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「あしたのジョー」1970 [映画・邦画]

あしたのジョー4.jpg
〔1970年/日本/ダイニチ/日活〕





吹きだまりのドヤ街に、矢吹ジョーと名乗る若者が
ふらりとやってきた。並はずれた威力を持つジョーの
パンチが、丹下段平の目に偶然止まった。

ボクシングで片目を失い転落した段平にとって、
ジョーを一流のボクサーに育てあげることが、
ボクシング界に挑戦する最後のチャンスだった。

だが、段平の誘いに乗ろうとはしない矢吹ジョー…。

さぁ、どうやって言いくるめる?!
日雇い土方段平のあしたはどっちだ!!?




1970年当時、一大ブームを呼んだ「あしたのジョー」

原作漫画で力石徹が死んだのが1970年2月。
テレビアニメ版のスタートが1970年4月。
本作の公開が1970年7月。

原作はまだまだ好評連載中であり、わずか1時間半では
物語のすべてを映像化する事は不可能。
それにしても、少年院エピソードが長すぎて、
ボクシングの試合はほぼ登場しない(!)

クライマックスは当然、ジョーと力石の試合で締める
訳だが、力石の死でいきなり完結。
そりゃこれから先のお話がまだ出来ていないのだから、
無理ってモンだ。それにしても、唐突過ぎる。
これで続編でもあれば別だが、そんなフォローは一切ない。

大体が今ならば、漫画読者から苦情が殺到したであろう、
漫画に役者が寄せていくスタイルではない。
まず役者ありきで、役をあてがっていくのだ。

だから矢吹ジョーが七三分けであったり、
あしたのジョー2.png
丹下段平がフサフサなのである。
あしたのジョー1.png

自らが漫画にすり寄り過ぎた結果が、
香川照之さんなのであるが、これはこれでやり過ぎ。
あしたのジョー3.jpg
ほかの登場人物、すべてを喰ってしまった。
照之スゴイぜ!なのである。

公開から半世紀が過ぎ、今では「トンデモ映画」
ジョーの黒歴史的に扱われる事も多い本作だが、
この当時はスゴかったのだよ。

あの青春スター、紅白歌合戦にも出て、
水前寺清子さんとゴールイン寸前だった石橋正次が!
ジョーを演る!それだけで日本の若者は、
よど号をハイジャックしてしまうのだった。

若者は叫んだ。

「我々はあしたのジョーである!!」

令和日本の若者にこの「熱さ」はあるかい?





■本編出演 石橋正次、辰巳柳太郎、溝呂木寿々江、
 亀石征一郎、高樹蓉子、見明凡太朗、山本正明、小松政夫、
 中山昭二、武藤英司、石渡雄幸、島田太郎、亀井三郎、
 太刀川寛さんほか。




評価 ★★★☆☆
nise!(13) 

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