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「人魚の眠る家」2018 [映画・邦画]

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〔2018年/日本/松竹〕




二人の子を持つ播磨薫子とIT機器メーカーを経営する夫、
播磨和昌。娘の小学校受験が終わったら、
離婚すると約束した夫婦のもとに、突然の悲報が届く。

娘の瑞穂がプールで溺れ、意識不明になったというのだ。

回復の見込みがないわが子を生かし続けるか、
死を受け入れるか。究極の選択を迫られた夫婦は、
和昌の会社の最先端技術を駆使して前例のない
延命治療を開始する。

治療の結果、娘はただ眠っているかのように
美しい姿を取り戻していくが、
その姿は薫子の狂気を呼び覚まし、
次第に薫子の行動はエスカレートしていく。

それは果たして愛なのか、それともただの欲望なのか。





いやぁ~、篠原涼子さんの女優としての顔を初めて見た
気がしましたな!今までなんか弁当を作ったり妙な作品しか
知らなかったので。

見る立場によって評価の変わる作品であろうな。
親の視点で見ても、母親と父親のそれでは違う。
他人ならばなおさら。

今朝まで話し、笑い、触れ合っていた自分の娘が、
いま、もう話すこともなく、動く事すらない。
「脳死」状態となっているのだ。
これを素直に受け入れることが出来るのか。

臓器移植に同意するにしても、心臓死までは
待ってくれない。心臓が動いている新鮮ピチピチなうちに、
臓器を取り出すというのだ。それを許容できるのか。

母親は娘の脳死を受け入れられずに在宅治療を望み、
自宅へと連れ帰る。

これも企業の社長であり裕福な環境にあるからこそ、
出来たもので、あれほど「離婚するぜ!」と意気込んでいた
嫁はんも、「あれ、ちょっと撤回」と即、手のひらを反す。
ゲンキンなものだ…。

それで順調に事が進めばいいのだが、
父親が違和感を感じ始める。
機械に繋ぎ、無理に動かし続けて笑わせる…。
これで「生きている」と言えるのだろうか…と。

これではまるで意思のない操り人形。
そう、「人魚の眠る家」=「人形の眠り続ける家」
ではないかと。

だが、日々の介護に疲れ、追い込まれた母親には、
それが誤認識であろうが、わずかな変化にも一喜一憂し、
精神に変調をきたしてゆく。

見ていて非常にツライところである。

結果的に夫婦は重大な決断を下すのだが、
周りにとってそれが「最善」だったのだろう。

娘の事故の原因から考えても、生かし続ける事は
後々、各自にとって重責を与えるだろう。

なんにしても金持ちだから、ここまでしてやれるのであって、
庶民ならば、脳死です=その場で終了。
物語にもならずに終わってしまうだろう。
やはり世の中、金である…。




評価 ★★★☆☆




nise!(9) 

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