「老いてなお 花となる」2024 [テレビ番組]
〔2024年/日本/NHK〕
「老いてなお 花となる〜織本順吉 90歳の現役俳優〜」
名脇役で知られる90歳(当時)の現役俳優、
織本順吉。急激な老いと闘いながら、今も撮影現場に
足を運んでいる。老俳優が懸命に生きる姿を家族が
撮影した映像で描く。
名脇役として2千本の映画やドラマに出演してきた。
今、闘っているのは急激な老い。歩くこともままならず、
セリフは一晩寝れば忘れることも。
不安から睡眠不足が続く。
それでも織本は現場に向かう。
心配する家族に脚本家の倉本聰は言った。
「老いを得て咲く花がある。そこにいるだけでいいのです」
生涯現役を貫き、懸命に生きる老俳優の姿を、
家族が記録した。
過去に放送された3本のドキュメンタリー番組の締め
とも言うべき、遺品整理編と題されたもの。
父と同じような道を歩むのに反発し、銀行員となるも、
後に放送作家となった実娘の中村結美さんによる作品。
壮絶ナリ。
このドキュメンタリーの製作が、
家庭を顧みる事のなかった「父への復讐」と語る娘。
前3作においてドキュメントは完結しているのだが、
今回は「その後」
死してなお、オンナ関係が暴かれる織本順吉さん。
ズバリ言って申し訳ないが、ほぼ主演作のないような
(けなしている訳ではない)脇役俳優と呼ばれる方でも、
芸能人の端くれ。愛人を囲っていたのか・・・。
嫁の実家に金を出させて、那須の田舎(周りに店もない)
に大きな豪邸を建てさせ、その土地・建物の名義は
その女優のものになっていた・・・。
今回、80代になったその女優にコンタクトを取ろうと
娘さんが試みるのだが、返信はなし。
まぁ、当然と言えば当然か。
現役俳優で名の売れた人であるならば、名乗り出て
NHKに姿を晒すのも自分にとってプラスになろうが、
「織本順吉の愛人」という看板にメリットはない。
驚くのは90歳になるまで、自分で自家用車を運転し、
撮影現場に通っていたのだな・・・。
末期、床に伏せる織本順吉さんにかつての面影はない。
相当なテレビ、映画を見て来た方でも、織本さんと
認識するのは難しいと思われた。
それでもなお、自分を撮らせ続けたのは娘への愛情か。
この番組を見る人間の立場により、意見が別れるで
あろう問題作であった。
老俳優、最後の舞台。壮絶ナリ。
織本順吉さんの膨大な仕事の中から、私が一番
印象深いのは東映が手掛けたテレビドラマ、
「特捜最前線」第172話「乙種蹄状指紋の謎!」だろう。
聞き慣れない「乙種蹄状指紋」というワード、
この回のメイン主役、大滝秀治さんとの壮絶な演技対決。
そして迎えるあっけない幕切れ…。
「特捜最前線」という長期シリーズがノリに乗っていた
時代の一作。
DVDにもなり発売中である。
機会が是非あればぜひご覧頂きたい。
評価 ★★★☆☆
2024-06-16 12:00
nise!(24)