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「宇宙からのメッセージ 銀河大戦」1978 [テレビ特撮昭和]

宇宙からのメッセージ銀河大戦.jpg
〔1978年/日本/東映〕



第15太陽系の惑星アナリスが、
敵対国家ガバナス帝国に侵攻される。

アナリス出身の若者で、ゲン一族の一人でもある
ハヤトは父に呼び戻され、リュウと猿人バルーが
操縦する宇宙船で帰郷を果たすが、すでに家族は
ガバナスに惨殺されていた・・・。

敵討ちの為、リュウ達の協力を得てアナリス上空
空域のガバナス軍を追うが、ガバナス軍の返り討ちに
遭いリュウの船は大破。

ハヤトは帆船型宇宙船プレアスターに乗った
謎の美女ソフィアに救出される・・・。




「仮面ライダー」「人造人間キカイダー」の
石ノ森章太郎先生原作。当時「スターウォーズ」に
沸く日本列島。映画界、テレビ界も「宇宙戦争」
花盛りな時代に、東映が放ったのが
宇宙版「仁義なき戦い」こと、
「宇宙からのメッセージ」でした。

その人気を受け、テレビへとスピンオフしたのが本作、
1978年(昭和53年)、テレビ朝日系放映開始、
「宇宙からのメッセージ 銀河大戦」です。

ぶっちゃけた話、「スターウォーズ」がアメリカで
公開された際、日本公開までに1年のタイムラグがあった。

日米同時公開があたりまえの今では、信じられないかも
知れないが、当時はこれが普通だった。

アメリカではすごいSF映画が出来たらしい…。
噂が噂を呼び、日本から海外にスターウォーズを
鑑賞に行くツアーまでが組まれたという。

そんなおいしい状況を日本の映画界が黙って見ている
ハズがない!これはチャンスだ!、日本にスターウォーズが
上陸するまでの間に国産のSF映画を作っちゃおうぜ!
みんな間違えて観に来るかもしんない!

そうして急場でこしらえたのが、東宝の「惑星大戦争」と
東映の「宇宙からのメッセージ」

東映もSFモノのノウハウが理解できなかったのか、
なにかの化学変化を期待したのか、
監督に「仁義なき戦い」の深作欣二監督を起用!
ここに宇宙を股にかけたSFヤクザ映画が爆誕する!

しかし、両作ともに邦画界が思うほどの成績は
あげられず、東宝はやはり特撮はもうダメだわ…と、
サジを投げるのだが、東映は転んでもタダでは起きない。

製作費の回収にいいアイデアねぇかなぁ・・・。
そうだ!ミニチュアの使いまわしと特撮シーンの再利用で
もう一本でっちあげらんねぇか?リサイクルだよ!、
SDGsだよ!キミィ~!!

そして、でっちあ・・・いや、出来上がったのが
「宇宙からのメッセージ 銀河大戦」!!

しかし、予算の都合上、千葉真一、志穂美悦子、成田三樹夫…
なんて役者が使えるハズもない。子供番組だし。

とりあえず、真田広之クンはまだギャラも安いしヒマだから、
そのままスピンオフで。あとのキャストも予算の許す範囲で…。

そんな訳で、猿人バルーというお猿のキャラクターを、
日本随一の猿顔役者、西田良先生が演じる!
猿人バルー.png
マスクいらんだろ?!と思うが、
それでもかぶせちゃう!西田先生の演じる意味が…。
猿人バルー.jpg

もうひとつ、東映の大英断は特撮SF映画、
大宇宙に帆船が飛翔するような作品をなぜか、
時代劇製作のメッカ、東映京都撮影所で作っちゃった!

脚本も「仮面の忍者 赤影」「隠密剣士」などのベテラン、
伊上勝先生がご担当。今度は宇宙を股にかけた大忍術映画が
完成してしまったのである!

しかし、過去に赤影でUFOを飛ばした前科のある、
伊上勝先生である、開き直った脚本がおもしろくない
訳がない。いや、先生が書き続けた忍者モノの集大成とも
言える作品がここに生まれたのであった!

本作を「スターウォーズ」と比べて見るのは邪道である。
SF映画だと思い込むのはやめたまえ。

おもしろければ理屈はいらない!70年代の東映が作る
作品に世間の常識は通用しない。

細かいこたぁどうでもいい!そんな漢こそ本作を見よ!




■番組出演 真田広之、織田あきら、西田良、堀田真三、
 白井滋郎、藤山律子、坂口祐三郎、島田歌穂、安藤一人、
 北村英三、友金敏雄、野村しのぶ、三浦徳子、秋谷陽子、
 小池朝雄、汐路章、田渕岩夫さんほか。




評価 ★★★★☆



nise!(10) 

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