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「電子戦隊デンジマン」1980 [映画・特撮]

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〔1980年/日本/東映〕



今から3000年前、デンジ星を滅ぼした異次元の悪の一族「ベーダー」。
ベーダー一族が地球に襲来し、地上をヘドロで埋め尽くし壊滅させようと
侵略を開始した。

デンジ星人たちの残党は科学力を結集し、巨大宇宙船デンジランドを
地球に送り込んでいた。その中で眠り続けていたデンジ星の犬、アイシー。

ベーダーの暗躍を感知したアイシーがついに目覚め、
デンジ星人の末裔である5人の若者を探し出した。
電子戦隊デンジマンを結成するためだ。

地球にデンジ星の悲劇を繰り返させてはならない。
選ばれた5人はデンジマンとなり、巨大ロボ・ダイデンジンに乗り込み、
ベーダーの怪物たちと戦いを開始する!。




1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」からはじまり、
平成の「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」まで、
その人気は衰えることなく親子2代に渡り親しまれる
東映が世界に誇るスーパー戦隊シリーズ。

こちらは堂々のシリーズ第4弾!、「電子戦隊デンジマン」!!。

1980年の東映まんがまつり内で、デンジ星の物語を
新作中編で公開。デンジ姫役には、
当時、東映が大々的に売り出そうとしていた舟倉たまきさんを起用。

そういえば、最近舟倉たまきさんって、「燃えろアタック」以来、
見ないよな・・・と検索してみたら近年、女優活動はされてない様子…。

前年の「バトルフィーバーJ」のヒットを受けて製作された本作は、
その成功にあぐらをかくこともなく、「新しいものを作ろう」という
意欲が画面の端々にあらわれた快作に仕上がっている。

初期話数で散見されるカット割りの細かさは、今見ても驚く。
ビルに飛び移る前に助走をつけて足踏みするシーンまである(!)。

みなみらんぼうさんの楽曲が延々と挿入歌に使用された
異色作、第34話「哀しい捨子の物語」についても触れたいのだが、
今日はとても眠いので日を改めることにしよう。

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胸に「エコ」と書かれた地球環境に配慮する巨大ロボット、
ダイデンジン。しかし、これは「エコロジー」の「エコ」ではなく、
「デンジマン」の「D」のイニシャルだった事は内緒だ・・・。



評価 ★★★☆☆
nise!(14) 

「バトルフィーバーJ」1979 [映画・特撮]

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〔1979年/日本/東映〕





世界の平和を揺るがす、怪事件の数々が勃発した。
その背後に蠢く、謎の組織の存在、それは秘密結社エゴス。
超科学を崇拝する、恐怖の集団である。

国防省の最高幹部・倉間鉄山将軍は、
エゴスの魔手から日本を守るため、世界各地に派遣されていた
精鋭メンバーを集結させる。
そして結成されたのがバトルフィーバー隊である。

メンバーは伝正夫、白石謙作、志田京介、曙四郎、
そして紅一点、ダイアン・マーチンの五人。
彼らは強化服「バトルスーツ」に身を包み、
エゴスが送り込む怪人たちにバトルフィーバーロボ、
巨大戦艦バトルシャークを駆使して敢然と戦いを挑むのだ!!。





1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」からはじまり、
平成の
「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」まで、
その人気は衰えることなく親子2代に渡り親しまれる
東映が世界に誇るスーパー戦隊シリーズ。

こちらは堂々のシリーズ第3弾!、
1979年(昭和54年)「バトルフィーバーJ」。

1979年の東映まんがまつり内において、
テレビ版第5話「ロボット大空中戦」を上映。


東映スーパー戦隊シリーズの歴史に
巨大ロボット&戦艦という新機軸を投入した
これが元祖!スーパー戦隊シリーズだ。

スターウォーズにはじまるSF旋風に湧いた
日本列島だったが、時代はアニメブームへと移り変わり、
テレビから実写特撮は激減。まさに風前の灯であった。

テレビ東京(東京12チャンネル)とテレビ朝日が、
番組枠交換を行い、起死回生を図るべく製作したのが本作。

前年の「スパイダーマン」からの提携関係により、
マーベルコミック社より、企画段階からアメリカンコミックの
影響が色濃く反映されたキャラクターが創られた。

5人の戦士もミス・アメリカ、バトル・ケニアなど、世界各国の
カラーを強く打ち出したものとなり、リーダーは胸に日の丸を
抱いたその名も「バトル・ジャパン」!である。

ロボットは日本刀を武器に戦い、
キャストも日本最強!を誇示するように長官役として、
東映時代劇の重鎮、東千代之介さんを起用。

終盤では日本刀片手に羽織袴で、生身のまま
怪人と一騎打ちを果たし、日本を守ったのだ!。

世界のどの国よりも、やはり日本はすばらしいね!と、
猛アピールした本作は人気を呼び、
それが現在にまで続く一大シリーズへと連綿と続いている…。

すばらしきヤマトダマシイの底力をここに見た!!。




評価 ★★★☆☆

nise!(12) 

「仮面ライダー 8人ライダーVS銀河王」1980 [映画・特撮]

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〔1980年/日本/東映〕




宇宙から襲来した機械生命体である銀河王は、
水素を応用したシグマエネルギーを研究中だった
宇宙ステーション「天海」を襲撃した。
(石ノ森章太郎先生が搭乗している)。

天海は原作者ごと銀河王の攻撃により壊滅!。
研究の中心人物・羅門博士は、死の間際に
愛犬エレンにΣエネルギーの方程式を記憶させ、
地球へ脱出させる。原作者を差し置いて。

エレンを追う銀河王は、ネオショッカーと手を組み
地球での行動を開始した。

スカイライダーはそれを阻止すべく戦うが、
富士山麓のネオショッカー大要塞から現れた、
再生怪人軍団に大苦戦。

そこに現れたのは栄光の7人ライダーであった!!。




社会的なブームを巻き起こしたライダー人気にも
陰りが見え始め第5作、仮面ライダーストロンガーで
有終の美を飾った大自然の勇者たち。

しかし、悪のある所、必ず彼らはやってくる!、
折からのゴジラ、ウルトラマンリバイバルブームに乗り、
1979年(昭和54年)、ついに新たな時代の
仮面ライダーが帰って来た!。

今度のライダーは大空を翔ぶ!、
「仮面ライダー(スカイライダー)」です。 

1980年の東映まんがまつり内で完全新作を劇場公開。

本作は村上弘明さんの本格的俳優デビュー作。
言ってはなんだが、撮影初期の彼は子供が見ても「大根」。
それがわずか1年の間にメキメキ演技力をあげている。

この成長っぷりには当時のチビっ子もビックリ!。

まさか、今や日本を代表する俳優になろうとは、
誰が想像できたであろうか・・・。
明日の事は誰にもわからない。





評価 ★★★☆☆

nise!(10) 

「仮面ライダーアマゾン」1975 [映画・特撮]

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〔1975年/日本/東映〕




インカの謎を秘めたガガの腕輪とギギの腕輪を狙い、
ゴルゴスは秘密組織ゲドンを結成。
ガガの腕輪の奪取に成功したゴルゴスは、
自身を改造して十面鬼となる。

腕輪を守る一族の長老バゴーは残るギギの腕輪を守るため、
アマゾンのジャングルで育った日本人青年、山本大介を改造し、
彼の腕にギギの腕輪を託した。

「日本へ行け、高坂に会え!」。

バゴーの催眠暗示により、大介は日本へ向かうが、
ギギの腕輪を奪取すべく彼を追う十面鬼も日本に上陸した。

大都会を舞台に、仮面ライダーアマゾンとゲドンの
野生の戦いが開始される。
 





1975年の東映まんがまつり内にて、
テレビ版第16話「ガランダーの東京火の海作戦!!」を上映。

石森章太郎(石ノ森章太郎)先生原作、東映制作による
1970年代の第二次怪獣・変身ブームを象徴する
エポックメイキング「仮面ライダー」。

シリーズ第4弾となる本作は、原点回帰、怪奇性の復活を
テーマに大トカゲの野性味溢れる半裸の男の活躍を描く、
シリーズ随一の異色作と呼ばれる「仮面ライダーアマゾン」。

なんせ半裸。腰布一丁に変身ベルトのみ!。
しかもジャングルから密航してやってきたため、
言葉が通じない日本人との意思疎通が出来ない。
思いが伝わらないというのは、ここまで人を孤独にさせるのか。


人を助けても言葉が通じぬ誤解と、その怪しげな見た目により、
警察にしょっぴかれるアマゾン。

身元引受人のおやっさんが来て、一件落着かと思いきや、
ストレスのかたまり&ホームシックになったアマゾンは、
「ニンゲン、キライダー!!」と叫びながら、
警察署の窓から飛び降り、新宿の地下街を裸で駆け抜ける!。
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「ニンゲン、キライダー!!」。

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「ニンゲン、キライダー!!」。

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「ニンゲン、キライダ~~~~~!!」。

そりゃあ、逮捕されるわな・・・。
(新宿の繁華街でゲリラロケを敢行、スゴイ)。

戦いも血まみれになるスプラッターっぷり!。
あまりにも異色すぎて、途中からいきなり路線変更。
衣装が作られ、ある日突然、流暢な日本語を取得。
ベラベラとしゃべるようになる。

その後、戦いを終えた彼はアマゾンの奥地へと帰ってゆく。
今度は密航ではなく、ちゃんと正規料金を支払った
タンカーで。白いスーツに身を包み・・・。

やはり人間、生まれ故郷が一番なんだなぁ・・・。





評価 ★★★☆☆
nise!(12) 

「ザ・カゲスター」1976 [映画・特撮]

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〔1976年/日本/東映〕





白蝋魔人の一団に誘拐された風村コンツェルンの令嬢、
風村鈴子と、その秘書である姿影夫は、
隙を見てアジトから脱出する。
だが、逃げる途中で2人はバイクごと誤って崖から転落。
高圧電線に触れてしまった。

そのとき、電気ショックによって悪を憎む2人の心が影に宿り、
カゲスターとベルスターが誕生する。

本人たちも「よくわからないけどね!」と豪語する理由で
影夫と鈴子は「よくわからないまま」影の力で
悪と戦うことをなぜか決意した。





1976年の東映まんがまつり内において、
再生怪人の登場する新作短編を上映。

輝く太陽昇るとき、光の中にカゲスター、ベルスター!。

1976年(昭和51年)、原作・八手三郎先生により、
この世に誕生した影の魔人「ザ★カゲスター」は、
まさに「異色作」という肩書がふさわしい特撮ヒーロー番組。

主人公は「変身」するのではなく、
人間の「影」から「分身」して姿を現す。

野口竜先生のデザインによるその外見は
当時のヒーローとしては(現在においても)、かなり強烈で斬新。
正直、怖い。
敵の怪人からも「化け物」呼ばわりされてしまうほど…。

そして、その誕生理由も、どこからやってきて、
どこへ行くのかも、まったく番組内では説明されない。
第1話の本編中において、主人公たちが理由を考えるが、
答えが出ず「よくわからないけどね!」で、
済ませてしまうシーンが本当に存在する。
以後、それについてはタブーとなり、誰も触れない。

惜しまれるのは、番組開始当初の
他番組とは一線を画する設定の数々、
「社長令嬢とその会社の社員」=立場が弱い。
分身した途端に男女の立場が逆転。

敵は怪人ではなく、人間=変質者。

これらが放送半ばにしてすべて一新。
敵が組織化し、怪人と戦うヒーローという、
よくある図式になってしまったのが残念ではある。

それでも、当初アニメ作品として企画されていたものを
実写化したと言われるこのデザイン、ツラがまえ、
ビジュアルは・・・唯一無二!。





評価 ★★★☆☆
nise!(9) 

「ジャンボーグA&ジャイアント」1974 [映画・特撮]

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〔1973年/タイ/円谷プロ/チャイヨー〕






ワットアルン寺院に保管されていたタイのお宝が、
悪い宇宙人に盗まれてしまい、タイは大パニックに!。

ジャンキラーJr.が現れ、街を破壊する。
この危機に立ちあがったのが巨人のジャイアント。
だが、ひとりではかなわない。
そこで日本からジャンボーグAが出動し、協力して戦う。




日本未公開の一作。
タイでは大人気のお猿さんの守護神・ハヌマーン
(本作品ではジャイアントと呼ばれる)と、
ジャンボーグAとの夢の共演。

円谷プロダクションとタイのチャイヨープロがまだ友好関係に
あった頃、合作として制作される…が、あまりのトンデモぶりに、
日本では現在に至るまで劇場公開も、テレビ放映もなされていない。

なので、海外通販でビデオCDを取り寄せて鑑賞。
当然ながら言語はアチャラ語、字幕すらついていないため、
細かなストーリーは、まったく理解できず。

まぁ、ヒーロー映画なんで、基本戦って勝って終わり!。

ジャンボーグA側はほぼ、日本版のフィルムを流用し、
最終回あたりの月面決戦場面を多用。
立花ナオキの操縦方法はタイ国に合わせたのか、
潜水艦の潜望鏡を覗くような方法に変更。

覗くだけでロボットを操縦できてしまうのがスゴイ!。

1990年代に発売されたジャンボーグAのレーザーディスクBOXの
映像特典としてラッシュフィルムが部分収録され、
日本にも本作の存在が広く知られるようになった。

当初は全編を収録予定であり、広告にも記載されていたのだが、
実際に発売された商品は試写用の退色した劣悪な状態。
ファンはガックリ。

これ以後、円谷プロとチャイヨープロが著作権で揉めてしまい、
裁判沙汰に発展。現在に至るもまだまだ争いの最中なため、
本作をマトモに鑑賞するのは日本ではムズカシイ。

まぁ、見られなくても、これから先の人生、困る事はないけどね。

補足ながらタイ国では「ジャンボーグA」は本家ウルトラよりも
大人気!。日本では発売されていないような、
怪獣人形までもがズラリと商品化されている。ちょっとうらやましい。






評価 ★☆☆☆☆
nise!(9) 

「ミラーマン」1972 [映画・特撮]

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〔1972年/日本/円谷プロ〕





異常な事件が世界各地で続発していた。
国際的宇宙物理学の権威である御手洗博士は、
これらは地球に危機が迫っている兆候だと
警告するとともに、自ら現代科学の
エキスパートたちを集めた調査組織、
SGM(Science Guard Members)を組織し、
その研究所を建設する。

新聞社でカメラマンとして働く青年、鏡京太郎は、
御手洗博士の助手をしていた母・優子の死後、
博士の家に引き取られ、彼らの家族同然に育てられた。

京太郎は竜巻被害の取材中、奇妙な現象に襲われて
危機に陥るが、不思議な鏡の光によって救われる。

京太郎の話を聞いた博士は、彼の出生の秘密を語り始めた。

京太郎の父は地球外侵略者・インベーダーから
この世界を防衛するため、異次元世界からやってきた
超人「ミラーマン」だった。

彼はインベーダーの策略により命を落とし、
優子は御手洗博士に京太郎を託して
姿を消さざるを得なかった。
そして、京太郎にも父と同じ、
ミラーマンとしての力が備わっていたのだ・・・。




1971年(昭和46年)、朝焼けの光の中に立つ影は、
そう、鏡の国からやってきた我らがヒーロー
「ミラーマン」。

制作は「ウルトラマン」「ウルトラセブン」など、
日本の特撮テレビ番組の第一人者、
円谷英二先生率いる、円谷プロダクション。

東宝チャンピオンまつり内で、
テレビシリーズより
第18話「生きかえった恐竜アロザ」を劇場公開。

まず設定がスゴイ。
2次元人=鏡の国の父親と、
3次元人=日本人の母親の間に生まれたハーフ!。
どこでどうやって父と母は出会ったのだろう・・・。

ミラーマン最大のトピックはその最終回において、
ヒロインとのメロドラマが炸裂し、
日本のヒーロー史上初のキスシーンが描かれるところ。

・・・と言っても、まだまだカワイイ描写ではあるのだが。

硬質で都会的なイメージのミラーマンであるが、
彼の戦いには、常に哀しみの影がつきまとうのであった…。






評価 ★★★☆☆
nise!(7) 

「円盤戦争バンキッド」1977 [映画・特撮]

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〔1977年/日本/東宝〕





地球への移住を画策するブキミ星人たちは、
20年後に開始される移住計画の障害となる
地球の子供たちを狙った侵略活動を開始した。

密かに調査、研究をしていた地球人、宇崎博士は、
5人の少年たちによる円盤遊撃隊・バンキッドを結成。
迫り来る侵略者たちの野望を叩くため宣戦布告する!。




1976年(昭和51年)、日本テレビ系にて放映開始、
かつて「レインボーマン」「ダイヤモンド・アイ」を世に放った
東宝がUFOブームど真ん中の日本で制作した
「円盤戦争バンキッド」です。

1977年の東宝チャンピオンまつり内で、
テレビシリーズより第4話「バラウナ型誘拐事件の謎」を上映。

昭和の子供番組ではあるが、密かに侵攻される
ブキミ星人の作戦は成功率が高く、救えない被害者が続出。
中には小学校まるごと爆破!などという大量虐殺までもが…。

だが、バンキッド側にはそれほど深刻さは感じられず、
常にスポンサーである、タカトクトイスの沈没ゲームで遊んでいる…。

今となっては特撮作品としてよりも、
安藤サクラさんの父、奥田瑛二さんが
戦隊ヒーローを演じていた?!という面で注目される一作。

毎回、番組のラストは奥田瑛二さんが登場し、
カメラ目線で視聴者を脅迫、いや、メッセージを送り、
締めくくられる・・・。なかなかにホラー・・・。






評価 ★★★☆☆
nise!(6) 

「帰ってきたウルトラマン」1972 [映画・特撮]

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〔1972年/日本/円谷プロ〕





ただの「子供番組」とあなどるなかれ、
「帰ってきたウルトラマン」では一番怖ろしい敵は
街を壊す怪獣ではなく、人間であると断罪する。


第33話「怪獣使いと少年」


嵐の夜。
一人の少年が怪獣から逃げている。
そこに現れた謎の男は不思議な力を使い、
その怪獣を地底深くに封じこめた…。


少年の名は佐久間良。

彼は黙々と河原の土を掘り返している。
不良中学生たちが現れ、宇宙人だと噂される良の正体を
見極めてやると、執拗なまでのいじめをはじめる。

だが、それはいじめの範囲を越えたリンチであった。
首まで地面に埋められた良の顔を、
中学生の自転車が轢こうとした瞬間、
割って入り、良を救ったのはMATの隊員、郷秀樹だった。

MATの調査により、良の身元が判明する。
天涯孤独の少年は自分を救ってくれた孤独な宇宙人と
共同生活をするようになった。

だが、その宇宙人も地球での生活に体が蝕まれ、
その命の灯が絶えようとしていた。

良は土中に埋められた宇宙船を掘り返し、
宇宙人を故郷のメイツ星へ帰してやりたいと願っていたのだ。

だが、そんな良の願いもむなしく、
彼らの住む廃墟に町の人々が大挙して押し寄せてきた。

宇宙人を退治するのが仕事のMATが、
いつまでも宇宙人を倒さないから、自分たちがやると。

暴徒と化した人々はMATの制止も聞かず、
良を廃墟から引きずり出し暴行を加える。

建物からひとりの老人が飛び出してきた。
金山と名乗り、身をひそめていたメイツ星人だ。

「宇宙人は私だ!その子を自由にしてやってくれ!」。
叫ぶ金山に向けて暴徒たちの行動は収まることなく、
やがて警官の拳銃が火を噴いた。

金山は死んだ。

泣きながら金山の亡骸にすがる良。

その時、河原から煙が噴き出し地底から怪獣が現れた。
金山が封印していた怪獣が復活したのだ。

逃げ惑う人々は怪獣を退治してくれとMATに叫ぶ。

しかし、郷は動こうとはしない。
「勝手なことを言うな。怪獣を出したのはあんた達だ。
まるで金山さんの怒りが乗り移ったかのようだ…」。

地球人を守るウルトラマンがその使命を捨てた瞬間だった。
ウルトラマンは戦いを放棄した。

郷の前に、一人の僧侶が近づいてくる。

「郷、町が大変なことになっているんだぞ。郷、解らんのか?」。

その僧侶はMATの伊吹隊長だった。

諭された郷はウルトラマンに変身。
降りしきる雨の中、怪獣と戦い勝利する。
それは苦い勝利であった。


数日後・・・。

良は再び穴掘りをしている。

「おじさんは死んだんじゃない。メイツ星へ帰ったんだ。
だから自分も宇宙船でメイツ星へ行くから、
その時は迎えに来てくれよ」。

宇宙船を見つけるまでは掘り続けるのだろう。
彼は地球にサヨナラが言いたいんだ。     おわり。



ここまで救いのない話を子供番組でやる必要があるのか?。

いじめ、差別、貧困、そして集団心理の恐怖・・・。
それらすべてをわずか25分に詰め込んでしまった傑作。

学校の道徳教育の教材として使った先生もいたという。

確かに傑作ではあるのだが、
子供むけの「ヒーロー番組」として及第点は差し上げられない。
爽快感がない、劇中で一度、ヒーローが自分の役割を捨てる。

これを幼児期に見た子供が物語の核心までは
理解できなくとも、ここで何か違和感、トゲを感じ、
やがて成長した後、再び出会えたならば、
この物語は、さらに輝きを増すのだろう。

「新マン」中、誰もが認めるベストエピソードのひとつ。





評価 ★★★★☆
nise!(4) 

「帰ってきたウルトラマン」1971 [映画・特撮]

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〔1971年/日本/円谷プロ〕







日本を席巻した怪獣ブームも陰りを見せ、
ウルトラマン、ウルトラセブンが光の国へ帰還して
早幾年月・・・。


1971年(昭和46年)、折からの公害問題に淀む
日本国民の轟く叫びを耳にして、あの男が「帰ってきた」…!。


円谷英二先生が率いた円谷プロダクション制作による、
第二次怪獣ブームの立役者「帰ってきたウルトラマン」です。

企画当初は、ゼットンに倒されM78星雲に戻った、
「あの」ウルトラマンが地球に戻って来て、再び活躍する…予定が、
実際に帰ってきたのはまったくの別人、いや、別宇宙人でありました。

それも名前のない。

劇中ではただ「ウルトラマン」と呼ばれていた彼でしたが、
物語が進んでいく内に問題が発生した。

前のウルトラマンがゲストとして出る事になった。

ウルトラマンとウルトラマン・・・どう呼んで区別すりゃいいんだ?。

とりあえず、ファンの間では古株のほうは
「初代ウルトラマン」と呼ばれ、
こっちは「新マン」「帰マン」などと551蓬莱の肉まんのように
扱われていた。劇中では「ウルトラマン2世」と呼ばれることも。

ウルトラ家族がどんどこ増殖し、
これではいけないと円谷プロダクションが危惧。
「ウルトラマンジャック」なる名前がつけられたのは、
1984年のこと。

それまで彼には正式な名前が存在していなかったのだ!。

そんな不遇な彼の活躍が劇場で公開されたのが、こちら。
東宝チャンピオンまつりの一編としてテレビシリーズより、
第13話「津波怪獣の恐怖 東京大ピンチ!」、
第14話「二大怪獣の恐怖 東京大龍巻」を編集したもの。

この回は特撮では扱いが厄介とされるもののひとつ、
「水」の特殊撮影が見ものとなっている。

日本列島に押し寄せる津波の描写は、
この時代にここまでの特撮シーンが…!と驚くしかない。

文字数も尽きてきたため、つづきは次回に・・・。






評価 ★★★☆☆
nise!(4)