SSブログ
テレビ番組関連 ブログトップ
前の10件 | 次の10件

「樫の木モック」1972 [テレビ番組関連]

5d9da4cf-45fe-44a8-8c45-d7131b5fdec9.jpg
〔1972年/日本/タツノコプロ〕



ある日、ひとり暮らしの木彫り職人のゼペット爺さんは、
その寂しさから樫の木で子供の人形を造り出した。

その人形はある夜、妖精によって命を吹き込まれ、
モックと名付けられ、おじいさんは大喜び。
自分の子供のように可愛がって一緒に暮らしはじめました。

しかしモックはイタズラ好きで、問題を起こしては
ゼペットじいさんを困らせていました・・・。




カルロ・コローディ先生のよる「ピノキオ」をベースに、
「科学忍者隊ガッチャマン」「新造人間キャシャーン」でおなじみ、
吉田竜夫先生率いるタツノコプロダクションが、とことんまで
貧乏臭く、ドン底までに救いようのない作風で
1972年(昭和47年)より放送開始した「樫の木モック」です。

この時期のタツノコ作品は「みなしごハッチ」を筆頭に、
第1話から、うつ病を引き起こすほどのトラウマを子どもたちに
植えつけるのがデフォ。

本作も主人公に対しては、かつてない、これからもないほどの
試練を与えまくる。なんせ、モックの体は「木」なので、
主人公はバラされ、手足はすぐに燃やされる!。

常に命を付け狙われ、危機に直面するのだが、
このモックは人の・・・(と言うか、本作ではコオロギさん)の
忠告を絶対に聞かない。で、ピンチに陥る。

これの繰り返し。学習の力はあまりない。
なんせ、脳みそまで「木」だから。
気の毒なのは、おじいさん。ただ悲しみオロオロするだけ。


人々はモックを罵る「悪魔の人形」と。
ま、普通に考えたら、木の人形が意思を持ってウロウロしてたら・・・、
怖いな。わからなくもない。

そして迎えた最終回。
子どもたちが嬉しい楽しい、雪の降るクリスマス。

ついにモックも、こりゃあヤバイ、こんなことしてたら、
物語終わんねぇよ!と自覚したのか人助けに目覚める。

しかし「悪魔の人形」に恐怖した人々は、
モックに向けて一斉に銃を撃ち込む・・・!息絶えるモック・・・。

あまりに強烈過ぎる内容、現在の視点から見て、
差別的な内容が多分に含まれるせいか、
本作はビデオテープの時代から全話数が商品化された事が無い。

ぜひ、今を生きるよい子に強制的に見せつけて
人間の生きる厳しさを叩きこんでやりたいのだが・・・。

昭和の子どもたちは、普通にこんな物語を毎週、
見せられていたんだなぁ・・・。スパルタだなぁ・・・。




評価 ★★★★☆
nise!(19) 

「アニメンタリー決断」その2 1971 [テレビ番組関連]

決断だよ.jpg
〔1971年/日本/タツノコプロ〕





人生で最も貴重な瞬間
それは、決断の時である。
太平洋戦争は我々に平和の尊さを教えたが、
また、生きるための教訓を数多く残している。


1971年(昭和46年)、日本テレビ系にて放映開始された
異色の戦記アニメドキュメンタリー「アニメンタリー決断」。

制作はアニメ業界でも当時、リアル・劇画路線を突き進んでいた
吉田竜夫先生率いるタツノコプロダクション。

この作品の成功が後の「科学忍者隊ガッチャマン」、
「宇宙の騎士テッカマン」「破裏拳ポリマー」のような
ハードSF作品への布石となった。


1941年12月8日の真珠湾奇襲攻撃から、
1945年8月15日の終戦までの太平洋戦争の全容を
リアルな作風で描ききった傑作!。

順当にいけば、最終回は当然、昭和天皇をテーマにした
第26話「天皇の決断」…となるハズなのだが、
それは制作・放送されなかった。

本放送当時の最終回は「川上監督の決断」と、
なぜかいきなり読売巨人軍の実写ドキュメンタリーに
なってしまった。

と、以前書いていたのだが、その後の調査により、
前半クール制作中に日本と中国の戦いを描いた、
日中戦争の1話分が製作されながらも
お蔵入りしてしまった・・・という話が飛び込んできた。

すでに作品は完成しており、試写の段階で、
「ちょっとこれは・・・」という描写が見られたため、
放送が見送られたというのである。

なお、都市伝説のように語られる、
決断、幻の最終回「昭和天皇の決断」はハナっから
製作される予定もヘッタクレもなかったとのこと。

そう言われれば、当時は昭和天皇もバリバリの現役であり、
皇室を「いじる」なんて、もってのほか。
今よりもさらに皇室への発言、意見等は統制されており、
それをアニメにするというのも、かなりムズかしかったと思われる。

現在のように皇族を呼び捨てにして、不平不満を
ネットに書き散らす・・・そんな事が出来る訳ない!。
そんな時代が日本にはあったである。
(今もしてはいけませんよ、それをヘイトというのです)。




評価 ★★★★☆
nise!(14) 

「ピュンピュン丸」1967 [テレビ番組関連]

711jUebK61L._SL1116_.jpg
〔1967年/日本/東映動画〕




伊賀忍者のピュンピュン丸は凄腕の少年忍者。
しかしどこかが抜けていてずっこけるのが玉にキズ。

弟のチビ丸の泣き声はもの凄く、破壊力抜群だが、
兄の言うことをまったく聞かない。
ガールフレンドのサユリちゃんは甲賀忍者のくノ一。
そんなピュンピュン丸にベタ惚れのケメ子は、イヤだと言っても
ついてくる・・・。

ゆかいな仲間に囲まれてピュンピュン丸はなんでもOK商事で
今日もがめつい所長にこき使われる毎日。
敵対するライバル、風魔忍者たちとの戦いは実にキビシー!のであった。




1967年(昭和42年)、NET(テレビ朝日)系でドッテドッテと放映されたのは、
「恐怖新聞」のつのだじろう先生による「忍者あわて丸」を原作として、
東映動画(東映アニメーション)がなんだなんだなんだと製作した、
「ピュンピュン丸」(花のピュンピュン丸)です。

そう、問題は「花の」ピュンピュン丸である。
ピュンピュン丸はなぜ、「花のピュンピュン丸」と呼ばれるのか?。

完成作品には「花の~」という表記はどこにもない。
物語中でも「花の~」と呼ばれることもない。

それなのにアニメ大百科などでは、
「花のピュンピュン丸」と記載され続ける例が後を絶たない。

どこから「花のピュンピュン丸」というタイトルが
広まってしまったのだろう。

実は「花の~」は企画時のタイトルで仮題のまま、広報資料として
使われてしまい、その後正式タイトルから「花の」がなくなるも、
現在に至るまで、その名残が残っていると言う稀有な例…らしい。

「らしい」というのも、都市伝説クラスのいい加減なものであり、
本放送と再放送では番組タイトルが変わった、表記が変わった、
というケースもないことではない。

有名なところでは、
「変身忍者嵐」は途中で、「へんしん忍者あらし」に変わったとか、
「闘士ゴーディアン」は「分身合体!闘士ゴーディアン」に、
「Gライタン」は「黄金戦士ゴールドライタン」に・・・など、
様々なケースが伝えられるが、現在公開されているフィルム上では、
確認することは出来ない。

理不尽ではあるが「ピュンピュン丸」は
今日も「花のピュンピュン丸」と一部の人に
呼ばれ続けて生きるのだ。誠にキビシーーー!!!。




評価 ★★★☆☆
nise!(15) 

「狼少年ケン」1963 [テレビ番組関連]

03001058343.jpg
〔1963年/日本/東映動画〕




ここはヒマラヤ山脈、ドカール地方のジャングル。
人間の子供であるケンが、狼族に育てられ、
ジャングルの平和を守る為に活躍する。

白いライオンに授かった「王者の剣」を牙とし、
双子の子狼、チッチとポッポをお供に
今日もジャングルを駆け回るケン。

彼を見守る仲間・片目のジャックや長老のボスと共に、
ジャングルに厄介ごとを持ちこむ人間たちや、
大熊や虎の三日月キズを相手にして、
「二本足の狼」として生きるケン。

野性味溢れるダイナミックで自由奔放な爽快アクションの傑作!。




東映動画(東映アニメーション)製作による記念すべき第一作として、
1963年(昭和38年)より、テレビ朝日(NET)で放映された
「狼少年ケン」です。

当時、「不可能」と言われていた毎週放送する連続テレビアニメの
製作を、漫画の神様・手塚治虫先生率いる虫プロダクションが、
「鉄腕アトム」で実現。それもムチャな超低価格でやっちまったから、
ほかの製作各社はもう大変。

やらなきゃしょうがない状況に追い込まれてしまった。
それが今日のアニメブーム、ジャパンアニメを作りだしたのだから、
一概にムチャしやがって・・・手塚の野郎・・・とは言えない
ところがツライ。

本作もまだアニメ制作のノウハウがない東映動画社内で、
初期の数話は企画立案者である、月岡貞夫先生が、
言い出しっぺの責任・・・と言わんばかりに、脚本、作画、
演出など、ひとりで超人的な活躍を見せ、
ようやく放映にこぎつけられたとの伝説が残されたほどである。

月岡先生失くして、現在の東映アニメーションは語れない。
先生がいなければ、「プリキュア」も「おしりたんてい」も
生まれなかったかも知れないのだ!。

歴史的記念作、現在はお安いDVD商品で手軽に全話数が再見可能な
嬉しい時代になっているのだが、残念なことにレーザーディスクの時代に
収録されていた森永まんがココアのCMなどが未収録となっている。

唯一のカラー版「狼少年ケン」は、
レーザーディスクでないと見られないのだ。

LD(レーザーディスク)には入っていたのに、
DVD、ブルーレイではカットされてしまった・・・、
そんな例、結構あったりする。
過去の遺物と化したLDではあるが、そんな事例のためだけに
なかなか処分することが出来ずにいるのはワシだけか・・・。




評価 ★★★☆☆

nise!(16) 

「ハニーハニーのすてきな冒険」1981 [テレビ番組関連]

032e0eb8.jpg
〔1981年/国際映画社〕




1907年のオーストリア・ウイーンである夜開かれた
王女フローレル姫の誕生パーティー。

そこにはたくさんの求婚者たちが列席していたが、
そこには謎の怪盗フェニックスが秘かに潜りこんでいた。
姫の持つ世界的な宝石「アマゾンのほほえみ」を盗むためである。

その宝石を魚に飲み込ませて、盗み出そうとするまでは
よかったが、その魚を通りかかった猫のリリーが食べてしまった!。

王女は猫から宝石を取り返してくる事を結婚の条件と宣言。
姫の言葉を受けて、求婚者たちは一斉にリリーを追いはじめた!。
びっくりしたのはリリーの飼い主である、少女ハニーハニー。
ハニーはリリーを連れて世界中を追手と怪盗から逃げ回ることになる。





1968年(昭和43年)に集英社「りぼん」誌上に、水野英子先生が連載された
漫画作品を1981年(昭和56年)にいきなりのテレビアニメ化!。
「ハニーハニーのすてきな冒険」です。

アニメーション制作は「銀河旋風ブライガー」「超攻速ガルビオン」など、
1980年代の日本アニメ界に旋風を巻き起こした風雲児、国際映画社。

実質的な製作は東映動画(東映アニメーション)が手掛けた本作は、
昭和40年代、すでにアニメ化の企画があり、長らくお蔵入りしていた
ものが1980年代、再び動き出し、ようやく形になったという。

確かに物語のストーリー、設定的には少々クラシックに感じる部分も多い。
けれども、ストレート直球の少女アニメとしては、まずまずの完成度を見せる。

が、本放送時、関西の子供たちには土曜の朝8時からという、
少々酷な時間に放送されたため、ほとんどのよい子が登校時間と重なり、
見ることが叶わず話題に上る事もなかった。

80年代後半、東芝映像ソフトよりビデオソフトが発売され、
同時に度々の再放送が行われ、そこでようやくハニーハニーの
全貌が関西のチビっ子たちに明らかとされた。

現在、製作会社が倒産し、ハニーハニーを再見するのは
なかなかに困難。
(原版は適切に保管されているが、需要がないだけ)。

まさかそのような状況になるとは夢にも思わず、
度重なる再放送に、正直「え?またハニーハニー?!」と、
半ば呆れたのも、いまでは贅沢な思い出。




評価 ★★★☆☆

nise!(14) 

「エースをねらえ!」1973 [テレビ番組関連]

81GHwFdo-iL._SY445_.jpg
〔1973年/東京ムービー〕




高校テニス界の名門である西高テニス部。
なかでも“お蝶夫人”の異名で呼ばれるを竜崎麗香は、
トップクラスの実力でテニス王国の女王として君臨していた。

新入生の岡ひろみは親友の愛川マキとともに、お蝶夫人に憧れ
テニス部に入部するが、この学校に新しく赴任してきた
宗方仁コーチは、ひろみを地区大会の選手に指名する。

ひろみは麗香ら上級生の反発と嫉妬をかう。
プレッシャーの中、くじけそうになるひろみであったが、
暖かく見守るマキや仲間の友情、
そして、ひろみの秘められた実力を誰よりも見抜いていた
宗方の指導により、ひろみは成長を遂げる。エースをめざして!。




1973年(昭和48年)より、東京ムービー(トムスエンタテインメント)
制作により、MBS・毎日放送系(NET)で放送された
「エースをねらえ!」。

集英社刊、週刊マーガレット連載の山本鈴美香先生の
同名漫画作品を原作として全26話が制作され、
その後度重なる再放送で人気が再燃。

その後も劇場版、続編アニメが制作される
不滅のスポーツ根性テニスアニメの金字塔として輝きは失われず!。

丁度、今朝から地元で久々の再放送がはじまり、
まじまじと第1話を寝ぼけまなこで見ていたのだが、
やはり・・・名作と言われるだけあって、おもしろいな!。

周りのキャラクターたちが事あるごとに、「白目」むくのな。
無題.jpg
この演出はアニメだけかと思ったら、原作漫画で
すでにあるのな!知らんかった。
無題.jpg
朝7時30分から月~金、毎日白目!。

物語は「新・エースをねらえ!」、さらには、
ビデオオリジナルアニメとして製作された
「エースをねらえ!2」を経て完結するのだが、
この「2」が個人的には最高傑作。

宗方コーチを失ったひろみの白痴っぷり演出がサイコー!。
人は一度堕ちたどん底から、いかに再び起ちあがるのか?を、
徹底的に描いている。

ただ、「2」はなかなか再放送されない。
基本的に今、再放送をやってる局は続編がある場合、
最後までやっちゃうのだが、よくやっても「新」までかしら?。
朝だから時報入ってるしなぁ・・・。

「2」が見られたら、またご報告します。・・・って、されてもなぁ。




評価 ★★★☆☆

nise!(13) 

「ルパン三世」1971 [テレビ番組関連]

917BkqZ9gJL._SL1500_.jpg
〔1971年/東京ムービー〕



1967年(昭和42年)、双葉社・漫画アクション誌上に颯爽と現れ、
1971年(昭和46年)には東京ムービー(トムスエンタテインメント)
制作による、テレビアニメーションとして世間を騒がせたのは、
モンキーパンチ先生原作、世紀の大泥棒、そう、このオレさま、
「ルパン三世」。


関西人には「じゃりン子チエちゃん」と並ぶ、永遠に終わらない物語。
平日夕方だけでは飽き足らず、日曜お昼の1時間2本立て再放送は
1980年代の関西生まれのテレビっ子たちには語り草。

いつまでもどこまでも再放送が終わらない。
パート1が終われば、翌週からはパート2。
パート2が終われば、パート3。そしてまた、ふりだしに戻る・・・。

製作局である、よみうりテレビは絶対に再放送権を手放さなかった。
日本テレビがスタジオジブリ作品を独占しているように。
それが、よみうりテレビの手を離れ、近年サンテレビで再放送が
行われた事実には昭和がすでに終わっている事を実感させられた。
(平成も終わるっちゅうねん)。

シカシ、どれだけ再放送が繰り返されようと見られないものがあった。
それは第一作の次回予告編。
これに再会するにはバンダイ(エモーション)レーベルから発売された
ビデオソフトの発売を待たねばならなかった。

「ビデオ大全集」と銘打たれて、全23話が完全ビデオ化された。
この当時は、ひとつのアニメ番組を全話数商品化する…というのは、
非常にめずらしかった。

しかし、それにも新番組予告、最終3話分の予告編が未収録であった。
やがて、ルパン三世シリーズすべての予告編「だけ」を集めた
ビデオソフト(LD)が発売される。
それが「ルパン三世 予告編コレクション'71~'95」である。
今度こそ・・・。

しかし、その期待はまたしても裏切られる。
しかも決定的な一文が解説書に記されていた。
「予告編は未制作です」。

そうかー、作られてないんかー、入ってないハズだよ!。

本放送時、その放送時間には後番組である「超人バロム・1」の
新番組予告が流されていたという。なるほど。

作られてないものは収録できないのはあたりまえである。

しかし、「予告編は未制作です」。という記載はどうにも疑わしい。
なぜなら、それはルパン三世第2シリーズの新番組予告にも、
記されていたからだ。

ルパン三世第2シリーズの新番組予告編、ワシ・・・見たで。


長くなるので、また機会をあらためて・・・いつかにつづく。




評価 ★★★☆☆
nise!(16) 

「フランダースの犬」1975 [テレビ番組関連]

20190216-235419.jpg
〔1975年/日本アニメーション〕




ベルギー・フランダース地方に、絵を描くのが得意な
少年ネロと祖父のジェハンが貧しいながらも人々の好意に
助けられながら、暮らしていました。

ある日、ネロは金物屋の主人に捨てられた荷車引きの犬、
パトラッシュを道端で助け、家に連れて帰り一緒に暮らすこと。
元気になったパトラッシュは牛乳運びの仕事を手伝い、
いつもネロと一緒に過ごすようになりました。

しかし幸せな時はわずかで、おじいさんは無理がたたり、
亡くなってしまいます、ネロはたった一人きりに・・・。
貧しいネロに世間の風当たりは厳しくつらいものでした・・・。




イギリスの作家、ウィーダによる小説を原作に、
世界名作劇場の日本アニメーション(初期はズイヨー映像名義)が、
1975年(昭和50年)にテレビアニメ化した「フランダースの犬」。

その後も幾度か映像化されてはいるが、本作を越える事が
出来ない。それほどに完成された作品。

なんせ原作は本国でもあまり有名ではなかったというのに、
このアニメが逆輸入され、放映されることにより、
一躍脚光を浴びて、「名作」扱いされるに至るほど。

この物語を一言で表すならば、
正直者はバカをみる。

バカですわ。ネロ少年。
何度か人生大逆転のチャンスに恵まれながら、
自らすべてを手放してしまった。

人々に忌み嫌われて、挙句の果てに放火犯人にされ、
唯一の友だちであったアロアとも引き離され、
最後の希望であった絵のコンテストにも、
差別主義の審査員たちの反対にあい、あえなく落選。

20190216-235419.jpg
裸足ですよ!はだし!。もう、クツすらないんですよ。
ズボンにツギ!。今時、いますか?ツギのあたった
ズボンを履いた主人公。ここまで追い詰められてます。

この直前、アロアの父、コゼツの落とした財布を拾ったネロは
正直に届けてるんです。
コゼツは自分をここまで追い込んだ張本人なのに。

吹雪の中、ネロは教会に向かうのですが、
この時点でネロには、もう「生きよう」という
想いはなかったのでしょう。

ただ、疲れた、楽になりたい。それだけ。

そしてパトラッシュと共に天に召されてゆく・・・。
アニメでは天使たちが迎えに降りて来て、
ネロを導き連れてゆく・・・綺麗に描かれていますが、
殺人ですよ。村人たちによってたかって、ネロは殺されたんです。

村人たちは反省したそぶりを見せますが、
内心、やっかいものが消えてくれた、娘もヘンなのに
引っかからずに済んだ。これでまた平和が戻って来た。
そう思ってるに違いないのです。
20190216-235419.jpg
吹雪の闇夜に白々しく響く、アロアの叫び・・・。

誰ひとり、救いの手を差し伸べず、少年と犬は死んでいった。
これは、人間の本当のみにくさを描ききった名作なのです。




評価 ★★★★☆
nise!(14) 

「星の子チョビン」1974 [テレビ番組関連]

91BF8vjfyZL._SY445_.jpg
〔1974年/スタジオ・ゼロ/渡辺企画〕




謎の悪者ブルンガによってふるさとである、
妖精の星フェアリー・スターを征服され、
王子のチョビンとその母は共に脱出する。

地球に辿りついた2人だったが、生き別れとなってしまった。
チョビンはトンカラ森で、天川博士とその孫娘、ルリと出会い、
森の動物たちと共に、ブルンガの悪だくみから、
この森と地球の平和を守る事を決意する。

ブルンガは執拗にチョビンをつけ狙う。
チョビンの左腕には「星のしずく」という、
フェアリースターの王子であるという証の腕輪があり、
その腕話には大きな秘密が隠されているのであった…。




1974年(昭和49年)放映開始、
スタジオ・ゼロ、渡辺企画製作による「星の子チョビン」。

原作は「仮面ライダー」「サイボーグ009」の
石ノ森章太郎(石森章太郎)先生。

大手芸能プロ、渡辺プロダクションが制作にかかわり、
当時の人気アイドル、天地真理さんがナレーションを担当。
アニメ番組なのに、いきなり劇中に顔写真で登場する(!)。

ナレーション担当と言っても、忙しい隣の真理ちゃんなので、
冒頭のひと言(毎回同じ)と、最終回の締めを
務めただけ…という感じのご出演。

本作の原版素材も散逸が激しく、現在DVDが発売されては
いるものの、オープニングタイトル前のアバンタイトル、
中盤から終盤までのサブタイトル画面、
次回予告編などがすべて欠落したままの状態。

ナベプロ社内には完全な素材が保存されているとの話なのだが、
「あの」ナベプロだからねぇ・・・。
今後もよほどの事がない限り、完全な姿の星の子チョビンに
再会することは困難であると思われる。




評価 ★★★☆☆
nise!(15) 

「トム・ソーヤーの冒険」1980 [テレビ番組関連]

a046017.jpg
〔1980年/日本アニメーション〕



ミシシッピー川のほとりで伯母であるポリーおばさんに、
弟のシッドとともに世話になっているトム。

わんぱくでイタズラ好きのトムに手を焼いているのは、
ポリーおばさんだけでなく村中の人もみな同じ。

トムは村の人々から嫌われている
乞食の少年、ハックとは親友同士。
共に数々の事件を巻き起こしますが、持ち前の正義感と
明るさゆえに子どもたちの間では人気者でした。
あくまでも子どもたちの間では・・・。



1980年(昭和55年)から、母と子のフジテレビで放映開始された、
日本アニメーション制作による「フランダースの犬」からはじまる
世界名作劇場シリーズ第5作は、アメリカの作家、
マーク・トウェイン先生の児童小説を原作にした「トム・ソーヤーの冒険」。

いたずら少年の冒険物語・・・としてスタートした本作は、
物語が進むにつれ、徐々にホラー要素が強くなってくる。

水難事故にあったとして、主人公が死亡(したと周りが誤解)、
お葬式が厳粛に執り行われ、その葬式に本人が出席・・・。

日本のアニメ史上でも珍しいと思われる展開が、
主人公が殺人現場を目撃。勇気を振り絞って裁判に出廷、証言。

しかし、その犯人が裁判所から逃亡!。
その後、延々と犯人につけ狙われ、恐怖の日々に怯える・・・。

本作では劇中にホームレスや、インディアンといった、
現在では「好ましくない」とされる描写、登場人物が多く見られ、
平成に入り、あまり再放送されることもなく、
振り返られることも少ない。名作の誉れ高い「赤毛のアン」の
後番組だったことも、印象を薄くしている要因かも知れない。

日下まろんさんの歌唱する名曲オープニング、エンディング、
「あしたのジョー」と並ぶ、ブタの大爆走!、
野沢雅子さんの変幻自在な演技とともに、世代人には忘れ難い一作。




評価 ★★★☆☆
nise!(23) 
前の10件 | 次の10件 テレビ番組関連 ブログトップ