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「パタリロ!」1982 [テレビ番組関連]

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〔1982年/日本/東映動画〕




マリネラ国王「ヒギンズ3世」の子息、パタリロ王子が
親善のためにイギリスへとやって来た。

ボディガードを指示されたのは英国情報部「MI6」の
エージェントであるバンコラン。
バンコランには「美少年キラー」という異名を持つほど、
数々の少年たちとの浮名が常に流れていた。

マリネラでは、王室と総理大臣が権力争いの真っ最中。
大臣の一派がパタリロの命を狙って暗躍していた・・・。




近年「翔んで埼玉」などのヒットで再び脚光を浴びる
魔夜峰央先生原作、東映動画(東映アニメーション)により、
1982年(昭和57年)よりテレビアニメとして、
母と子のフジテレビ系列で放映された「パタリロ!」です。うんにゃ。

マイノリティーだ、ジェンダーだのそんな言葉すらない時代に、
男性同士の同性愛者が登場するアニメを、
お子様も見る時間帯に堂々と放映していた。
その事実がすでにスゴイ。

もっともバンコランの恋人、マライヒは女性の藤田淑子さんが
演じる事により、一般視聴者は「少年」ではなく「女性」として
見ていたのではなかろうか。

当然ながら、テレビ版ではその部分はややソフトに描き、
主人公パタリロ!によるハイパーギャグアニメとしての
面を強調し、何より本作を語る際には切っても切り離せない
「クックロビン音頭」に曲がついたのがうれしい。
(初期話数ではまだ、確定しておらず迷い、揺らぎが見られる)。

それにしてもクックロビンを殺したのは誰なんだ・・・。
それよりなにより、クックロビンとは誰なんだ・・・。

それはさておき、昭和の子供たちの脳裏に
パタリロ!というキャラクターを焼き付けたのは、
白石冬美さんのよる「声」のイメージが大きい。
彼女以外のパタリロ!は考えられない。
なので、近作「パタリロ西遊記!」は見ていない。

白石さんは感情を素直に表に出す人のようで、
自身の演じたお気に入りの「怪物くん」が新作で
制作され、キャストが変更された際も、
「悲しい、悔しい」と原作者にまで直談判したと、
仰っておられるのを読んだ記憶がある。

パタリロ!の際にはどうだったのだろうか。

そのせいかどうか、「巨人の星」や「あしたのジョー」などは、
ほぼ最後まで白石冬美さんが演じておられた。

人をおちょくるのが生きがいで、そのためには殺人すら厭わない
そんなパタリロ!中でも強烈に印象に残るのが、
第19話「月への旅立ち」。はじめてパタリロ!の「素」が見えた…。
そんな感動の一作。

本放送中の度重なる放送休止、時間帯移動、
さらには放送が終了してからの劇場映画公開など、
もう少し本作を取り巻く環境が良ければ、もっと化けた作品と
なったかも知れない。それを思うと実にもったいない。




評価 ★★★★☆