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[アラーの使者」はどこにいる?  [テレビ特撮昭和]

アラーの使者1.png
〔1960年/日本/東映〕




正義の助っ人・川内康範先生原作による、
「月光仮面」と「レインボーマン」を繋ぐ、
ミッシングリンク、それこそが1960年(昭和35年)
東映製作「アラーの使者」スポンサーはお菓子のカバヤ!
アラーの使者3.png


演ずるは新田真剣佑、眞栄田郷敦氏の父、
若き日の千葉真一さん。
アラーの使者2.png

唯一の現存とされる第1話「恐怖の紅とかげ」の
エピソードは、幾度か東映チャンネルでも放送され、
2020年には映像商品化され現在も発売中となっている。

しかし、この第1話には…肝心の主役でありヒーロー、
「アラーの使者」が出てこないのだ!
当時のテレビ映画は何話かの連続ものとして構成され、
本作も13話でひとつの物語が完結する連続方式と
なっている。今の視点から見れば、なんとも
まどろっこしいが、これが「普通」であった。

本作も60年代後半まではNET系(テレビ朝日)を中心に、
再放送されていた記録があるが、テレビがカラー化
されると、白黒制作の「アラーの使者」もその姿を
消してしまい、人々の記憶からも失われていった。

朝日ソノラマ刊「宇宙船」誌でも記載されたように、
製作元である東映株式会社はテレビ映画のカラー化が
標準となった時期に、白黒時代のプリントは第1話のみを
サンプルとして残し、後はすべて廃棄処分としたとされる。

関西地区では開局間もない、テレビ大阪が毎週土曜日の
深夜に「懐かしの少年映画名作劇場」と題して、
主に宣弘社、東映作品を中心に1話分まるまるを
2本立てで再放送するという企画番組が放送されていた。

(「あつまれテレビっ子」についてはまたの機会に)

ここで放送されたのが第1部最終回である、
第13話「砂漠の凱歌」
後にTBSテレビ系列の懐かし回顧番組「テレビ探偵団」
においても、西城秀樹さんのゲスト回にこの第13話の
映像が部分的に紹介された。

第13話には「アラーの使者」がバッチリ登場。

1986年には東映ビデオ株式会社より、
企画編集のビデオソフト、
「東映100大ヒーロースーパーファイト」が発売。
ここにも第13話より、アラーの使者の活躍が
収められている。
その後、この第13話のフィルムは忽然と消えてしまう。

現在では最初に触れたように、第1話だけが現存している
と言われている。果たしてそうだろうか。

今回の調査により、1990年代半ばにも、第13話を使い、
テレビ番組が製作されていたことが判明。

池田憲章さん司会によるこの番組は全5回に渡り、
白黒時代の特撮番組をひたすら紹介し続ける
マニアックすぎるものであった…。
今回、この記事を書くにあたり検索してみたが、
残念ながら言及されたものを見つける事が出来ず。

少なくともこの時点ではポジプリントは現存していた
ということになる。

今日あっても、明日ない…というのが当たり前の世界
なので、現時点でフィルムがない…というのは事実かも
知れない。しかし、東映株式会社ともあろう大企業。
会社にとって作品は財産である。

放送に使い傷みきったポジフィルムは処分しても、
ネガフィルムは残されているというのが大方の見方。

前例として、同じく第1話しかないと言われていた
「少年ケニヤ」が全話数現存、最終回の別バージョンまで
収録されて映像ソフト化の快挙を果たしている。

ただ、これはソフト発売を前提とした予算が組まれて、
新たにプリントを起こせた・・・というちゃんとした
理由がある。「アラーの使者」もなんらかの二次利用、
三次利用の目途が立てばあるいは・・・。

ただ「少年ケニヤ」DVD発売時よりも、パッケージ
ソフトを取り巻く環境は悪化、下降する一方である。
映像販売の主体は配信に移り、ツタヤのレンタル事業も、
縮小化するばかりである。

こんな時代に収益の見込めない白黒作品販売にゴーサイン
を出す上司が存在するのかどうか・・・。

そんな苦労を買って出るよりは、近年の深夜アニメでも
お手軽にパッケージ化しておくほうがよほど数字が
読めるだろうて。

ボクらの知ってる「アラーの使者」はどこにいるのか?





■番組出演 千葉真一、金子昭雄、一条由美、大前均、
 上田博士、山村奈良吉、上田睦子、大谷警部、八東根竜助、
 山村美智、山村京子、菅原壮男、大久保達也、穂高稔、
 佐久間聰、稲植徳子、井上田鶴、曙三四郎、斉藤邦唯、
 福島亨、青木忠雄、成瀬達也、武藤周作、石川治一、
 岡島泰次郎さんほか。




評価 ★★★☆☆
nise!(9) 

nise! 9