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「渡辺宙明大全」2019 [芸能関連]

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〔2019年/日本/辰巳出版〕



日本に生まれた人間ならば、一度は耳にしたことのある
メロディー…。日本が誇る作曲家の二大巨頭と呼ばれる、
渡辺宙明先生の偉業を讃える書籍が発売された。
その名も高き「渡辺宙明大全」!。

「大全」の名に恥じぬ、圧巻の一冊。
何に圧倒されるのか。
本書は先生が紡いだアニメ・特撮、その他の楽曲について、
主題歌のみならず、挿入歌、BGMにまで、一曲ずつ
コメントを取り、掲載している。

その記憶力にはただただ感服するばかり。
なにせ先生は御年、94歳。
しかも、94歳にしてまだまだ現役。
その数は減ったものの、新曲を発表し続けている!。

しかも本人は「いくらでも新しい曲が湧いてくる」と豪語。
まさに死ぬまで生涯、一作曲家!。

この歴史的な一冊が実現したのも、編集に携わった、
ライターの腹巻猫氏の力量によるところが大きい。
いくら先生本人がすばらしい経歴、実力、記憶を
お持ちでも、インタビュー、取材により
それをどこまで引き出せるか。そこが肝である。

腹巻猫氏の知識もすばらしいもので、
このジャンルに精通しているだけではなく、
音楽、楽器についても相当の勉強をしていらっしゃる。
そしてそれらをまとめる構成力。
256ページという大作であるが、スラスラと読めてしまう。

日本の音楽界は「渡辺宙明」という至宝を持ちながら、
その価値を正当に評価できているとは言い難い。
まさに宝の持ち腐れである。

「国民栄誉賞」というものは、スポーツの祭典で一回メダルを
取ったからと言って、ポコポコ差し上げるようなものではない。
このように人知れず、日本国民の娯楽を音楽という形で、
支え続けた者にこそ与えられるべきである。

しかし、知っている者は知っている。
渡辺宙明こそ、まさに無冠の帝王であると。




評価 ★★★★★
nise!(10) 

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