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「ゆるせない、逢いたい」2013 [映画・邦画]

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〔2013年/日本/シネグリーオ〕





事故で父を失った高校生のはつ実は、
母の恵子とともに父を含めて三人で住む予定だった
郊外の一軒家に引っ越しをする。

高校では陸上部に所属するが、過保護で厳しい母や、
慣れない新しい生活のせいもあり、孤独感を抱く。

そんな矢先、古紙回収をする隆太郎と出会い、
二人の仲は自然と深まっていく。

数回目のデートの後に帰宅すると、
恵子が娘を心配するあまりにはつ実を追及。
口論になった末に携帯電話を壊してしまう。

唯一の連絡手段である携帯電話が壊れていることを
知らず、はつ実からの連絡が途絶えたことで、
隆太郎は彼女に嫌われたと思い込んでしまう。

すれ違いの日々が続くが、再会したある夜、
昂ぶる感情を押さえられず、
隆太郎ははつ実を襲ってしまう…。





本作のテーマが、「デートレイプ」である。
これしか予備知識はなかった。

見始めてからも、柳楽優弥がいつ女子高生を襲うか?、
それしか頭にない。
2人で会う回数を重ねていく…。
一向に襲わねぇじゃねぇか!。

しかし、柳楽優弥の目が怖い。
あれは獲物を狙う野獣の眼だ!ケダモノだ!。
もうしばらく付き合って見てみよう…つらいな。

ついに襲った!!路上で!!。
やはりケダモノだもの!理性を抑えきれない!。

で、2人は被害者と加害者という立場になってしまうのだが…。


やはり、ダメだな。

昭和の時代から、いやそれ以前から、
このような事態に陥ったとき、男も悪いが、
襲われたほうにもスキがあったんじゃないのか?、
本当は同意のうえだったんじゃねぇの?という、
意識が見てとれる。

本作でもダンカン演じる、いやらしい刑事が
女子高生に事情聴取するのだが、
「あんたも(相手を)好きだったんじゃないの?」なんて、
平然と口にする。

被害者の女子高生も相手を憎い…!だけじゃなく、
「…でも、会いたい」なんて心境に。
この一件で精神的に追い詰められている描写がありながら。

で、女子高生のご希望で柳楽優弥と対面するのだが、
「…なんであんな事したの…?」。

で、柳楽優弥の答えが、
「好きだったから…!」。

好きだったら何をしてもいいのである。
これは完全にオトコ目線の作劇。

で、女子高生がさらに返す。
「…怒ってないよ…」。

え…。

これは完全にオトコ目線の願望。
さらにオトコ目線はラストまで続く。
最終的には柳楽優弥は有罪にもならず、職場復帰。

もう、この2人は会うことはないと言いながらも、
多分、来週あたりラインが来るだろうな…と、
明るい未来を予感させて物語は完結する。

女子高生の同級生の知り合いが警察関係で、
今回の事件の件が外部に漏れていたり、
色々とありえない設定も多々見られる。

とにかく、オトコ側からの「好きなんだから、
しょうがねぇだろ?許せよ」。そんな映画。

女性脚本家、女性監督による同じテーマを扱った、
オンナ目線からのアプローチも見てみたいものだ。




評価 ☆☆☆☆☆



nise!(12) 

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