〔2013年/日本/映画美学校〕




バス事故により、天涯孤独の身となった悟。
私はその事故現場で5歳の悟と出会った。

心に傷を負った悟は、いつもあの目を思い出してしまう。
フラッシュ、カメラ、怒号……、珍しいものを見る
好奇な目を。

でも私は、悟に話しかけることも、慰めることも出来ない。
あれから13年。
18歳になった悟は、もう私のことなど放ったらかしだ。

ある日、施設で一緒に育った恵美から、
今年も「喜劇王まつり」が行われること、
施設長の澄子の体調が良くないことを聞く。

そして恵美は悟に「腹話術で出演してほしい」と言い出した。

悟は乗り気ではないが、私は嬉しい。
悟との腹話術は12年と1ヶ月と5日ぶりだ。
悟と、また一緒に腹話術ができるんだな……。





映画美学校脚本コース1期初等科作品の短編作品。

今をときめく、染谷将太さんが主演…ということで、
現在、見直されているようだ。

腹話術のいっこく堂さんが「映画初出演!」というのが
売りのひとつ。出演シーンは多くはないが、
存在感、貫禄のある俳優っぷりを披露。

個人的には、北村一輝さんといまだに見分けがつかない。
渡部建と若林正恭さんの見分け方もよくわからない。

さて、本作中、一番よくしゃべっているのが腹話術人形の
ジャクリーン。人形に意志があるのか、
それとも主人公・悟の生み出した妄想の産物なのか、
わからないまま物語は進んでゆく。

ただ、このジャクリーンさんが巨大で…、怖い。


普通に怖い。

40分という短い時間でそつなく納まっている印象だが、
やはり、観客に訴えかけるものが弱い気がする。

「染谷将太主演」でなければ、振り返られる事もなさそうだ。
ダラダラと2時間以上ある作品も困るが、
もう少し時間を取って、登場人物を丁寧に描いてほしい。





評価 ★☆☆☆☆