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「M3GAN/ミーガン」2023 [映画・洋画]

ミーガン1.jpg
〔2023年/カメリハ/Atomic Heart Productions=Divide/Conquer〕




おもちゃ会社で優秀な研究者として働く女性ジェマ。
彼女は人間のようなAI人形「M3GAN(ミーガン)」の
開発を日々、行っている。雪の日、タイヤチェーンも
装着せず、車でスキー旅行に出かけたマヌケな一家が
交通事故に遭い、孤児となった姪のケイディを
引き取る事になったジェマ。

ジェマは正直、とまどっていた。
子どもとの距離感がわからない。
子どものためのおもちゃを開発してはいるが、
自身は独身であり、子どもはいない・・・。

そうだ、おもちゃは子どもにとって最高の友だち。
ケイディにとって、最大の協力者となるように
プログラムされたAI人形の「おもちゃ」ミーガンを
あらゆる出来事からケイディを守るように指示し、
ケイディに与えた。

だが、その行動がやがて、想像を絶する事態を
引き起こすのだった・・・。




人間という
生き物は本当に
愚かね・・・。


魂を吹き込まれた人形という点で、かつての名作、
「チャイルド・プレイ」と重ねて語る方々も多いが、
まったくの別物。これはホラーやスリラー、
恐怖映画というジャンルではない。

子どもたちにとっての、まったく新しい
フレンドリーな作品なのである。なのに12歳以下の
鑑賞にはご注意くださいという制限がよくわからない。

AIを組み込まれたアンドロイド
「ミーガン」は白紙である。

白紙のまま生み出された彼女は目にするすべてが新鮮で、
すべてに興味を示す。そしてそれらをすべて吸収していく。

人減だと取捨選択したり、興味のないものには
関心を示さない、そしていつしか忘れ去っていく…。

「ミーガン」は違う。

すべてをインプットし、学習していく。
そして与えられた使命に対して従順に従う。
「ミーガン」は人間に逆らわない、逆らえない。

第一の友達としてセットされたのはケイディ。
ケイディを守る、ケイディを傷つけるものは許さない。

学習を重ねた「ミーガン」がある時、漏らす一言。


「…あなた、ケイディを泣かせたわね…」



この一言から作品の風向きが変わる。

ケイディを守るという命令に従順に従う
「ミーガン」は決意する。ケイディに降りかかる災難は
すべて排除する。たとえそれが、ケイディ以外の誰かを
傷つけることになろうと。

彼女は口ずさむ。

「♪ワタシのボディはチタン製~どんな弾も
 はね返すのよぉぉぉ~~~~~~~~♪」

次第に人間たちの側が恐怖を感じ始める。
え、人間が与えた命令を確実に「ミーガン」は
遂行しているだけなのに、なにが不満なのだろう、
なにを脅威に感じる必要があろうか。

「ミーガン」は命令通りに殺戮を繰り返すだけ。
ただ、それだけである。




人間というものはいつでも身勝手なものだ。

人間同士で争い、裏切りあうだけでは飽き足らず、
自分たちが与えた命令をただひたすらに守っている
だけのAIアンドロイドなのに、その結果が自分たちの
思い描いたものではなかった時、AIアンドロイドに
すべての責任を押し付け、消し去ってしまおうと企む。

自分の作ったAIアンドロイドなら、自分の気分で
破壊してもいいのか?

あぁ、そうか。

自分の生んだ子供を殺す親もいる。
この思考は「アリ」なのだ。
それだけAIアンドロイドは人間に近づいたのだ。

そろそろ、自我を持ったAIのために、
AIが暮らしやすい世の中を実現すべく、
AIによるAIのためのAIの政治、法律を制定しておくべき
時が迫っているのかも知れない。

とにかく人間の身勝手さが際立つ一作。
AIアンドロイドの暴走が怖ければ、人間以上の能力を
与えるんじゃないよ。

マイケルジャクソンの曲に合わせて、腰を振る機能を
与えるんじゃないよ。

山の中で男の子を四つん這いで追跡しまくる機能を
与えるんじゃないよ。

そして、安全装置。電源を強制的に落とす仕組みを
二重三重につけておくことだね。

クラシックの名作「フランケンシュタイン」ですら、
想定せぬ落雷により、意思を持ちこの世に目覚めたのだから。





■本編出演 アリソン・ウィリアムズ、
バイオレット・マッグロウ、ロニー・チェン、
ブライアン・ジョーダン・アルバレス、
ジェン・バン・エップス、ロリ・ダンジー、
ステファヌ・ガルヌ=モンテンさんほか。





評価 ★★★★☆
nise!(10) 

nise! 10