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「武士の一分」2006 [映画・邦画]

武士の一分.jpg
〔2006年/日本/松竹〕




三村新之丞は、最愛の妻・加世とつましく暮らす、
海坂藩の下級武士。

「早めに隠居して、子供がたに剣を教えたい」と
加世に夢を語る、笑いの絶えない平和な日々は、
藩主の毒見役を務める中、失明した事から暗転する。

絶望し、自害しようとする新之丞を加世は
必死に思い留まらせるが、愛する夫のため、
口添えを得ようとして罠にはまり、
上役であり番頭の島田藤弥に力づくで身を
奪われてしまう。

義を重んじ、卑怯を憎む侍としての「心」と、
ひとりの男としての「愛」の狭間で、
新之丞の怒りは激しく燃え上がり、
己の「一分」をかけた復讐を心に誓う・・・。

しかし、目の見えぬ新之丞はいかにして戦うのか。




本作の木村拓哉はほかとは違うと半ば脅迫…、
いや、強く勧められ鑑賞開始。

木村拓哉主演による時代劇は
「レジェンド&バタフライ」でもう懲り懲りなんだよ…。
東映創立70周年の看板を掲げながら、3時間もの
超大作に仕上がったはいいが、あそこまで中身がないと
いうのはどういうことだ?一種の才能か?と思えたほど。

さて、本作の木村拓哉は終始抑えた演技で通す。
間違っても、「ちょ…!」とか言わない。

大声で「…だからぁ~!!」とか言わない。

最初から最後まで普通に演技をする。
もう、ただそれだけで「スゴイじゃん!」となる。
普通の俳優があたりまえに出来る事、役作りが
出来ている、ただそれだけで見直される木村拓哉。

赤ちゃんがハイハイできただけで親が両手を叩いて
喜ぶようなもんだ。それだけ木村拓哉はどこに出ても、
なにをしても木村拓哉と言われ続けて来た。

本作は木村拓哉の俳優人生において「頂点」となった
記念すべき一作である。これ以前、これ以後はない。
未来永劫、本作を越えることはないだろう。

人間やはり「年相応」の役どころというものがある。
木村拓哉はこの先、60歳、70歳になろうと「ちょ…!」
などと言い続けるおつもりなのだろうか。

またこの作品では山田洋二監督の人徳か、周りを固める
俳優陣がよい。特にオススメしたいのは赤塚真人氏。
主演作こそないものの、この方の芸歴もひたすらに長い。
そして、その演技にはハズレがない。

物語自体は藤沢周平先生の時代小説が原作という事もあり、
よくも悪くも「まんが日本昔ばなし」のような展開に終始。
だが、これこそが日本人が好む永遠の定番なのだ。





■本編出演 木村拓哉、檀れい、笹野高史、小林稔侍、
 赤塚真人、綾田俊樹、近藤公園、岡本信人、左時枝、
 大地康雄、緒形拳、桃井かおり、坂東三津五郎さんほか。





評価 ★★★☆☆
nise!(13) 

nise! 13