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「轢き逃げ 最高の最悪な日」2019 [映画・邦画]

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〔2019年/日本/東映/テレビ朝日〕





ある日起きた、どこにでも起こりうる交通事故。
一人の若き女性が命を落とし、
それは轢き逃げ事件へと変わる。

車を運転していた青年・宗方秀一。
助手席に乗っていたのは親友の森田輝。
この二人は秀一の結婚式の打ち合せのため、
ホテルへと急いでいた。
婚約者は大手ゼネコン副社長の娘である白河早苗。

突然、ひとり娘の望を奪われ、悲しみにくれる
両親、時山光央と千鶴子・・・。

その事件を担当するベテラン刑事・柳公三郎と
新米刑事・前田俊。

事件から数日。犯人はスピード逮捕され、
被害者、加害者双方の人生が大きく変わってしまった。

事件はこれで解決かと思われたが、意外な方向に
転がり始める…。




俳優であり、伊藤蘭さんの夫、
元ミッキー・マッケンジーさんの夫でもある水谷豊さんの
映画監督第2作。

主演俳優2人をオーディションで選出…という手法が、
一部で話題を呼んだ。ひとりは三田村邦彦さんの息子、
ひとりは…よく知らないが、そこそこのキャリア持ち。

本編開始後、事故はすぐに起き、その後45分間、
被害者側はまったく描かれない。
見ていてあまり良い気分ではない、加害者側の
「最高にハッピーな日々」が描かれる。

轢き逃げた2人は「逃げられるところまで逃げような!」と、
さらに胸糞悪い展開がつづく。

加害者は無事、結婚式を挙げ新婚旅行へ。
しかし、その背後にはすでに警察の手が迫っていた。

ここでスカッとしたいのだが、
気の毒なのは新婦。旅行先から旦那が連行されていくが、
自分たちの身になにが起こっているのか理解できない。
当然だろう。

後半からは水谷・檀夫婦のターンとなるのだが、
さすが「相棒」「熱中時代」と刑事をこなした
だけはある。独自の捜査でこの事件の裏を暴いてしまう。

この轢き逃げは偶然ではなかった。
仕組まれた事故であった。

しかも、被害者は誰でもよかった。
水谷の娘である必要はまったくなかった。



ネタバレを避けるため、その部分には言及しないが、
設定に無理がある。被害者がその場所でカメラを手に
立っている…狙ったように突っ込んで来る乗用車。
そんな偶然がありえるだろうか。

そして真犯人。
これの犯罪に至った動機が弱い。

学生時代から男性同士の肉体関係があった、
その愛した男が社長令嬢に奪われる…!!許せない。

それぐらいの「怨念」がないと、
そこまでやらないだろう?と感じてしまう。

よかった描写は気丈に振舞い涙を見せなかった
水谷・檀夫妻が犯人逮捕の報を聞き、
娘の誕生日を祝いながら、ついに泣き崩れる場面。

そしてラスト、檀ふみさんの加害者の婚約者に
手を重ねてかけた言葉。

加害者はいい。生きているのだからまだ未来がある。
しかし、被害者側はそこでもう時が停まってしまった。

前にも進めない、後にも戻れないのである。

今日もどこかで交通事故による悲しい事件は
後を絶たない。
国民すべてが自転車愛好家になればいいのに。





評価 ★★☆☆☆



nise!(7) 

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