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「野球少女」2019 [映画・洋画]

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〔2019年/韓国〕




最高球速134キロを誇り、天才野球少女とたたえられてきた
チュ・スイン。高校卒業を控えた野球少女スインは、
自分の進むべき道はプロ野球選手になるしかないと考えていた。

しかし性別が「女子」という理由だけでプロテストを
受けることが出来ない。母や友だち、野球部の監督からも、
夢をあきらめて現実を見ろと忠告される。

「わたしにも分からないわたしの未来が、
 なぜ他人にわかるのか」。

自分を信じて突き進むスインの姿に、新しく就任したコーチが
心を動かされる。かつてプロになる夢に破れ、いまここにいる
コーチは今までとは真逆の特訓をスインに開始する。

スインは様々な障壁を乗り越え、プロ野球選手になれるのか…!?。





試写会で観た。

俺たちの世代では女子プロ野球選手と言えば、
水原勇気、「野球狂の詩」だよな!!。

自他ともに認める天才野球少女なのだが、
新しくやってきたコーチがクセモノ。
なにかと言えば、スインを目の敵にし出鼻をくじき、
プロ野球という夢をあきらめさせようとする。

まさに鬼コーチ!。
…ハッ…これは「エースをねらえ!」?!。

その後、コーチがいきなり路線変更。
主人公の強力なバックアップをはじめる。
敵だらけ、男という村社会の野球界において一石を
投じるべく「お前がその一番目になれ!」と。


近年の作品でよくみられるCGバリバリの画面ではなく、
人間ドラマに重点を置いている点が良い。

これから公開を控えているので結末に触れるのは避けるが、
さて、これからどうするの?どうなるの?と思わせる。
もし続編があるならば、
球界で活躍し、そして苦悩する彼女の姿も観てみたい。





評価 ★★★☆☆
nise!(31) 

「また、あなたとブッククラブで」2018 [映画・洋画]

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〔2018年/アメリカ〕





夫に先立たれて未亡人となり、子供たちからは
年寄り扱いされるダイアン、会社社長であり独身貴族を貫く
性に奔放なビビアン、裁判官として活躍しながら
過去の離婚の痛手から立ち直れないシャロン、
仕事を引退し活力を失った夫との結婚生活の危機に
直面しているキャロル。

4人はそれぞれに都会的で自立した人生を
謳歌してきたものの、生きていく上での悩みは
尽きることがない。そんな旧知の4人の友情は、
定期的に開催される「ブッククラブ」で培われている。

いわゆる「読書会」ではあるが、その中身は
ワインや食事を楽しみながら互いの近況を
ひたすらおしゃべりし続ける「女子会」のようなもの。

ある日、ビビアンがお題として提案した一冊の本。
それは世界的に大ヒットした官能小説
「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」。

官能小説!?難色を示していたメンバーたちも、
読み進めるうちにその刺激的な内容に感化されはじめ…。




試写会で観た。




若者であれば普通に作品テーマとなることも多いのだが、
ある程度の年齢となり、家庭を、子供を持ち、
人生を重ねてゆくと一種のタブーとなってしまう
中高年~初老の「性」。

考えるだけでも「このトシで恥ずかしい」という先入観。
周りも「いいトシをしてみっともない」。
子ども、孫世代からすれば、もうそんな事には興味も
ないだろうと「聖人扱い」される。

とんでもない。

年寄りだから、障害者だから、
性欲なんてあるハズない!と、
決めつけられ語る事すら許されない風潮があるが、
高齢者施設においても、ひとりの女を奪い合って…!、
なんて事例はいくらでもある。
人間灰になるまで…なのである。

本作は開幕当初から少々、下品である。
濡れ場のない日活ロマンポルノさながらである。
出て来る4人の女性はそれぞれ、性に奔放。

当初感じた軽い嫌悪感は物語が進むうちに、
共感を呼びはじめ、最終的には4人を応援してしまう。

年齢にバラつきがあり、職業も環境も違うこの4人が、
どうして「ブッククラブ」という結びつきを得たのかは
わからなかったが、根底にあるのは確かな友情。

大人になると「友達」というのもなかなか出来なくなる。
彼女たちは「友情」をおろそかにしない。
ラストには四者四様のハッピーエンドが待っている。
当初持っていた「エロ映画」のレッテルはすでに消え失せていた。





評価 ★★★☆☆

nise!(11) 

「声優夫婦の甘くない生活」2019 [映画・洋画]

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〔2019年/椅子ラエル〕(日本公開2020年)




1990年のイスラエルが舞台。
この地へ移民してきた初老の2人、ヴィクトルとラヤ。

かつてソ連に届くハリウッドやヨーロッパ映画の
吹き替えで活躍していた声優夫婦。

しかし、新しい土地で夢であった人生の第二章を
切るハズが現実の世界は…声優の仕事がなかった…。

生活を支えるため、妻のラヤは夫に内緒で、
テレフォンセックスのオペレーターの仕事に就き、
七色の声を駆使し、思わぬ才能を発揮しはじめる。

一方、夫のヴィクトルは、フラリと入った違法な
海賊版レンタルビデオ店で再び声優の職を得る。
もちろん違法である。

ようやく生活も安定し、軌道に乗り始めたかに
見えたが、ラヤの秘密が発覚したことをきっかけに、
長年気付かないふりをしてきたお互いの不満が
顔をのぞかせはじめたのだった…!。




試写会で観た。




1990年代が舞台だけあり、登場する映像媒体は
VHSビデオテープ!。まだ、世の中はアナログ。

インターネット、スマホの普及により、
配信で自宅に居ながらにして手のひらで
映画が気軽に鑑賞できる時代がやってくるなんて、
夢にも思わなかった頃。

棚にズラリと並べられたビデオテープの絵面は、
すでにおとぎ話のようである。

愛情表現のヘタなおいぼれ亭主の哀しき物語。
妻に対する愛情は人一倍ある…ように見える。

それは開幕当初から、飛行機から降り立つ妻の写真を
撮るシーンからも感じ取れる。

ただ、それが周りへの迷惑を顧みない行為であっても。
そう、この亭主「空気が読めない」のだろう。
昭和時代なら「男は黙って」とか「不器用ですから」、
「武士は食わねど」などと美徳とされたものだが
令和の観客が観る映画だ。現代ではそれは通じない。

女側だっておとなしく黙ってはいない。それが令和だ。
切り替えが早い。
すばやいスイッチングにより、
もう次の「ときめき」を見つけている。

だが、亭主はどこまでも女房を追い続ける。
捨てられるのを怖れるように、母親とはぐれた幼児のように。
とことんまでに滑稽で哀しいところだ。
男っていう生き物は本当に哀しいなぁ…。



「コメディ」なのか、「ヒューマンドラマ」なのか、
「ラブストーリー」なのか、ジャンル分けに困る作品。
いや、今まさに「シニアラブコメ」という
新しいジャンルが誕生した瞬間か。






評価 ★★★★☆
nise!(14) 

「ぐうたらバンザイ」1966 [映画・洋画]

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〔1969年/おフランス〕




フランスの田舎町。
アレキサンドルという農夫が住んでいた。

彼は人並以上に体格もよく、力も強かったが
生まれつきのなまけ者だった。

しかし彼の妻は働き者で、なまけようとする夫を許さない。
夫は朝寝が大好きなのに、朝早くから女房にたたき起こされ、
食事もゆっくりさせてもらえぬまま、家を飛び出さなければ
ならない日々だった。

ある日、アレキサンドルの生活を一変させるような
大事件が起こった。あの口うるさい女房が交通事故で
死んでしまったのだ。女房の葬儀を済ませたアレキサンドルは
ひと息をつき、早速ベッドにもぐり込み、深い眠りにおちた。

三日後、一向にアレキサンドルが起きる様子がないので、
親友のサンガンが訪れると、過去十年間の寝不足の償いを
するのだと言い起きてはこない。

寝ていたアレキサンドルだが、腹が減った。
なんとか寝たままで食事をとる方法はないか。

そうだ!買い物は愛犬にさせればいい。
それから2カ月、アレキサンドルはまだ寝ていた。

そのうち、彼に共鳴して、なまけ病が伝染。
彼に続き、仕事を休む村人たちが続出した。

村会はこれを重視し、その対策として
アレキサンドルを兵糧攻めにすることに決定する!。




コレはヤバイ!。
こんな映画、勤勉な日本人に見せてはいけない。

日本人は朝起きたら、働きに出かけ、日が暮れると
家に戻り、明日の仕事に備える…。
それが当たり前とされている。

働かざる者食うべからず。

仕事をしない者は「悪」なのだ。
それが日本人の常識である。

それをこの映画はいかにして、働かず、動かず、
ただ食って、寝る生活を実践するか…それを布教しようとする。

まさに「悪の教典」である。

もし、すべての日本人がこの思考に共鳴してしまったら…。
それは「帰ってきたウルトラマン」、
第48話「地球頂きます!」の世界が実現してしまう!。

コメディーに見せかけた怖ろしい近未来ホラー映画だった…。




評価 ★★★☆☆
nise!(1) 

「キル・ビル」2003 [映画・洋画]

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〔2003年/アメリカ/日本〕



最強暗殺集団の凄腕エージェント、ザ・ブライドは
自分の結婚式で元ボスのビルの襲撃を受け、
愛する者を失い、自らも昏睡状態に。

4年半の眠りから目覚めた彼女は、
すべてを奪ったビルに復讐を誓い、闘いの旅に出る。





ストーリーは至ってシンプル。
これだけである。あとはなーんもなし。
ただ、画面から目を離すな、アクションを見ろ!。
グロいのもアリだ!。そんな映画。


日本びいきのクエンティン・タランティーノ監督が、
日本のファンサービスと自分の趣味で撮りあげたような映画。

至るところにジャパンオマージュが出て来る。

中でも特撮ファンに見逃せないのは、
千葉真一さんと大葉健二さんによるお寿司屋対決!。
この映画のために監督から要請を受け、大葉健二さんは
スキンヘッドに。

「宇宙刑事シャイダー」最終回の再来か、
「影の軍団」のがま八か、「コータローまかりとおる!」への
オマージュなのか、監督の意図は知れないが、
我々にとっては、ギャバンとボイサーの親子共演だよな!な!。

一時期、映画秘宝をはじめとして、日本でもかなり
持ち上げられていたタランティーノ監督だが、
最近はすっかりおとなしい。後年、暴露された本作での
主演女優の大けが、並びに強姦事件の被害女優を遊び人
呼ばわりして叩かれた件が災いしてしまったのか…。

日本のファンとしては監督の血が吹きだし、腸を引き出す、
痛快バイオレンス新作が見たいところだ。





評価 ★★★☆☆
nise!(1) 

「ストックホルム・ケース」2018 [映画・洋画]

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〔2018年/カナダ/アメリカ〕



生まれてこの方、何をやっても上手くいかない男、
小悪党のラースは自由の国アメリカに逃れるために、
アメリカ人を装って、巨大銀行ストックホルムに押し入る。

銃を手に、ラースは幼い娘を持つ行員・ビアンカを含む
3人を人質に取り、かつての犯罪仲間である、グンナーを
刑務所から釈放させることを要求する。

まんまとグンナーは釈放され、再会を喜びあう2人。
ラースは続いて、人質の命と交換に金と逃走車を要求する。

グンナーと共に夢の大地に逃走する計画だったが、
警察は彼らを銀行の中に封じ込める作戦に
打って出るのであった…。

銀行前には報道陣が押し寄せ、事件は長期戦へ…。
すると犯人と人質の関係だったラースとビアンカたちの
間に、不思議な共感が芽生え始めるのだった。

時間の経過とともに疲弊してゆく犯人、人質、
そして警察組織…。





やはり男とは愚かな生き物。

そう再認識させてくれる映画だった。

ボブ・ディランの曲に乗せて、開幕早々、長髪ヅラを
装着し、銃を片手にはじまるはじまるギャングタイム!。
これでツカミはOK!。一気に観客を物語内に引き込む。
実にうまい構成。うたた寝もさせてもらえない。

銀行をジャックした男2人と人質3人。
この5人が密室で行動を共にすることで生まれる、
奇妙な連帯感、「ストックホルム症候群」を題材に、
描かれるのだが、人質でありながら徐々に犯人に
共感し、惹かれていく人妻…。

半ば無理やりにでも関係を持ってしまうと、
もう「こっちのもん」である。

(以下、ネタバレである)


力技で押して見せてゆくタイプの一作だが、
今の時代にはまったくそぐわない作品である。

1973年にスウェーデンで実際に起きた事件を元に
しているせいもあるのだろうが、女性に対する描き方が
完全に時代錯誤である。

男が上、女が下、である。
一度、モノにした女は男に従順となり、逆らわない。
力づくでも言う事を聞かせたほうが勝ちである。

警察組織の対応も自分たちのメンツを守る、
それが第一目的であり。犯人の要求をなかなかのまず、
報道陣には「女性の人質は犯人に性的暴行をされた」
などと、事実無根な情報をリークする。

これは世論を犯人への怒りに向けさせるためであろうが、
このような描写がある作品を「今」公開するのはいかがか?。

全体的に事件の元凶である犯人を憎み切れないいいひとに、
描いており、ラストでは警察の狙撃から守るため、
人質3人で犯人を囲み、投降してくる始末。

そして男と女は、犯人と人質という関係を越えて…。
…ハッピーエンドに描いていいものか?。

さらに脚本が荒いな…と感じたのは、3人目に人質と
なった男の正体。なぜか銀行の備品室に忍び込んでおり、
船乗りだと名乗っていたが、最後まで氏素性は不明のまま。
一体、彼は何者だったのか…?。


2018年に製作されながら、日本未公開だった作品を
ワザワザ掘り返してきてまで「今」公開する意図は…。


男が抱く、間違った価値観、理想郷を描き、
反面教師とする佳作であった。




評価 ★★★☆☆
nise!(12) 

「アイ・キャン・オンリー・イマジン 明日へつなぐ歌」2018 [映画・洋画]

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〔2018年/カメアリ〕




亡き父への想いから生まれた曲、その誕生物語ヲ綴る…。

よく肥えた健康優良児のバート・ミラードは、
暴力的な父親、アーサーのもとで幼少期を過ごしながらも、
決して優しさを忘れなかった。

高校時代に歌の才能を見だされると、乱暴な父のもとを
飛び出し、音楽の道へと進んでいく。
父のアーサーは、本心ではバートと分かり合いたいと
願っているが、その気持ちを素直に現わすことが出来ず、
バートが去っていくのを止めることができなかった…。

ミュージシャンとして順調にキャリアを積むバートだったが、
調子に乗り過ぎたバートは音楽業界の手痛い洗礼を受けた事で
自信を無くし、すべてを捨てて故郷に戻ってきた。

そこではアーサーが、過去の自分を悔い、なんとかバートと
解り合おうとする。だが、バートはその父の想いを
信じることができずにいた…。
父の身に何が起こっているのかも知らずに…。




「史上もっとも売れたクリスチャン・ソング」。

その誕生秘話を明かす、実話の物語だそうな。
「もっとも売れた宗教の歌」というのがまずスゴイな。
宗教ソングがヒットチャートを騒がせる…というのは、
日本ではあまり考えられないこっちゃ。

挫折…という部分ももちろん描かれているのだが、
元から才能のある人が、トントン拍子に栄光を掴んだよ!、
という印象を受けてしまった。

もちろん暴力的な父親との心の葛藤…というのも、
あるにはあるが、バートを立派に丸々と育て上げているし、
「そこまでひどい父親」という描写が足りなかったように思う。

もっと非人道的な父親…と決定づけるシーンが欲しかった。

そのため後半、父と息子の和解も唐突に映ってしまう。
なんだ、あれだけ騒いでおいて、もう仲良しかい?と。

ただ、現実ってこんなモンなのかも知れない。
そんなにドラマチックな展開が度々起こるハズはない。
思わぬところから火がついて大ヒット。
我々はそんな場面を何度も見て来た。

「鬼滅の刃」だって連載当初はトンデモ漫画な扱いだったのに、
今や「泣ける名作!!」へと昇華してしまったではないか。

なにがどこでどう化けるかは誰にもわからない。





評価 ★★★☆☆


nise!(3) 

「鵞鳥湖の夜」2020 [映画・洋画]

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〔2020年/中国・フランス〕





舞台は中国の南部。
雨の夜、警察に追われているバイク窃盗団の幹部、
チョウ・ザーノンが、駅の近くで妻のヤン・シュージュンの
来るのを待っていた。しかしチョウの前に現れたのは、
赤いブラウスの見知らぬ女だった。

彼女はリゾート地である鵞鳥湖の娼婦リウ・アイアイ。
なぜ、妻ではなく、この謎めいた女が現れたのか。

やがてチョウは、自分の人生が一変した2日前の出来事を
語り始める。刑務所から出所してきたチョウは、
凝りもせずバイク窃盗団の技術講習会に顔を出す。

ところが会場で思わぬ揉め事が発生。
チョウの手下が猫耳に発砲してしまったのだ。

仲裁に入った男の提案でチョウと猫目・猫耳のグループは、
制限時間内に何台のバイクを盗めるかを競う勝負を行うことに。
だが、その最中、猫目が罠を仕掛けてチョウの手下を殺害。
チョウの胸にも銃弾を撃ち込んだ。

猫目の追撃を交わしたチョウだったが、バイクでの逃走中、
誤って警官を射殺してしまう。警察は総力を挙げ、
警官殺しの容疑者チョウを全国に指名手配し、
30万元の報奨金をもうけて一般市民からの通報を募った。





「鵞鳥湖畔」というところは見捨てられた場所で
地図にも載っていないそうだ。

どうにも辛気臭い画面が延々と続く。
そしてヒロインの女優に「華」がない。
ザブヒロインにも「華」がない。

そして一番肝心なところ。
登場人物に感情移入できない。
主人公は刑務所から出てきたばかりだが、
更生も反省もすることなく、窃盗団の講習に参加。
そこでトラブルに巻き込まれる。

無表情・無感情なヒロインも職業・娼婦。
なぜ、この2人はこの状況に追い込まれなくてはならないのか。
その辺をもう少し丁寧に描けばよいのに、
ボートの上での中途半端なエロ場面とか絶対に必要か?。

そして、最後の晩餐であるハズの食堂で2人が食らう、
「牛肉麺」と呼ばれるカップラーメン?と思われる食い物。
これが絶対的にマズそう。

また食ってるシーンも実にマズそうに喰らう。
映像作品で食べ物がおいしそうに見えないのは致命的。

お国柄の違いか、こちらの国の警察は事件解決後に
射殺した犯人の遺体の前でズラリ並んで記念撮影を
するのだな。
日本の警察がそれをやったら、ちょっとおもしろい事に
なるだろう。警察組織自体が崩壊するような事態に
発展するかも知れないぞ。日本の警察は倫理観あるなぁ…。





評価 ★★★☆☆
nise!(12) 

「南部の唄」吹替版 1946 [映画・洋画]

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〔1946年/アメリカ〕





さて、昨日に引き続き「南部の唄」をお届けいたします。
残念ながら数あるディズニー作品でも、現在再見が
困難となっている作品のひとつ「南部の唄」(南部の歌)。

少なくとも1992年(平成4年)のビデオ、レーザーディスク
発売の時点では問題はなかったようなのだが…。
(と言っても、本国では劇場公開当時から
喧々諤々あったようだが…)。

ご厚意により拝見させていただいたのは、
1987年(昭和62年)発売の
通称・ポニー版と呼ばれる日本語吹き替え版。
ナレーションを務めるのは「ムーミン」でスナフキンを演じた
西本裕行さん。

どこがいけないのか、なぜ見られないのか?、
どのシーンがヤバイのか?。
そこを注視して見ていこう。



いい映画じゃん。



なにが悪いのん?。



アメリカの歴史上、黒人と白人の距離が近く、
仲良く語らう、共に共存する姿が間違っている…
そこが問題らしい。

黒いというだけで逮捕したり、射殺するのは許されないが、
仲良くすればしたで、反発する声があがるのか…。
一体、どうすればよいのだろう。

白が上、黒が下、男が上、女が下。

こうでなければ納得いかない、都合の悪い人々がいるのだろう。

日本の映像制作会社にも「なかった事」にされている。
作品がひとつやふたつあるものだが、
ディズニーは本作については度々、議論・問題視している様子。
今年に入っても、インターネット配信において本作は配給しないと
会長自ら言及。ディズニーランドのアトラクションも
本作を題材とした「スプラッシュ・マウンテン」から、
「プリンセスと魔法のキス」に変更すると発表した。

今度は「黒人の少女」が「主人公」だそうな。

黒い人を抹殺するのではなく、主役する事でウチの会社は
差別は許しませんで!と国内外にアッピールしているのだろう。

本作がディズニー社にとって,ミッキー並みのドル箱作品ならば、
露出を控える…などという事もしないだろうが、
如何せん、主役が爺さんと子供…それにアニメの動物たち…。

ま、この一作ぐらいなくても経営には響かないわなぁ…。

やはり世の中、銭になるか、ならないか、そのどっちか。

銭にならないのに問題ばっかり起こす
不良作品は、企業にはいらない。


「日本語」ということもあり、「ウサギ」を「うさぎどん」。
「ケツネ」を「けつねどん」呼ばわりしているのは、
日本の民話風でよかった。





評価 ★★★★☆

nise!(9) 

「南部の歌」字幕版 1946 [映画・洋画]

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〔1946年/アメリカ〕




裕福な家庭の白人少年ジョニーとその家族は、
アトランタから南部の農場へ移住することになった。

父親のジョンは仕事でアトランタへ戻ってしまい、
さみしい思いを抱えたジョニーを慰めたのは、
農場で下働きをしている黒人のリーマスおじさんが語る、
数々の楽しいおとぎ話だった。

ジョニーはトビーの引き合わせで隣家の貧しい少女、
ジニーとも仲良しになったが、
子供らが仲違いしたりすると老人は必ず動物たちの
たとえ話を持ち出しては彼らを諭すのであった。

だが、ジョニーの母親は、彼が黒人たちの小屋に
入り浸るのをひどく嫌っていた…。




普通にいい話。
この爺さんがいい。

決して子供たちに命令するのでもなく、
上から押さえつけるのでもなく、おとぎ話、たとえ話を
話し聞かせる事により、自分で判断させて自主性を育てる。

今、令和の世の中に欠けているのは、
このような「大人」ではないだろうか。

トシばかりくってても、子供たちと同じ立ち位置、
同じ視点で語り、そして争う。もう、なんか必死でしょ。

ジョニーの母親が子供だった頃、リーマスおじさんは
同じようにおとぎ話を聞かせ、夢中だったという。
だが、その少女が大人になると、黒人を忌み嫌うようになる。
大人になるということはそういう事なのか…。

動物たちの登場シーンはすべてアニメーションで描かれる。
CGのない時代におじさんとの合成技術は見事。
これが1946年の作品か!と思わせるほどの出来栄え。
さすがはディズニー。

さて、明日は同作品の日本語吹き替え版を共に語ろうではないか。




評価 ★★★★☆
nise!(11)