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「手討」1963 [映画・邦画]

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〔1963年/日本/大映〕





時は明歴二年。

上覧能が催された際、旗本の侍、新藤源次郎が退屈の余り
あくびをもらしてしまった。舞台で舞っていた前田加賀守は、
自分の能にケチをつけられたと源次郎の処分を幕府に迫る。

理不尽な申し入れに対し、旗本一同は、大久保彦左衛門、
青山播磨を通して松平伊豆守にとりなしを願い出る。
騒ぎは大きくなり、旗本と大名の対立となった。

この騒ぎを知り源次郎は、自分一人が腹を切れば済むと、
加賀百万石の屋敷前で潔よく男らしい最期を遂げた・・・。

春雨に煙るある日、播磨は新藤の墓に参る。
その帰り道、播磨は腰元お菊と知り合い結ばれた。

源次郎の死を契機として旗本の近藤、沢、森などが主となり
白柄組を結成する。幕府の治世も落ちつき世は泰平に満ちていた。

かつての功労者であったはずの、直参旗本も次第に疎んじられる
ようになり、目的を見失った彼らは至るところで大名と衝突する。
白柄組の悪名は町にとどろくようになる・・・。





有名な怪談話「番町皿屋敷」を超ハイパーアレンジ!。

ここまでスーパー翻訳しちゃったら、もう「別モノ」だろう?。
原作のクレジット入れる必要なかろう?。

怪談のほうの殿さまはエゲツない。
自分の私利私欲のために、無実の女を責めて責めて、
最後は自分も復讐されておしまい。
スカッとしたぜ!と爽快感に包まれて終わる。

しかし、こちらはどこまでも哀しい。
菊が家宝の皿(10枚組ワンセット)のうち、
1枚を割ったと聞いても、
殿さまは「許す」と菊に告げる。

菊が殿さまの心を試すために割ったと聞かされても、
「いや、手違いやろ?誤って割ったんやろ?」と被せる。

それでも割ったは割った。ワザと割ったのである。

周りの手前もある。殿さまはけじめをつけなければならない。

どこまでも純愛。愛に生き、愛に死す。
そんな殿さまを市川雷蔵が好演。
序盤で壮大に腹を切った若山富三郎では、
こうはいかなかっただろう。

しかし、この当時の大映、まだまだ余力があったのだな。
若山の切腹シーンにも豪勢なセットと大勢のエキストラ。
わずか1分にも満たないシーンであるのに。





評価 ★★★★☆
nise!(22) 

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