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「子宮に沈める」2013 [映画・邦画]

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〔2013年/日本/エネサイ〕




由希子は、夫と二人の子供と共に暮らしていたが、
ある日、夫から一方的な別れを告げられ、
子供二人とアパートで新生活を始める。

毎日の長時間労働、資格試験、家事、
子育てなどに追われながらも、必死に
“良き母”であろうとする由希子。

だが学歴も職歴もないシングルマザーは
経済的困窮に陥り、次第に社会から孤立していく……。





2010年に大阪で発生した2児置き去り死亡事件を
もとに緒方貴臣監督が映画化。

2時間の上映時間中、前半の1時間以上が育児に
追われ、育児に忙殺される母親の奮闘ぶりを描く。

セリフというセリフもなく、あぁ、大変だな…と、
思わせられるだけ。

残りの時間は母親に取り残された
2児が空腹に耐えかね、誰に教えられるでもなく、
ゴミを漁り、マヨネーズの空容器に水を入れ、
それを振って飲む…などの目を覆いたくなる
場面が延々とつづく。

子供たちがいつベランダから表に飛び出しは
しないか、包丁を持ち出したりはしないかと、
見ているこちらがヒヤヒヤさせられ続ける。

やがて弟は餓死。

それでも帰って来ない母親。

弟の体にうじ虫が湧きだした頃、母親はようやく
姿を見せる。その時にはまだ駆け寄るほど元気だった
長女も次の場面ではすでに・・・。

あれからまたこの母親は家を空けて子供を
放置したのか?

これは「映画」として製作されたものであり、
再現フィルムではないはずだ。
「映画」ならば最低限の物語は見せてほしい。

なぜ夫が離婚を言い出したのか、その後、
妻がホストに入れあげるようになって堕ちてゆく
過程がまったく無説明、無描写。

ただ、置き去りにされた子供がかわいそう。
この部分のみの映像化でしかない。

現実に起こった事件はもっと悲惨なものであり、
正直、この映像化は「ぬるい」
物語として訴えかけるものもなく、
ドキュメンタリーでもない。
この映画の意義はどこにあるのか。

2時間もの時間がありながら、
見た後で嫌悪感しか残らない、余韻もない。

監督の意図がそこにあるのならば大成功だと思うが。




■本編出演 伊澤恵美子、土屋希乃、土屋瑛輝、辰巳蒼生、
 仁科百華、田中稔彦さんほか。




評価 ★☆☆☆☆



nise!(6) 

nise! 6