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「人質の朗読会」2014 [テレビドラマ平成]

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〔2014年/日本/WOWOW〕




南米のある国でテロ事件が発生。
長期化した事件は、日本人の人質6人全員が死亡という
最悪の結果となってしまう。

2年後、ラジオ局の報道記者・中原は、
テロ事件で母親を亡くしたひとみから連絡を受ける。
彼女によると当時、事件解決に動いていた政府軍は
盗聴器を仕掛けており、中には人質たちの「声」が
収められていたという。

そのテープを手に入れたひとみは、母親の最期の時間を
知ってもらいたいと語る。収録されていたのは、
人生の一片の朗読だった。

作家、主婦、工場経営者、ツアーガイド、会社事務員という、
職業も年齢もバラバラの人質たちの、
日々の物語が語られていた。




またしても映画だと思い込んでテレビドラマを見ていた。
救いがない…。
なぜなら、これから登場し、それぞれ秘めた物語を
順に朗読する人々が、すでに亡くなっていると冒頭で
知らされるからだ。

なんの罪もない観光客がゲリラ部隊の人質にされ、
その事件は長期化。人々の関心も薄れだしたころ、
軍が強行突入。人質は全員死亡するという悲劇。

人質たちはきっと助かる、日本政府が助けてくれると
信じて待つ。しかし、一向に救いの手は届かない。
人質たちは長い時間を少しでも紛らわすために、
順番に「自分の物語」を語りはじめる。

素人なりに懸命に人々は語り、朗読会を行う。

全員が語り終えた翌日、物語は終わりを迎える…。

誰にでも大なり小なりの「物語」はある。
他人にとってはどうでも良いことでも、
当事者にとっては忘れられない「物語」、
大切にしている「物語」がある。

このような非常事態にでも遭遇しない限り、
人に話す機会もないだろうが、人はそれを持ち続けて
生きていくのだろう。

派手さはないが、なかなかに良質の物語。
ヘタな映画はラクラク越えている。




評価 ★★★☆☆
nise!(16) 

nise! 16