SSブログ

「わんぱく探偵団」1968 [テレビアニメ昭和]

912ZDuaNsEL._AC_SY445_.jpg
〔1968年/日本/虫プロダクション〕




犯行前に必ず予告を行い、厳重な警備をものともせず、
大胆不敵な手段で貴重な美術品を盗んでいく怪人二十面相。

それを追うのが名探偵・明智小五郎。
そして、正義感の強い小林少年をリーダーとした、
わんぱく探偵団のメンバーだ。

おてんば娘のおトコ、ちゃっかり屋のチビちん、
学者肌のまめタン、食いしん坊のでぶとん、
自動車を運転できるすてやん。彼ら6人が、それぞれの
得意分野を活かして二十面相に立ち向かっていく。




江戸川乱歩先生原作による「少年探偵団」。
これ以前にも数々の劇場作品、テレビ映画として
映像化されてきたが、まだまだ黎明期の作品とあって、
現在の視点で見ると、迷いの見られる「迷作」、
「珍作」な印象を強く受ける。

本作は、手塚治虫先生率いる、虫プロダクションが、
少年探偵団の決定版となるべくテレビアニメ化したもの。

探偵団のメンバーを整理し、それぞれに名前、特徴を
与えた功績は大きい。これらは後年の作品群にも、
受け継がれていき、実に見やすく、視聴者にも
感情移入しやすくなった。

それまでの作品では、探偵団の子どもたちは、
とにかく数はいるのだが、なんのためにそこにいるのか、
「お前、誰?」というような描かれ方。
「小林少年とその他大勢」。そんな扱いの子役がほとんどだった。

日本初の連続テレビアニメとされる
「鉄腕アトム」が1963年であり、本作の製作が
アトム誕生から、まだわずか5年しか
経っていない時期にも関わらず、作画の安定感が素晴らしい。
日本のアニメ技術が急成長していた時代だ。


本作は過去に、にっかつビデオから
初期話数を収録したビデオソフトが、
日本コロムビアより、初の全話収録DVDボックスが、
そして現在、気軽に入手できるDVDボックスが
ベストフィールド社より発売されている。

注目すべきは2つのDVDボックスの特典なのだが、
あちらに入っていて、こちらにない…というのが、
あり実にマニア泣かせである。

コロムビアの虫プロDVDシリーズは発売当時、
徹底的な素材の発掘調査が行われ、本放送以来失われていた
多くのバージョン、欠落フィルムを初収録した、
まさしく「虫プロアニメ映像商品」の最終版として
世に送られた。

そのため、本編映像に加え、特典映像にも力が入れられている。
「わんぱく探偵団」もその例にもれず、
「ルパン三世」「ガンバの冒険」などでおなじみ、
山下毅雄先生作曲による番組音楽を音声特典として収録。

ほかにも、
わんぱく探偵団かぞえうた(未使用エンディング曲)、
番組宣伝スポット(30秒、15秒版)(音声のみ)を収録。
これらはCD化されていない音源の数々である。

映像特典としてはオープニングの別バージョン、
提供なしバージョン、ノンテロップ、
「青銅の魔人」サブタイトル未使用版を収録。

一方のベストフィールド版は、
音声特典部分はすべてオミット。
映像特典分と、
「青銅の魔人」を初号プリント版として収録。

そして一番の違いは入魂の解説書だろうか。
コロムビア版の解説書は一冊の書籍にまとめてもらいたいほど、
「濃い」!。これだけでも中古のコロムビア版を購入する
価値がある。

ただ、ベストフィールド版はお手軽に、お気軽に…という
部分で、価格的な面でも悪くはない商品である。

こういったマニア向けの商品を再販売する際には、
過去の映像商品に収録された映像特典などを完備した
決定版として発売してもらいたいものだ。

中途半端なものが一番困るのである。




評価 ★★★☆☆




nise!(1) 

nise! 1