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「聖ロザリンド」 わたなべまさこ先生 [芸能関連]

聖ロザリンド.jpg
〔1973年/少女フレンド/講談社〕




8歳の愛くるしい女の子。ロザリンド。
大富豪ハサウェイ家の一人娘として生まれ、
かがやくような金髪、バラの花びらのような
ほほ、どこまでも澄んだブルーの瞳を持つ
天使のような少女。

母親のミケーネ・ハサウェイとともに、
故郷の英国からギリシアのロドス島に
引っ越してきた。

母娘はむさくるしい執事のアルフレッド、
メイドらとともに、裕福な生活を送っていた。

しかし、母娘の引っ越し直後から、
周囲の人間が連続して不審な死を遂げる。

ある日、息苦しい執事のアルフレッドは、
ロザリンドの狂気を目撃してしまう…。

まさか、そんな…お嬢様が?、
わずか8歳のお嬢様があの愛くるしいお嬢様が!?




いきなりネタバレ。
犯人はロザリンド。すべての元凶はロザリンド。

はじめは誰もが「まさか」と思った。

子供は天使である。

天使が罪を犯すはずがないと誰もが信じて疑わない。

だが、その天使が罪を理解していなかったら?
生と死の概念さえも理解していなかったら?

無邪気な天使は無垢な心のままに罪を重ねてゆく…。

一体、この作品どう始末をつけるつもりなのだ。
半分まで読み進めた我々はそれが気になって仕方ない。

罰するべき相手はわずか8歳の子供である。
どう落とし前をつければよいのか。

現在だと「サイコパス」などという言葉で
片付けられてしまう案件を1973年当時に描いている
事に驚かされてしまう。早すぎた衝撃作。


これ以外は考えられない方向へと結末は向かう。
ロザリンド以外の登場人物すべてが哀しい。

ただ、8歳のロザリンド本人は幸せである。
最後の1秒まで幸せの中にいられたのが救いである。





評価 ★★★★☆
nise!(11) 

nise! 11