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「忍風カムイ外伝」1971 [映画・アニメ]

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〔1971年/日本/東宝・TCJ動画センター〕




寛文年間の末、己の道を己の力で切り開かんと
忍びの世界に入ったカムイ。

しかし、忍者の世界は理不尽な殺戮もいとわない、
非情の掟に縛られたものだった。

真の自由に憧れたカムイは抜け忍となる道を選ぶ。
だがそれは、忍びの掟には決して許されざる行為だった。

追手の忍者たちの攻撃は休むことなくカムイを襲う。
必殺の変移抜刀霞斬り、飯綱落としを駆使し、
カムイは今日も生き続ける。
カムイの安息は死が訪れる時だけなのだろうか・・・。




白土三平先生の漫画作品を原作にエイケン(TCJ動画センター)が、
1969年(昭和44年)より、フジテレビ系で放映開始した
「忍風カムイ外伝」。

テレビシリーズ全26話の最終章を「月日貝の巻」として劇場公開。

「少年忍者風のフジ丸」「ワタリ」とことごとく、
東映にひどい目にあわされた白土三平先生が「サスケ」に続いて、
エイケンとタッグを組んだ作品。

現在では放送コードに激しく抵触し、放映できないエピソードも
存在する。それがテレビ版第5話「五ツ」。

この一見、意味のわからないサブタイトルの本当の意味が
理解出来るのは番組のラスト。

カムイの前に現われた、名張の五ツと呼ばれる忍び。
凄腕の忍者である。どのような危機に瀕しても、
決して負けることがないのである。

変移抜刀霞切りすら破る強敵であった、
忍びの五ツには秘密があった。

五ツの胸には、もう一本の腕が生えていたのだ!。
これこそが五ツの名前の所以とも言われるもので、
奇形に生まれた彼はこの「奥の手」を使い、
数々の危機を切り抜けてきたのであった。

奇形に生まれたがために、いわれなき差別を受け、
闇の世界に生きなければならなかった者の苦悩よ・・・。


このように「カムイ外伝」には様々な弱者たちの姿がある。
それは決して差別を助長する目的で描かれたのではない。
しかし、現在ではそのような描写は「差別」につながるとして、
表に出されることはない。

だがそれは、これらを見る事により、差別とはなにか?を
考える機会を奪われてしまっている事に気付かなければならない。

見せない事が子供を守る事ではない。
大人が勝手な判断で規制せず、見せる事により、
清濁併せ呑み「してはいけないこと」を学ばせる事こそ、
必要なのではなかろうか・・・。

なお、「カムイ外伝」の後番組が「サザエさん」である。
カムイ外伝最終回には、サザエさんと握手するカムイの
バトンタッチ映像が流れたと伝えられる。

サザエさんが、現在にまで続く日本を代表するアニメーションに
成長すると誰が想像できたであろうか。人生はわからんなぁ。




評価 ★★★☆☆






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