終回へと流れ込んでゆくのであった…。

…あぁ、イヤだ…この空気…。




評価 ★★★★☆
nise!(10) 

「ボイスラッガー」1999 [テレビドラマ平成]

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〔1999年/日本/ソルト〕




宇宙の支配を企むムーオン帝国の帝王ゲンバーは、
惑星ツェドゥアに眠る悪魔獣ハーデスを蘇らせるため、
ボイストーンを持つ4人の子供達を集めた。

しかし、その野望はボイスラッガーゴールドにより
阻止され、4人の子供たちはゴールドに救出される。

それから十数年の時が流れた。
子供たちは地球で成長し、平和な生活を送っていた。

しかし、帝王ゲンバーの魔の手が地球に伸びた時、
彼等の体内に眠るボイストーンが4人を目覚めさせ、
戦士・ボイスラッガーに覚醒。
彼らは「正義の声」を武器に、宇宙の平和を守るため、
ムーオン帝国と戦うのだ。吠えろ!ボイスラッガー!!。





ミレニアムを翌年に控えた1999年。

ノストラダムスが大挙として恐怖の大王を地上に
送り込もうとした世紀末に、「仮面ライダー」の
石ノ森章太郎(石森章太郎)先生の「遺作」として
登場したのが本作、「ボイスラッガー」。

遺作…と言うても、簡単なキャラクターのスケッチが、
遺されていただけ…らしいが。

アニメの世界には今も続く「声優ブーム」というのが、
巻き起こっており「ボイスラッガー」は人気声優が、
顔出しで俳優として出演する異色の特撮ドラマなのだ。

なんせリーダー格が「水木一郎アニキ」である。
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近年のヒーロー低年齢化傾向にあって、
もう高齢者に近いヒーローの誕生である。

見かけは戦隊ヒーローっぽいのであるが、
異色すぎて、おなじみの東映製作ではなく、
テレビ東京系深夜枠での放映である。系と言っても、
ネット局もほとんどなく、関西では未放送。
ほぼ関東ローカルと考えて頂いて差し支えない。


初見の人には違和感がありすぎるかも知れない。
実写の人間の姿にアニメ声がかぶるのだ。
声優で本人が自分の姿に声をアテているのだが、
なんだろう、このコレジャナイ感…。

代々木アニメーション学院の生徒さんの
卒業制作かよ?と思わせるような、
見てるこちら側が恥ずかしくなってくる感触…。

しかしそれも話数を追ううち、
馴染んで来る。慣れとは怖ろしいな。


第7話において、製作者のコネクションを最大限に活かした、
「特別出演」として、日本特撮界でここまでの人材が
集結したことはないのではないか?と思わせるゲスト回を
放映した後、(藤岡弘、さんが魚屋の娘婿…など)
第8話より本作は終盤に向けて過激なまでの路線変更を迎える。

それについてはまた次回。





評価 ★★★★☆ 

nise!(14) 

「誘拐」2009 [テレビドラマ平成]

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〔2009年/日本/WOWOW〕




韓国大統領来日を控えた夏。
歴史的な日韓友好条約締結を前に、
警察が全勢力を挙げて大統領警護にあたるその裏で
事件は起きる。

現職総理大臣の孫娘が誘拐されるという前代未聞の事件。
けっして直接コンタクトを取らず、
いっさい痕跡を残さない犯人に、政府と警察は翻弄される。

犯人からの要求は、日韓条約締結の中止と活動資金30億円。

犯人は、どうやって30億円を手にするのか…。
しかし、事件は意外な方向へと進んでいく。





WOWOW制作のテレビドラマは「映画」を越えてるな!。
日本映画のレベルが落ちすぎているのが原因のひとつか。
そらぁ、お手軽な中高生向けのライトノベルを旬の俳優、
アイドル、芸人を集めて短期間で撮りあげました、
ってのばっかりだからな。

この:五十嵐貴久先生原作「誘拐」も捨てシーンが
ひとつもない。短い放映時間に濃密な物語が凝縮されており、
まったく中だるみのないままラストへと流れ込む。

ストーリーをひとことで言うならば、
日本国を揺るがした女子高生…というところだろうか。

「誘拐」と題名にあるが、誰も傷つかない、傷つけない。
血、一滴流れない。
(厳密にいえば流れているシーンはあるが)。

どこにでもいる「普通の会社員」の男が、
一国の総理大臣を脅迫し、操るのである。
もう三上博史さんが素晴らしすぎる。
もっと評価されるべき俳優である。

ふてぶてしい女を演じさせたら日本の芸能界で、
3本の指に入る中越典子さんがここでも好演。
なんで永井大なんかと…早く別れろ。

笑えるシーンはひとつもない。
全編に渡り物語に流れるのは中年男の悲哀…。
しかし、見終えた後に残るのは絶望ではなく希望。
ほんのわずかな希望。

ここまで完璧な完全犯罪…マネしてみたくなるのが人情。
なかなかその機会が訪れることはなかろうが…。

実によいテレビドラマを見た。




評価 ★★★★☆

nise!(20) 

「人質の朗読会」2014 [テレビドラマ平成]

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〔2014年/日本/WOWOW〕




南米のある国でテロ事件が発生。
長期化した事件は、日本人の人質6人全員が死亡という
最悪の結果となってしまう。

2年後、ラジオ局の報道記者・中原は、
テロ事件で母親を亡くしたひとみから連絡を受ける。
彼女によると当時、事件解決に動いていた政府軍は
盗聴器を仕掛けており、中には人質たちの「声」が
収められていたという。

そのテープを手に入れたひとみは、母親の最期の時間を
知ってもらいたいと語る。収録されていたのは、
人生の一片の朗読だった。

作家、主婦、工場経営者、ツアーガイド、会社事務員という、
職業も年齢もバラバラの人質たちの、
日々の物語が語られていた。




またしても映画だと思い込んでテレビドラマを見ていた。
救いがない…。
なぜなら、これから登場し、それぞれ秘めた物語を
順に朗読する人々が、すでに亡くなっていると冒頭で
知らされるからだ。

なんの罪もない観光客がゲリラ部隊の人質にされ、
その事件は長期化。人々の関心も薄れだしたころ、
軍が強行突入。人質は全員死亡するという悲劇。

人質たちはきっと助かる、日本政府が助けてくれると
信じて待つ。しかし、一向に救いの手は届かない。
人質たちは長い時間を少しでも紛らわすために、
順番に「自分の物語」を語りはじめる。

素人なりに懸命に人々は語り、朗読会を行う。

全員が語り終えた翌日、物語は終わりを迎える…。

誰にでも大なり小なりの「物語」はある。
他人にとってはどうでも良いことでも、
当事者にとっては忘れられない「物語」、
大切にしている「物語」がある。

このような非常事態にでも遭遇しない限り、
人に話す機会もないだろうが、人はそれを持ち続けて
生きていくのだろう。

派手さはないが、なかなかに良質の物語。
ヘタな映画はラクラク越えている。




評価 ★★★☆☆
nise!(16) 
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