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脚本家・上原正三先生ご逝去 2020 [芸能関連]

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上原正三さん(うえはら・しょうぞう=シナリオライター)が
2日、肝臓がんで死去、82歳。
葬儀は近親者で営んだ。喪主は長男敬太郎さん。

37年、沖縄県生まれ。中央大学卒。
65年、円谷プロに入社し、
「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」などのシナリオを担当。

69年からはフリーとして「帰ってきたウルトラマン」
「秘密戦隊ゴレンジャー」など数多くの特撮、アニメ作品を
手がけた。子供向けの作品の中でも差別や戦争など
硬派のテーマを扱う作風に定評があった。

18年、自身の少年時代を描いた小説
「キジムナーkids」(現代書館)で坪田譲治文学賞受賞。

                   引用元 朝日新聞




つい先日のイベントにも登壇されてお元気そうに見えたのに…。

同期の作家、脚本家がある程度名前が売れると、
大人向けのテレビ、映画、小説に寄っていく中、
この方ほど「子ども番組」にこだわった人も
いなかったのではなかろうか。

思えば人間が成長してゆく中、一番最初に触れる
ドラマ、物語が絵本であったり、子ども向けの特撮、
アニメ番組ではなかろうか。

その情操教育を担ってきたのが先生たちが紡いだ、
珠玉の物語ではなかったか。

「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」なんて、幼児には
理解できない物語である。その時は理解できなくてよい。
心のどこかに何かが引っかかってくれれば。

大きくなって、再放送や映像ソフトで作品に再会。
送り手の意思を感じ、理解する事が出来た時、
ボクたちは驚く。

この人々は、子どもたちに向けて
なんてものを発信していたのか、と。

散々、評価され尽くして今更語るべき部分もないが、
「帰ってきたウルトラマン」の「怪獣使いと少年」。
ここまで露骨に差別を描いていいものか?と
今更ながらに驚く。今のテレビ界では到底無理だろう。

民族差別、ヘイトなどが叫ばれる現代こそ、
見直したい物語である。

「秘密戦隊ゴレンジャー」。
現在に連綿と続く、戦隊シリーズの元祖である。
第1話には「戦隊」の基本すべてが詰まっている。
これ以上、これ以下はない戦隊のお手本である。

「宇宙刑事ギャバン」。
仮面ライダー、ウルトラマン…といったヒーローたちに
席巻され、慣れと飽きがきていた80年代に登場した、
まったく新しいヒーローを創造したのもこの先生であった。

ポニー&クライドをモチーフにして、子供番組に
持ち込んでしまったのも、この先生だったなぁ…。

先生の作品には常に「沖縄」と「戦争」があった。
もう、手ぬるい日本にはこのタイプの脚本家は
現れないのではなかろうか。

まさに生涯、一子ども番組脚本家である。
唯一無二、無冠の帝王なのである。

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